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第201話 大魔導師
しおりを挟む◆タクトの視点
スタンピードを追ってきたのだが、
周りは火の海となり魔物達は原型を留めていないほどにグチャグチャ、どう見ても生きてはいない。この場所に居ると俺も巻き込まれかねないと走り移動する。
上空を見ると巨大な赤い魔力の塊が浮いておりその中心に誰かが居る。
赤い魔力の塊からは爆撃機の様に爆発系の魔法を地面に居る魔物達に放ちし続けている。
「助かるが何者だ?スタンピードの魔物がどんどん減ってる。なんて攻撃力だよ!」
俺の見える範囲ではあるが、ほとんどの魔物が倒されてしまった。つまり二万近くの魔物がアイツに一人に倒されたことになり俺は驚愕した。
………▽
「このくらい倒しておけばしばらくは大丈夫ね」
上空に居た魔導師は魔力を収める。
そして魔力探知で目標の少年を見つけると、
「逃さないわよ!」
浮遊魔法で空を飛び目標に目掛けて一気に加速した。
………▽
「タクトこっちに向かって来るで!」
空間認識能力の高いカンナはいち早く接近気がつく。
「マジかよー……これって逃げた方が良いよな!」
「う~ん……どないやろう、分からへんけど、もう遅いかも」
カンナと話している間に接近を許してしまった。
女性が空をフワフワと浮いている。
さっきまでの魔法を見て予想はしていたが、見た目と合わせてほぼ間違いない。
大魔導師……キョウカ・ダイモンジ、俺と同じくイリスの使徒であり、同郷の日本人、まさかこんなところで会えるとはな……
ただ一つ想像と違うところがあった。それは服装、普通魔導師とか魔法使いならローブとか法衣とか着てそうなんだけど~……あれはどう見てもスーツ……だよな。
大魔導師キョウカはスタイリッシュなスーツを着ていた。異世界感が全くない。
「ねぇ~君がタクト君でいいのかな?」
ジーッと見られている。
ここは無闇に抵抗せずに話し合いをするべきだろう。
「どうもこんにちは、ボクのことを知っているんですか?確かにボクがタクトですけど」
なんで俺の名前を知ってるんだ?……あ!?もしかしてイリスが教えたのかも!それなら俺が仲間だと分かって……ラッキー。
「キョウカさんですよね!さっきはありがとうございました。あのボクも……」
「君みたいな子供が国家転覆を狙っているなんて信じられないけど、命令を受けた以上あなたを排除するわ」
なんで!?まだ話の途中だよ!
ちゃんと聞いてよ~!
「待った!待った!超待って!」
俺は手をバタバタさせて止まる。
「ワタシせっかちだから早く終わらせるわよ」
えー!?全然話を聞くきなしかよ!
キョウカの手からバチッと音がした。
『雷電(らいでん)』
「ガァ!」……か…身体が痺れた。
今のは雷魔法か!一瞬で分からなかった。
『エアロック』
両腕と両足が見えない何かで拘束された。
俺は浮き上がり磔の様にされた。
「身体が痺れて指一本動けないでしょ、大人しく諦めなさい」
キョウカは人差し指を俺の額に向ける。
指の先端に魔力を感じる………殺られる!
しかしそうはさせない!
キョウカの後ろにカンナが空間転移で回り込みハンマーで攻撃を仕掛ける。だがキョウカには高い魔力感知があり即座に反応、振り向きカンナの攻撃対応する。
『バブルボム』
いくつもの大きな泡がカンナに向かって飛んでいく。カンナは空間障壁で防御、泡が当たった連続で爆発した。
キョウカの注意がカンナに向いた!
今ならいける!
キョウカは俺が電撃を受けて麻痺して動けないと思っているだろうが、俺も雷魔法が使える。ギリギリだったけど、ある程度は俺も電撃を放ち相殺出来た。攻撃を仕掛ける。
まずは腕と足の拘束を解く。
魔力を集中し空気の拘束を弾き飛ばせ!
パンっと四つの音が同時になる。
拘束を解いた!だか!派手にやり過ぎたな!キョウカは当然魔力察知しこちらを警戒している。
『ビスショット(空間停止)』
キョウカにビスが複数飛んでいく。
それを見たキョウカの目が鋭く変わる。
どんな方法を取ったのか分からないが、俺が飛ばしたビスは一瞬で粉々になった。
そして俺は思う。
逃げるが勝ち……だと。
『配管(空間転移)』
俺は逃走、モポス達に襲われた森まで移動した。
…………▽
◆キョウカの視点
こんな少年がなぜ標的にされたのか、少し分かったわ。まさか空間魔法の使い手だなんて、国としては放ってはおけないわね。
私は魔力サーチで少年を探す。
「見つけた。ここから数km先に移動している。空間転移も使える……あの子……どの程度まで」
私は魔力を高め魔法陣を展開し、少年の下へと空間転移で移動する。
「ゲェ!?マジ!」※タクト
「ウソや~ん」※カンナ
二人は驚いている。
私が空間転移出来るとは思っていなかったようね。
「無駄よ!あなた達は逃げられないわ」
私は二人を取り込み周辺に結界を張る。
「おい!これヤバいんじゃ」※タクト
「タクト早う~逃げんと!」※カンナ
アタフタしている二人に無駄だと言うことを教えてあげる。
「無駄!さっきそう言ったでしょ、この結界は空間を捻じ曲げる効果があるの、空間転移では逃げられないわよ」
それを聞いた二人は驚いている。しかしどうやら私の話を信じていないようだ。鉄の筒を召喚し空間転移をしている。
「あーーいてぇ!」※タクト
「なんでやねん!」※カンナ
空間転移で上手く飛べずに少年は逆さになり頭から地面に落ち、痛みで頭をさすり、さらに時間差で落ちてきた少女が少年の頭に落ちて少年と少女は痛みで転げ回っていた。
「何を遊んでいるの?」
「別に遊んでないよ。まさか空間魔法まで使えるとは、流石は大魔導師、イリスの使徒だけのことがある」
少年は頭を擦りながら喋っている。
気になるのはこの少年……表情がいたって冷静。
まだ何か策でもあるというの?
でもそんなのは関係ない!
彼の言う通り私は大魔導師。
数百の魔法、魔術を扱う者。
それでも私は自らが欲する力を持ってはいない。
私はまだこの少年を殺す訳にはいかない。
もしかしたら彼こそが……わたしの…………
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