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第322話 俺許可貰ってるんで……
しおりを挟むここは常闇の隠れ家、中では騒ぎが起きていた。
「なぜ!なぜキサマがここに居る!」
酷く動揺し震えるアンデラ
「地獄の底から舞い戻って来たわ!お前を倒すためにな!覚悟しやがれ!」
ビシッとアンデラに指を差し怒りを滲ませる。
お前のせいで酷い目に遭ったわ!絶対に許さん!俺が味わった恐怖そして屈辱を怒りに変えてお前に叩き込もう。
ゴォーーっと膨大な魔力がタクトから放出されていた。
◆時は遡り、タクトの視点
ニキに言われこの方法なら外に出られる。と言うことは頭では理解出来ていたけど……気持ち的にちょっと無理かも、普通の人ならあの世とか地獄とか行きたいなんて言う人はいないだろう。しかしながら俺の場合は少し違う。冥界の女神ことヘカテー様に冥界の女番長ことヘル姉さんが居る。ぶっちゃけこの二人が怖いんです。
「うっう~ん……ニキ、それはなかなかの手だな」
やや詰まりながら答える。
「えっへん!なのだ!」
ニキはピーンっと立ち前足を腰に当てて偉そうにする。ニキ……褒められたと思っているようだけど、良い意味のなかなかじゃないんだ。ごめんな。
「タクト、今変なことが聞こえたんだが冗談か何かか?」
不可思議な顔で父さんが聞いて来た。
うん!父さん俺にも聞こえた。勘違いじゃないね。
「うん…ボク下から出るね」
いやいや行くことにしたので、俺のテンションだだ下がりである。
「タクトー諦めるな!父さんはお前の自殺なんて絶対に許さないからなーー!意地でも止めてやる」
あ…やべぇ!元気がなかったこともあって勘違いさせちゃった。
「あ…父さんあのね……」
父さんを説得しようと話をしていると遮られた。
「ガシッ」と後ろから首に抱き着かれ……うっ…苦しい~。放して母さん。
母さんも今の話を聞いて反応したんだろう。何とかして落ち着かせないと、俺が違った意味で落とされる~…………
「母さん落ち着きなさい。このままだと本当にタクトが死んでしまうよ。それは嫌だろ。放してあげて!」
父さんが優しく声をかけると、言われたことに聞がつき、バッと勢いよく離れた。
「ゲホッゲホッ……あ~死ぬかと思った~」
空気がうまい。
「タクトそれで、父さんと母さんは取り乱してしまったけど、何か考えがあるんだろ。教えてくれないか?」
たぶん母さんを見て冷静になったな。父さんは落ち着きを取り戻し、母さんも横でカクンカクンと首を縦に振っていた。
「あ、うん、大丈夫そのつもりだから」
「すまないな。タクト説明を頼む」
やっと話が出来る。無用なやり取りではあったけど、あんなに心配してくれたのは少し嬉しかった。
「まずはここで確認しておかないといけないこと、父さん、このヘルホールはアンデラを倒したらどうなるか知ってる?」
「恐らくとしか言えないが、この異空間は屋敷と違って維持するのにかなりの集中力をようすると聞いている。そのために眠ることも出来ないとも、つまりアンデラさんの意識を断てば、このヘルホールは崩壊する」
「父さんそれで十分だよ。これでボクがやることが明確に決まった。ボクは地獄に入ってそこから元の世界に戻る。その後アンデラを倒せばみんなもここから出られる」
俺は父さんと母さんに少しでも心配させないために自信満々に言ってみせた。するとキョウカが話割って入って来る。
「タクトあなた、それがどれだけ無茶なことなのか分かって言ってる?地獄は人が生きられるような環境じゃないのよ。身体が維持出来ない」
流石は大魔導師様だな。地獄についても詳しいみたいで、だけど俺許可貰ってるんで問題ないだわ。
「それについては問題ないから、一応一度行ったことがあってちゃんと戻れてるから、キョウカはみんなと心配しないで待っててよ。適当に美味しいデザートも出しておくからさ」
「デザートなのだ?おはぎなのだ?」
ニキ~全くこの犬っころわ~
「ザンネン~ニキはボクと行くからお預けだ!」
がーん……あんぐりして大口でショックを受けるニキ。
ニキはテクテクとキョウカの足元に歩き、キョウカにすり寄る。犬っころ逃げれると思うなよ!
「ニキ、ニキには案内をお願いしたいから付いてきてもらうよ」
「イヤなのだ!おはぎを食べるのだ!」
この食いしん坊犬が!それにおはぎを出すとは言ってない!
「はぁ~全くニキは、飯抜きにされたくなかったらさっさと来る!それに案内してくれてらおはぎだけじゃなくって八ツ橋も付けるぞ!」
「ん?八ツ橋?それ美味しいのだ?」
「そりゃ~も~う。甘くてモチモチして、味も色々あるんだぞ!頑張らないかニキ!」
タッタッタッ……小走りの足音がする。
「タクト俺ついていく」
「良く決断したな。食いしん坊くん、じゃ~一緒に頑張ろうか!地獄の旅へLet's goだ!」
「のだー!」
元気よく返事をしてついてきてくれるニキ、うんうん、食いしん坊は扱いやすくて助かる。
「はぁ~全く呆れるわ。そんなことも出来たの?イリス様からはあなたにはスキルを与えていないって聞いていたけど?手持ちのスキルにしては強力過ぎるわね。あなた本当に変わってる」
「う、うん、イリスからは貰ってないね~イリスからわ……」
なんかあんまりヘカテー様から貰ったって言いたくない。濁して話をする。
「タクト本当に行くのか?」
「タクちゃん……行かないで……」
「父さん、母さん、大丈夫だよ!ちゃんと生きて帰って来るから、信じて待っててね!」
心配そうにする二人に安心させようと笑顔で伝えた。
大丈夫……死ぬことはまずない……と思う。
さ~っと行って、さ~っと抜け出せば何事もないはず、あの二人に見つからなければ………
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