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第267話 天獄の魔眼と炭化
しおりを挟む「バロンさんはその方に何の用があって?思い出話がしたい。そんな感じじゃないですよね」
「あぁ、それなんだが…」
「私の為よ。タクト」
お茶を入れたコップをオボンに乗せてノルンが部屋に入って来た。テーブルにコップを置くとノルンはそのまま俺の隣の席に座る。
「ノルンの為って…どう言うことだ?」
「そのままの意味よ。父様は私を心配して……エルレイシア様のお力を借りたいのよ」
ノルンが答えてくれたのだが、あまり内容が分からず首を捻っているとバロンさんが補足を入れてくれた。
「エルレイシア様はノルンと同じ『天獄の魔眼』スキルの使い手なのだが、今ノルンはそのスキルによって命を落としかけている」
「ちょ!?それ本当ですか!ノルンお前大丈夫なのかよ!」
俺はあまりのことに大声でノルンに聞く。
「お父様言い過ぎですよ。そこまでじゃありませんから、タクトも安心しなさい。別に今どうこうなる話じゃないわよ~」
ノルンは大したことはないと言っているが心配だ。案外本当に危ない時は黙っていそうだもんな。これは詳しく聞かないと。
「バロンさん、ノルンに何があったんです?」
俺は真剣な顔で話しかける。
「そうだろ~そうだろ~タクトくん!ノルンが心配だろ。ノルン聞いているか?タクトくんはノルンをすごく心配しているようだ」
「お父様!そう言うことはいちいち言わなくてイイんです!」
ノルンは顔を赤くしてそっぽ向く。
うん!ノルンのそう言う反応は好きだけど、今はそう言うのマジでいいから、真面目に教えて!
「ノルンは『天獄の魔眼』を使い過ぎて身体に炭化の症状が現れたのだ」
「炭化?炭化って身体が焼けて炭にでもなるって言うんですか?」
「イメージとしてはそんな感じで問題ない。ノルンは頭髪の毛先が徐々に炭化して消えている。このままではノルンがハゲてしまう!」
「バロンさんマジですか?ボケですか分からないですけどボクも怒る時は怒りますから」
頭の中でプチッと何かが弾ける。
「あ~すまない。少し昔の話をしていて童心に帰っていたせいか変なことを言ってしまった。改めて説明させてくれ、この炭化症状はまだ髪に僅かに現れた程度なので大丈夫なのだが」
「ちょっと待って下さい。なんで大丈夫だって分かるんですか?」
「それについては私自身が見ているからさ。過去にエルレイシア様が同じくなっていたんだよ。それも十年以上前から、だからノルンがすぐに命を落とすと言うことはないんだよ」
「そ…そうですか……」
はぁ~ちょっと安心出来たよ。
「だけど危険な状態ではあるんだ。エルレイシア様は最後には身体が高熱を帯び燃え尽きて亡くなった。このままではノルンもそうなってしまうかも知れない」
「バロンさんちょっと待って!話が見えないです!だってさっきは『天獄の魔眼』スキルを使い過ぎたからだって…」
「確かに私はそう言ったが、実は少し違うのだ。『天獄の魔眼』はノルンが生まれた頃から発動していたと思われる。つまり使い過ぎたと言ったが目を開けている時間が一定の期間を超えると炭化現象を発症してしまう。これがエルレイシア様が考え導き出した答えであり、そしてそれを抑える方法がスキルの熟練度を上げること」
そうか、それでスカーレットさんがノルンを厳しく鍛えていたのか。熟練度を上げることでスキルの力を制御出来るようになり炭化の進行を止められると思って、でも現状は抑えるのが手一杯ってことか。
「でもおかしな話です。そのエルレイシア様も最後には燃え尽きたはずです。その方を頼っても仕方がないのでは?」
「いや、私はそうは思わない。あの方はとても頭が良くそして諦めの悪い人だった。何の考えもなく亡くなりはしない。きっと良い考えを知っている」
う~ん、確かにそのエルレイシア様は生きる為に色々と考えていたはず。試すことが出来なかったかも知れないけど、打開策を持っているかも……てもそもそも問題がある。
「バロンさん、その大変言いにくい話なんですけど、エルレイシア様は呼べません」
エルレイシア様は残念ながら無理だろう。かなり前に亡くなった者はすでにあの世に行っている。もし居るとしたらこの世に強い未練があった時だけ、それもどこに居るかは分からない。
「そうか……分かった。難しいとは思っていたからすまなかったね。タクトくん無理を言ってしまって、だけど君にはノルンのことを知ってほしかったから話させて貰った。」
「えぇ、教えて頂きありがとう御座います。確かにエルレイシア様は呼べなくとも、ノルンを助けないといけないことは間違いありませんから。大丈夫です。絶対に助かる」
「タクトくんがそう言ってくれて安心したよ。良かったなノルン」
「うん!でも私は大丈夫だから、もっとこのスキルを扱えるようになれば……何の問題もないわ。極めてやるんだから!」
「あ~その意気だ!ノルン、ボクも今なら色々と伝手があるから調べておくよ」
俺には知識豊富な皆さんがいるんだ!聖女様に勇者、それに大魔導師、さらにさらに女神様………誰かは知ってるでしょ!
「タクトくんそれは助かる。本当に話が出来てよかったよ。それでは話を戻し王都の調査について話をしようか」
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