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第273話 もう一つの理由
しおりを挟む◆キョウカの視点
「ブラックさんここって?」
「王都にある常闇の隠れ家の一つだね。彼らは特別な魔法によってこの場所を隠蔽しているんだよ。あとこうやって少し上に隠れ家を作っておけば間違って見つかるリスクもないんだよ。なかなか良い考えだろ」
確かにまさかこんなところにあるなんて思いもしなかった。
「それにしてもよく分かりましたね。ブラックさんさっきはここには来たことないって……」
「来たことはないけど、なんとなく分かるんだよ。この王都の中は隅々まで見ていたから、次に移動しそうな先の見当がついていたのさ」
スゴ!普通そんなの分からないよ。やっぱりこの人只者じゃないんだ。
「さてと中に入ろうか、キョウカさん手を出して」
「ん?手をですか……はい」
私は手を出すとブラックさんに掴まれた。一瞬なんで握ったの!?と驚いて手を出しそうになったけどぐっと我慢した。
「あの~……どう言うつもりなんでしょうか?」
私はやんわりと尋ねる。
「あ!?ごめん、また説明を省いてしまったよ。いきなりのことで驚かせてしまったね」
「いえ……お気になさらず」
「ありがとう。それで今から屋敷に侵入するんだけど、もちろん見つかる訳にはいかない。その為にはアイリスの認識阻害するスキルが役に立つんだけど、接触していないと効果がないんだよ」
あーそう言うこと、だから私の手を握ったんだ。
私は納得し離しかけた手をしっかりと握る。
ブラックさんはアイリスを抱っこしながら私の手を握り、さらにニキを頭に乗せると言うなかなかハードな体勢で屋敷の通路を歩く。すれ違えばまず間違いなく止められる姿だけど、そもそも誰ともすれ違わない。
「そこは右なのだ!前と左に3人居る」
「分かったよニキ、ありがとう」
「気にするななのだ!……ムシャムシャ」
すれ違わない理由、それはニキの嗅覚によって敵を避けていたから、これなら敵に見られることがないし仮に見られても認識阻害スキルで何事もなく逃げられる。今だから分かったけど、このパーティーは初めから隠密行動を想定したメンバーだったんだ。
「この先が怪しそうだ。テキトウに部屋に入ろうか」
近くの部屋の扉を開くとそこは書庫だった。もしかしたらこの中に、でもすごい量見つけられるかしら。
「おーい!あったよ~」
「えっ!はやぁ!?もう見つけたの!」
ブラックさんが何かを見つけたらしいけど、いくらなんでも早すぎでしょ!?
「この書庫に様々な資料が収められているんだけど、
いくつか並び方に法則があってね。最近の出来事についての資料を取ったらビンゴです。これには王都で起きた反乱についてとリーダーのバラクについて書かれている」
ブラックさんはその資料をパラパラと開いて読んでいた。
「ん……国王様達から聞いていた通りの情報かな……それにしても死傷者が多い。なんて酷い事件なんだ。リーダーのバラクについては元はAランクの冒険者と書かれている。なるほどかなりの実力者と言える。どうやら元々はある貴族護衛として勤めていた経歴があるようだな。う~ん……でも目ぼしい情報はないようだ」
パタンっと資料の本を閉じる。
「そうですか……残念ではありますが確認は出来ました。……そう言えばここに来たあと一つの理由を聞いていませんでした。何か他にも探すものが?」
「キョウカさんそれは少し違うよ。他のパーティーと指示が違う理由があと一つだよ」
「そ…そうでした。勘違いです」
やや強めに言われて若干圧に押されてしまった。
「その理由は!……心配かけたくなかったからだよ」
「心配?心配ですか、それはそうでしょうけど」
「タクトも母さんも家族愛が強くてね。よく暴走するんだよ。タクトも日頃怒ることなんて滅多にないのに、この間城に侵入したと言ったら、指示を出したバロンに突っかかって行った。もうあんな真似はさせたくない。これは私の我儘だ。君達を巻き込むようなことをしてしまい本当にすまなかった」
ブラックさんは頭を下げて謝ったが、私はむしろ納得して嬉しく思ってしまう。そうだよ!家族は大切で守らないといけないだよ!私も妹を守らないと!
私はブラックさんに気合を頂いてやる気が溢れ出て来た。
「ブラックさん全然気にしないで下さい!家族は大事ですから、私に出来ることがあれば言って下さいね」
「あ~ありがとう。それじゃ~ここでのやる事はなくなったから移動しようか………ん?…ちょっと待ってほしい」
ブラックさんは部屋から出ようとした時、何か別の書類を見つけたようだ。
「どう言うことだ?なぜこんな物が!」
ブラックさんはしばらくその書類を読み驚きの表情に変わった。
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