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第207話 プルソンのスキル
しおりを挟む迫りくる巨大な手!
ルナとアイリスにはそれを避けるだけの力は残っていなかった。だけど二人には見えていた。不格好な走り方にも関わらず凄まじい速度で走って来るヒーローを!
『軍手ブロー(空間障壁)』
見えない不可思議な攻撃で巨大な手が弾かれ、ルナ達の前に一人の少年が立っていた。
「ハァーハァーハァーハァー……ごべん……遅れた!」
ゼイゼイと息を切らせたタクトに二人は抱き着く。
「待ってたよ!タクト!」
「タクトなの!助けてなの~お姉ちゃん達が!」
「うん!助けるよ」
ルナそしてレアリーさんが大怪我をしている。
すぐに治療しないと危険なレベルだ!急がないと。
「アーチさんこれを傷口に貼って下さい!」
俺は絆創膏(ばんそうこう)をアーチに投げる。
アーチはそれをすぐに貼り付けた。
「ルナ、ちょっと我慢して……」
「うん……分かった。でもあまり痛くしないでね!」
ルナは痛いはずなのに我慢して俺に笑顔を向ける。
俺はゆっくりとナイフの柄を持ち、ゆっくりと引き抜く。
「うっ……」と痛みに耐えるルナ、ごめんもう少しだから頑張ってくれ。
「良し!」
ナイフを引き抜くことが出来た!
俺はすぐにルナの傷口に絆創膏(ばんそうこう)を貼る。
「もう少しの辛抱だ!すぐに楽になるから、ルナ頑張ってくれ」
「うん、分かってる。タクトお願い!聖女様をラキを助けて!」
ルナの目には二人を大切に思う心が宿っている。助けたい!いや!助けないといけない。
「おう!任せておけ!こう見えてボクって悪魔を倒すの得意だから……」
俺はアイリスにルナのことを頼み。聖女様の前に立つ。
「おかえりなさい。あなたを皆が待っていました。お勤めは終えた様ですね」
聖女様は深々と頭を下げる。
「えーま~、だいたいは、あとはコイツを倒して終いとしましょうか」
俺は工具を構える。
プルソン(ラキ)は静かにタクトを見定める様に黙って見続けていた。
「気に入らないわ。あなたが来たからってなんなのかしら?勝てるような空気を出して、それにあなたもよ!私に勝てるつもり?冗談じゃないわ!お前みたいなガキに舐められたらたまったもんじゃない!」
『い!』
プルソン(ラキ)は声を発し、見えない斬撃がタクトの腕を切断しようと迫る。
『空間障壁』
カンナは即座に反応し、その斬撃を防ぐ。
カンナの高い空間認識能力があれば見えない程度の斬撃など造作もなく撃ち落とすことが出来た。
「サンキューカンナ、でも今のはボクも分かったよ。ちょっとずつ感覚が鋭くなった」
「ええやん、ええやん、そないしていつも周りに意識を向けておけば、目ぇ瞑っていても何があるか分かるし、もっとレベルを上げれば触らんでも感触まで分かるで!」
な!?なんだって!それはつまり、触らなくてもお◯ぱいの感触が分かると!?
ジトー………カンナの瞳がタクトを捉える。
「なんや!邪なことを考える気配がするでぇ!」
ギクッ!?……くそ!なんでこんなにカンナは鋭いんだ!
たじろぐ俺をグイグイと視線で攻めるカンナの肩にポンッと聖女様が手を置き止める。
「待って下さい。カンナさん、タクトくんは邪なことなど考えておりません。男性として純粋な気持ちを抱いただけなのです。決して悪いことではありません。元気な証拠なのです」
聖女様が庇ってくれてる?
そんな慈愛に満ちた目で言わないでくれます。
「ちょっとあなた達、私を無視するなんて言い度胸をしてるじゃないの!」
凄まじい殺気が周りを包む!
くっ……プルソン(ラキ)……本気になったか?
「皆さん気をつけて下さい。彼女は声を使ったスキルで攻撃をして来ます。今見た『あ』『い』『う』とありましたが『あ』は全体に衝撃を放ち『い』は見えない斬撃、『う』は貫通力と速さを上げたスポット化した衝撃波です」
聖女様はプルソン(ラキ)のスキルを見抜き、それを俺達に教えてくれた。
「聖女メリダ、そう言えばあなたも私と同系統のユニークスキルを持っていましたね。ですが私の方が上ですよ!そんなのお遊びなのだから」
『眠りなさい』
うっ……ね、眠い……
俺は立っていられず膝を突き倒れない様に耐える。それに俺だけじゃない。カンナ、アイリス、ルナも何か力を受けている。
『浄化の歌……ホーリーソング』
頭の中が一気にクリアになる。
横では聖女様が美しい声で歌を歌っている。
そうか、この歌のおかげで……助かる!
「プルソン(ラキ)あなたは言霊使いですね。負けません!あなたの声をかき消させて頂きます」
「チッ、邪魔を……いいわ。まずはあなたから消してあげる。ゼーラントとやりなさい!」
ゼーラントは身体を大きく揺さぶりながらゆっくりと歩いてくる。その目にはすでに生気はなく、まるでソンビのようだった。
ゼーラントは口に大量の薬を入れバクバクと食べ始める。そしてそれはヒュームが天使化した『エンジェルエッグ』であり、大量に摂取すれば間違いなく危険な代物だった!
「うぁぁぁーー」
ゼーラントの皮膚が白く変わり、身体は大きく肥大化、まるまると太った赤ん坊の様な姿に変わり背中には小さな羽、そして頭にな光の輪が浮いていた。
「ギャャャャャャーー」
耳をつんぐむ様な高い声が響き渡り、頭がガンガンと痛くなりやがる!
「なんなんだよ!コイツは」
俺は耳を押さえながら巨大化し変異したゼーラントを見上げる。
「さ~倒してみなさいな。聖なる力が生み出した化け物…………
……………『カオスエンジェル』
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