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第283話 ソロモンへの忠誠心
しおりを挟む「大丈夫ですか?」
俺は女性の手を握り立ち上がらせる。
ちょっと無用心だったか、さっきこの女性に襲われたわけで、敵になる可能性もある。警戒はしないとダメだ。そう自分に言い聞かせた。
「あなた何者ですの?」
「え!?えーっと~……」
なんて答えれば良い。こっちとしてはあまり素性を知られたくない。
「ごめんなさい。その前にお礼しないといけませんわね。助けてくれてありがとう御座います。私はラウラ、そちらに居るのは私の兄エリックです。どうぞ宜しく」
ラウラは品のあるお辞儀をする。俺も慌てて頭を下げる。
「あ~こちらこそ宜しく。ボクはタクトって言います」
ま~取り敢えず名前くらいは良いだろう。
「キューイキューイ」
「あ!ごめんごめん!この子はエメリアです」
俺の頭に乗って背筋を伸ばし自分も居るとせっつくエメリア、髪を噛むのはやめてくれ!ハゲる。
「そうですの。エメリア宜しくですの、あなたはとても綺麗ですわ」
ラウラが手を伸ばすと触られるのが嫌だったのか、俺の後ろにしがみついて隠れる。
「ごめんなさいませ、いきなりでびっくりさせてしまいましたか?」
「ん~どうでしょうか、人見知りってほどではないんですけど」
でも考えてみると、俺は触るけど他の人は触ろうとすると飛んで逃げていたことがあった。誰から構わず触らせはしないってことか、ま~考えてみれば自分も知らない人には触られたくない。
「君はさっきの……私達を追って…来たのか?」
「えーっと、ま~その……あ!エリックさんその怪我」
エリックさんは腹部から大量の出血をしていた。早く治療しないと。
「エリックさん傷口を見せて下さい。治しますんで」
「痛っ……君は聖職者なのか?それとも医師には見えないが」
エリックさんは警戒しているな。
「エリック兄様、ここは治療を受けましょう。その傷では命に関わります」
「ん……あ~そうだなラウラ。正直意識を保つのが限界だ。あとのことは……頼む」
エリックさんは倒れて来たので優しく受け止めて寝かせると、傷口にすぐに絆創膏(ばんそうこう)を貼って治療する。
「エリック兄様は大丈夫ですの?」
ラウラさんはエリックさんの傍に座ると心配そうに
覗き込む。
「えぇ大丈夫です。安心して下さい。今は休ませてあげましょう」
ラウラさんはコクリと黙って首を振る。
俺は近くのソファにエリックさんを寝かせる。
「お…ま…え……よ…く…も………なんて…ことをしてくれた」
しわがれた声に変わった死の商人。
「あなた、まだ生きていましたの……」
ラウラさんは短剣を構える。
「死の商人、そろそろ諦めたらどうですか?あなた達は相当長く生きて来たらしいじゃないですか、さっさと死ねよ!」
俺はコイツらには容赦しない。
「いやだね。私には……やらなければならないことが……あるのだ!ソロモン様ワタシは負けません」
「またソロモンか……」
コイツらのことは許せないが、ソロモンへの忠誠心は本物なのかもしれない。
「だが罪には罰、お前を待っているヤツらがいる。恨めしやってな!」
死の商人に指を差し言ってやった。
「なぁ!?オマエらは!?やめろ!はなせぇ~!」
黒い人形の何かが死の商人を取り囲む。
きっと彼らは死の商人に殺された者達、簡単には許してくれないだろう。きっと死ぬまで………
その後、殴る音と死の商人の叫び声が聞こえ、すぐに声も姿も消えてなくなった。
「終わったのですの?」
少し声を震わせるラウラさん、怖かったみたいだな。
「うん、そのようですね。そうだ!忘れてた。外に仲間を待たせているんですけど、中に入れても良いですか?」
「やっぱりあの人達も居られるんですね……私達には断る権利は御座いませんわ。お好きにどうぞ」
ラウラさんは疲れてぐったりしながら答えた。
俺は了承を得られたので外に居る二人を呼びに行った。
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