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第306話 母さんを敵に回してはいけない!
しおりを挟む「ただいま!」
「おかえりなさいタクちゃん!」
「あれ?母さん戻ってたの?」
会議はもう終わったのかな?ま~あれからかなり時間が経ってるし今日はもう終わったのかも。
「うんん、違うわよ。タクちゃんが居なくなったから帰っただけよ。家に戻って来るかもと思ったから、あってて良かったわ」
母さんは柔らかい笑顔で迎え入れてくれた。
会議を抜けたのはどうかと思うけど、俺も一緒だし文句は言うまい。それよりも伝えないといけないことがある。
「母さん話があるんだ。ボク父さんを探しに行くよ」
「そうなの?それなら母さんも行くわ!」
「え!?母さんそれはちょっと……」
「どうして?これは家族の問題でしょ?母さんも行くのは当然だと思うのだけど」
「それは……そう言う考え方もあるけど危ないと思うんだ」
「それならなおのこと母さんも行かなくっちゃ、タクちゃんが危ない目に遭うかもしれないと思うと母さん居ても立ってもいられないわ!タクちゃん…母さんは絶対に行くからね」
あ!……ダメだ!こうなった母さんは止められない。母さんの絶対は絶対なんだ。以前父さんと山に鹿に似た動物を狩りに行こうとした時だった。母さんも行きたいと言った。父さんはこれは男同士の絆を強める儀式みたいなものさ~、だから母さんは家にいてほしいと言った。いやぁ!母さんも絶対行く~っとその日はずっとゴネていた。狩りに行く当日、父さんは壁に張り付けになっていた。言うことを聞かないから~母さんが父さんを狩っちゃった!だから母さんが行くね!いつも通りの笑顔が逆に怖かった。もちろん断ることは出来ず、その日母さんと狩りに行った。
しかし、その時俺も気がつけよ!母さんが強いんじゃないかって、詳しくは聞いていないけど、今回王都の調査でもかなり暴れたと聞く、つまり十分な戦力になるってことか、それなら心配ばっかりもしなくていいかな。
「分かったよ!母さん、一緒に父さんを探しに行こう!」
「はぁ~い!タクちゃん、父さんを一緒に探しましょう!」
それじゃ~行きますか、だけどその前に行かないと行けないところがある。
「母さんちょっとその前に……」
「分かってるわよ!お腹が空いたら戦はできぬって言うし、何が食べたい?」
「……………フッ、流石母さん分かってるね。そうだな~気合が入りそうな食べ物が良いかな、ヤトン牛の丼が良いな」
こちらの世界にある牛丼みたいな食べ物をお願いする。ヤトン牛は肉肉しい味でとっても美味しいんだ!
「うん分かったわ!すぐに作るわね」
母さんはスーッと台所に消えた。
それから母さんのご飯を頂きバロンさんに会いに行った。
………………▽
「あ!タクトくん、戻ったか、今日のところは会議は終了したよ。この後どうするかは、まだ決まっていないが情報の共有は図れた。明日にでも王都奪還にボルジア公爵の捕縛作戦も決まるだろう」
ん…ん~……パロンさんは真剣に考えて話を進めてくれている。ちょっと言いづらいな~……でも自分のやりたいこと、父さんを探しに行くんだ!
「バロンさん実は……」
「ブラックを探しに行って来ます。すぐに戻ると思いますけど、留守をお願いしますね!」
母さん俺が言おうと思ったのに……
「ミルキーさん?……あ~そうかタクトくんが」
そうだよね。さっきは父さんは全然大丈夫だって言っていた母さんが探しに行くって言ったらなんでって思うもんな。でもバロンさんは察してくれたようだ。
「すいません!やっぱり父さんが心配です!行かせて下さい」
俺は頭を下げてお願いする。
「分かったよ。タクトくん、行って来なさい。こっちのことは何とかしておくよ」
あれ?意外とあっさりお許しが頂けた。もっとなんか引き止められると思っていたけど。やっぱりバロンさんは優しいな。
「あれ?バロンさんなんか顔色がすぐれないようですけど大丈夫ですか?」
バロンさんは一点を見つめ青白い顔をしている。
「いや!大丈夫だよ!タクトくん。ささっ、遠慮せず行きたまえ!ブラックのこと頼んだよ!」
急かされてる?なんでだ?
俺はバロンさんの視線を追うと笑顔の母さんが居た。俺は何で母さんを見ているのだろうと疑問に思いそのまま母さんを見ていると、母さんの瞳に一瞬目がいってしまう。すると!
はぁ!?……全身の震え!冷や汗が止まらない。それになんだ?このグサグサと全身に刺さるような痛みは、まさかこれって母さんの………
一瞬のことだったから心が保てた。あんなの長く見てたら精神が崩壊する。
バロンさんの顔色が悪かったのは母さんが放っていた殺気のせいだったのか、何やってるんだよ母さん。
とにかくバロンさんが可哀想だったので、俺は母さんの手を引っ張って出て行く。
…………▽
「はぁ~……母さんちょっと乱暴じゃない?」
「乱暴?何を言っているの?母さん何もしていないわよ」
ん?いやでもバロンさんに殺気を放っていたよね?
母さんは本当に何のことか分かっていないようで、嘘をついているようには見えなかった。そこで俺は考える。もしや無意識にやったのではないかと?もしもそうだったとしたら……きっと死人が続出するだろう。
ここで改めて思う。母さんは俺の敵に回ることはないだろうけど、俺のためなら他の者を敵に回す恐れがある。俺の一言が死に繋がる。………母さんの扱いには気をつけよ~
俺は自分の中で納得と覚悟をして王都へと向かう。
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