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第346話 VSカミラさん③
しおりを挟むいや!ダメだ!ダメだ!
アレを使うのは我慢しろ!
せっかく模擬戦を、いやご指導頂いているんだ。
相手の想いを汲み取るならここで楽はしちゃ~ダメだよな。
俺は再び考察する。今度は上空にトラップが仕掛けられた。さっきの様に地の精霊に頼むのは無しだろう。そしてまだ幾重にもトラップが仕掛けられていることも想定して動かなければならない。
上空のトラップも同じか見えもしないし感知も出来ない。ただ触れれば発動して消える。
大丈夫だ。このくらいなら何とでもなる。
問題はカミラさんの他に何をしてくるか、そして俺がそれに対応出来るか。
作戦は立った。ここからは特にカンナとの連携を必要とする。アレを使うか。
『陰陽道スキル∶思念伝達』
(お~い!カンナ聞こえるか~)
(こちらカンナや!よ~きこえるでぇ~、どうぞ~)
(カンナこれ無線機じゃないから、同時通話だから、
どうぞはいらないぞ!どうぞ!……あ!間違いた)
(ええやん!なんかノリ的に楽しい)
(無線機みたいに交互通話してたらワンテンポツーテンポ遅れるやろうが!そんなもん出来るか~)
(なんやノリ悪いは~楽しんでいこうや!)
なぜか楽しそうに笑うカンナを見て「アホか!」とツッコミを入れようとした。だけど俺は直前で言うのをやめた。確かに真剣に取り組まなけれびいけない。それはそう思った。だけど楽しく出来るなら楽しみたい。だからカンナが言うことも理解が出来た。
(そうだな!カンナの言う通りだ。ただま~交互通信はなしで楽しく真剣にやろう)
(了解やで!ほな行きましょか~)
(おう!相棒頼んだぜ!)
俺は思念伝達でカンナに指示を飛ばす。
この思念伝達を使って分かったが意外と便利!言葉だけではなく、イメージすればそれを相手に送ることも出来る。その為スムーズに相手に内容を伝えられた。
「タクトさん準備は出来ましたか?」
「あらら、また待たせてしまったようで申し訳ない。
ただその分だけご期待に応えられるかと思いますよ」
「そうですか、それは楽しみです。では再開と行きましょう」
カミラさんは大きく翼を広げると、翼から光を放ち地上にある氷柱に当て乱反射、一気に複数の光線が乱れ飛びする。
カミラさんいきなりやってくれたな!
ド初っ端から型を崩して来た!
数十の光線が高速で飛んでくるのを躱すのは不可能、ただし普通に対応すればだけどね。
『配管(空間転移)』
俺とカンナはそれぞれ配管に入り一気に移動する。
そしてその先は……
「私に不意打ちをするのは難しいですよ」
カミラは魔力感知により空間に変化があること察知、斜め後方三メートルに氷柱を生成し放つ。
氷柱は飛んで行く先に配管が設置されそこからひょっこりと姿を現す。
「ガキーン」
氷柱がぶつかった音が響く。この時カミラは空間障壁によって防がれたと認識する。
『バーナー(空間延焼)』
ゴーーーっと音を立て周辺に赤い炎が燃え広がる。
この時カミラは周辺に設置した電撃トラップが取り除かれ、そして自分が炎の檻に閉じ込められ動きを制限されたことも認識する。
「このまま攻めて来るつもりですか、ですが容易にはさせません」
二人の姿は消えた。
カミラは空間転移で急激に接近されることを想定し魔力感知の幅を狭べ、その代わり感度を上げ、いち早く対応出来る状況にする。加えて感知した瞬間、自動追撃魔法としてプリザードを用意、相手の動きと視界を奪う。
燃え盛る炎の中にポツンと配管が現れた。
(クックックッ、カンナ一気にカミラさんの体勢を崩す!)
(了解や!風穴開けたる~)
俺は配管からビス(空間停止)を連射する。
ビスはカミラさんに当たり前に動きを止める。
この時ビスが白い何かに覆われ動かなくなったのは分かったが、それが何かは分からない。だけど恐ろしい反応速度で攻撃が止められたことから牽制以上の効果を得られた。
「行くぞ!配管から空間転移の推進力で俺を射出し、すべてを破壊するドリル(空間破砕)でどんな攻撃も防御も蹴散らす!」
俺はぶっ飛んだ!
勢いよく飛んだのは良いが距離もそれなりにあり、魔法よりは遅い、当然カミラさんからの攻撃が来る。
『アイシクルランス』
数十本の氷の槍、一瞬でそれを生成して放つカミラさんの魔法はすごい。だけどこの程度で俺は止められない。
俺の右腕に巻き付く様に金属のプレートが浮かんでおり、それが広範囲に広がり回転し巨大なドリルと化す。ドリルは空間を削りながら氷槍を砕き空間へと巻き込み吸い取っていく。
その時、初めてカミラさんの顔が明確に嫌な顔に変わった。カミラさんは恐らく相当なポーカーフェイスだと思う。それなのに分かったと言うことは、つまりかなり困らせることに成功したことを意味している。
良し!このまま突っ込む!……ん?なんだこりゃ!?
腕に足とロープのような物が巻き付き前に進めない。やってくれたな!
ロープは空中に仕掛けられたトラップから放たれているのが見える。ドリルが通ったあとの後ろから放たれたようで、これなら俺を止めることで同時にドリルを止めることが出来る。これを止められるとは思っていなかったから驚くしかない。
ただま~一手止めたくらいで止まる俺とカンナじゃない!
『ニッパー(空間切断)』
ズバッとロープが切られる。
切ったのは隠れていたカンナ。
俺一人で攻撃が当てられなかった時のために待機させていた。
「それじゃ~もう一度行かせてもらう!」
俺は空中に手袋(空間障壁)で足場を作り、カミラさんに向かって走る。
カミラさんはここが勝負所と感じたのか、今までと違い膨大な魔力を放出、魔力は光と変わる。
光が放たれたのは地上にある氷柱、どうやら真正面から攻撃してもドリルに阻まれると判断したようだ。
すべての光線は氷柱を返しすべて俺の背後から迫る。
「残念でした!止まりま~す!」
俺はピタッと止まる。すると!安全靴(空間反射)の効果で光線は弾かれ、俺はもちろん無傷。
「カミラさんチェックメイトです!」
俺は残り数メートルまで近づいた。
「まだです!タクトさん」
カミラさんはまだ諦めてはいない。だけど……
「捕まえた~!」
「キャ!?」
カミラさんの短い叫び声が聞こえ、それは俺達の勝利を意味する。
その時何が起きたか、カミラさんの注意は完全に俺に向けることが出来た。つまり今なら隙が出来ると言うこと、俺は思念伝達を使いカンナに配管(空間転移)でカミラさんの後ろに移動して捕まえるように指示、これが上手く行ったわけだ!
「タクトさん、カンナさん参りました。今のは完全に意表を突かれました。攻撃を受けていれば私は死んでいたでしょう」
カミラさんは潔く負けを認めてくれた。
だけど俺はその言葉をまともに受け取れる程お調子ものではない。
「カミラさん、負けとか勝ちとかあんまり関係ないですよ。完全に僕達は生徒だった。ご指導ありがとうございます。今回のことで自分に至らない点がよく分かりました。またの機会がありましたらお願いできますか?」
カミラさんは全然本気で戦っていないんだ!うぬぼれるな!俺は自分に喝を入れて、カミラさんに感謝を伝えた。
「えぇ、もちろんです。タクトさんはまだまだ伸びしろがありますから、シゴキがいがありそうですからいつでも声をかけてくださいね」
ん!……それって
ふと頭によぎるものがあったが俺はそっとしまう。
そこにイリスが近づいて来て一言言った。
タクトはまだまだ稚拙だと。
言われんでも分かっとるわい!
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