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第323話 オーイオニ?
しおりを挟む「やっと着いた。ここがヘルホールの最下層か…」
俺とニキは父さん達と別れ、地獄への入口に向かっ降りていた。最下層に到着し周りを見渡すとまるで火山の火口のように円形に近いくぼみ状の形状をしており中心が赤く光っていた。
「えーーっと……扉はどこかな?」
それっぽい物がない。
「タクトあそこなのだ!」
ヒョイヒョイと前足を動かし指した先は赤く光る火口、うぇーあれに入るの~うそでしょう!あんなのに入ったらドロドロになって死ぬ~。
「な~ニキ、あれに入ったら地獄には行けるかもしれないけど、もう戻って来るための身体がなくなっちゃうんじゃないの?」
「大丈夫なのだ!大したことないのだ!」
ニキはあっけらかんと言うけど、どう見てもマグマに見える。溶けてなくなる自分しか想像出来ず尻込みしてしまう。
「くそ!でも入るしかないもんな!行くぞー!ボクは行ってやるんだ!……うおぉぉぉーー!!」
俺は走り火口に向かって飛ぶ……すると!マグマのように赤く光っていた色が、スーッと白く変わり透明になっていった。俺はそこにボチャンっと飛び込み、奥深くへ落ちて行った。
まるで水の中にいる様だけど呼吸が出来るし苦しくない。なんだこりゃ?
そのまま落ちていくと、少し下が明るくなってきた。もしかしてあそこが出口か?そのまま光の中に入る。
不思議なことにさっきまで落ちていたのに水の玉に包まれてポンッと打ち上げられた。突然上下が逆になり空中に投げ出される。
うげぇ~目が回る~。
水球の中でぐるぐると回されまたも落下、地面に落ちて行く。ポヨンっと地面に衝突しゴロゴロっと一分ほど転がり、突然パンっと水球が破裂、俺とニキは外に放り出された。
「痛った~なんなんだよ!も~う!……うぇ!?」
頭を擦りながら立ち上がると目の前に図太い針があってびっくりした。
「な!危ないな~こんな尖った物道端に出したらダメだろ~、誰かがぶつかって怪我でもしたらどうするんだよ!う~ん折っとくか!」
「あ!タクトそれを折らないほうが……」
「え~?」
なんか言った?ニキ……
俺はハンマーで尖った針のような物を折った。
「あ~あ~やっちゃったのだ。今日の当番は誰なのだ?面倒なのじゃなきゃ~良いけど」
「なんだよニキ、さっきからブツブツ、それよりここって地獄なのか?前来た時とはだいぶ違う雰囲気だけど、えらくトゲトゲした山があるな~」
振り返るといくつもの小山があり鋭く太い針が突き出ていた。さっきのと同じだ。なんだこの危ない場所は?
「オイオイオイオイオイオイオイオイ!オ~イ!てめぇか~?備品を壊したのは!アー~ン!」
俺は………絶句する。なんだこのヤンキーみたいなノリのボンバーヘット野郎は………しかも驚くなかれ、その髪は針のように尖っていた!?
「おい!てめぇ!聞い…てんのか!アー~ン」
「痛ててぇてぇ!離れて!痛いからどけ!」
変なやつに絡まれた!?何か言いながらグリグリと頭を押しつけてくる。トゲトゲでチクチクどころかグサグサと痛い!
「サイアクなのだ。一番話が通じないヤツが来た……」
呆然とするニキ、語尾にのだをつけ忘れるほど、これは相当面倒くさい予感。
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!オーイ……ニキ久しぶりじゃ~ねぇか!会いたかったぜ!」
「相変わらず煩いヤツなのだ。ヤセツは仕事をしっかりやるのだ!」
「五月蝿えー!お前だけには言われたくねぇーんだよ」
どうやらこの二人知り合いのようだ。ただ揉めてる。こんなところで時間食ってる場合じゃないんだけど、早くしてくんないかな~。
「な~ニキ、この方はどなた?お友達か何かか?」
「タクト冗談でもそう言うこと言うのはやめるのだ」
「いや、別に冗談で言ってるわけじゃないんだけど、知らないだけで、あんまりなんだ……」
「あんまりどころじゃない。苦手なのだ」
ニキはものすごく嫌そうな顔をしていた。
「それじゃ~この人はなんなのよ!」
変なヤツなのは分かるけど、こんな場所で何をしているんだ?
「はぁ~俺様か~、オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオーイ、オニに決まってるだろが!アー~ン」
うるさい!あとオーイオニ?おーいお茶みたいに言うな!………オニ?どの辺が鬼なのよ?
「タクト、ヤセツはこの針山の獄卒なのだ?」
獄卒……獄卒って地獄に居る番人だったか?確か生前
罪を犯した者に様々な責め苦を与え苦しめる鬼だったかな。
「えーーっとあなた鬼なんですか?」
「アー~ン?てめぇ!ナメてぇんな!どう見ても俺様はオニだろが!よく見ろよ!この角を!」
「あ!………本当だ!」
ヤセツはトゲ頭を掻き分けると角が二本生えていた。でもちっさ!その髪の毛のせいで見えないよ!
「どうも失礼致しました。それでボク達に何か御用でしょうか?」
「はぁ?御用ですか?だと、さっきから言ってるだろうが!コイツを壊したのはお前だろ!」
ヤセツが指さした先にはさっき折った針があった。
「ん?これが何か、道端にこんなのがあったら危ないと思ったから折っておいたんですけど、マズかったですか」
「当たり前だ!バカヤロー!それは針山の針だぞ!せっかく作ったのに折りやがって!どうしてくれるんだよ」
「タクト、タクトが折ったのは、この針山の整備用の針なのだ。それでヤセツが針の栽培と整備を担当している。だから怒ってるのだ」
もう少しニキに詳しく説明を聞くとヤセツはこの針山地獄を管理している人で、俺が折った針はヤセツが丹精込めて鉄鉱石から作った針だった。それは怒るわな。
「ヤセツさんすいませんでした。知らなかったとは言え大事な針を折ってしまって」
俺は頭を下げた。
「はぁ~……オーイ頭を上げろ。謝ってくれればそれで良しだ!針はまた作ればいい」
あれ?案外あっさり?もっと責められるかと。
俺は予想外の反応に驚く。
「ありがとう御座います」
「あーその話はこれで終いだ。俺様はグダグダ言うのは好きじゃない!それにそれより今は他にやることがある!ニキ~此処で会ったが百年目!勝負だ!コノヤロー!」
ニキはガクッと首を落とししんどそうな顔で俺を見上げる。
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