異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

文字の大きさ
373 / 407

第372話 最強騎士トリスタン

しおりを挟む

「お久し振りです。バロンさん」

「トリスタンお前何をやっているのか、分かっているんだろうな!」

 クロア、クリエを後ろから斬ったことにバロンは怒りを覚え、表情には出さなかったが声にその怒気が乗っていた。

「あなたに怒られる筋合いはありません。あなたはもう私の上司ではない。それにその二人は国を守る兵士としてなっていない。国に仇なす賊をこんなにあっさりと入れてしまうのだから……罰は必要だ……」

「はぁ~……トリスタン、真面目なのはいいが、お前は間違っている。誰が仲間を傷つけてまで規則を守れと言った」

「フッ、さっきも言いましたが、あなたは私の上司ではない。小言は聞きませんよ!」

 トリスタンは大きなハットを片手で押さえると、剣に手をかけ目にも留まらぬ速さで抜き剣を振った。

「キーン………」
 トリスタンの剣とバロンの剣が交差する。

「あなたは私より弱いんだ!さっさと退いてください」

 トリスタンは身体強化と膨大な闘気(オーラ)でバロンを圧倒、バロンは弾き飛ばされる。

 バロンは十メートル程飛び着地。
 バロンの目がより厳しいものに変わる。

 二人の間に闘気がぶつかり波紋となって広がる。
 そんなピリピリとした緊張感溢れる中、だらっとだらけた緊張感のかけらもない声が聞こえた。

「お~い!二人ともやめろやめろ」
 両手をダラダラと振って現れたのはイグニス。
 全然空気を読んでいない。

「おいおい、バロンお前が熱くなってどうする。冷静な判断が出来るのがお前の売りだろ」
「んーーイグニスお前に言われるとはな。今日はお酒は飲んでいないな」
「んだよ!そう言う返しはズルいぞ!今日は1杯しか飲んでねぇ~よ!」
「なんだ飲んでるんだな。でもお前が1杯……むしろ調子は良さそうだな」

 バロンは冷静になり闘気(オーラ)を抑える。
 

「イグニスさん、邪魔をしないでほしいな~。せっかくバロンさんを叩きのめせたのに」

 軽口を言うトリスタン。
 それを聞いたイグニスはため息をした。

「トリスタンお前な~。そんな安い挑発にバロンは乗らないからな。でもな~よ~く聞け…クソガキ!俺は調子に乗ってるヤツは焼くぞ!」

 イグニスの怒気を当てられたトリスタンはニヤリと笑みを浮かべた。

「イグニス、今度は私が止めないといけないのか?」
 呆れたように言う。
「あ!いっけね!俺が焚き付けられたか?危ない危ない。今日は俺じゃないもんな。いっけねぇ~いっけねぇ~」
「そう言うことだ。私の娘は強いぞ!」
「そうそう、俺の弟子でもあるからな」

 バロンとイグニスは嬉しそうに話をする。
 それを聞いてトリスタンの前に進むノルン。

「本気……なんですね。イグニスさん、それにバロンさんは良いのですか?娘さんが斬り刻まれることになるんてすよ」

 バロンとイグニスが答えようとしたが、それを遮るようにスカーレットが現れる。


「あなたが……トリスタンだったかしら?」
「えぇ、どうも、一応スカーレットさんとは何度か会っているのですが」
「覚えていないは、大した男じゃないんでしょ」
「スカーレットさんは変わらず気が強く、厳しい。そうですね。私はまだ弱いかもしれません。ですがあなたの旦那より強いですよ」
「あなた馬鹿なのかしら?本当の強さを全く分かっていない。それとも忘れてしまったのかしら、フフッ、大丈夫よ。きっと私の娘があなたにそれを教えてくれるわ」

 不敵に笑うスカーレットにトリスタンは苦笑い。

「フッ、口であなたに勝とうとは思わない。言っても分からないなら、行動で示すだけです」

 トリスタンはスーッと流れるように剣を構えた。

「ノルンちゃん!負けるんじゃないわよ~!私も修行に付き合ったんだからねぇ~。そんなヤツボッコボコにたたんじゃいなさ~い!」

 ジェーからの熱いエールにノルンは手を挙げて応えた。



「ふぅ~………緊張する」
 深呼吸しながら剣を引き抜きリラックスする。

 トリスタンは意表を突かれ一瞬呆然とし、得心いったようで、ノルンに声をかけた。


「あまり硬くならなくていい。さっきはああ言ったけど安心してほしい。そこまでのことをするつもりはないから、手心を加えよう」

 トリスタンは優しくノルンに話かけたが、ノルンの反応はトリスタンの思うところではなかった。ノルンの表情はさっきまでとは違い酷く歪ませて、まるで生理的に無理と訴えているようだった。


「ありがとう。でも気にしないで、私あなたに勝つために修行をしてきたから、全力じゃないと意味ないの」

 ノルンはキリッとした目で言った。その目を見たトリスタンには本気だと、私を倒すと訴えていることにイラつきを見せる。

「随分と強気だ。それは良くない。弁え給え。力なき者は何も訴えられないのだ」

「うん。そうかも、でも私は力だけが全てじゃないと思う。むしろ力なき者のために剣振るいたいから、あなたが言う意味を理解したくない。もういいから剣(これ)で語りましょう」

 ノルンも剣を構えた。

「バロンさんの娘らしい言葉だね。そんなんだから私に負けるんだよ」

 ノルンの剣に炎が灯り火花が散る。パチパチと激しく鳴る音はノルン怒りをあらわしていた。


 ノルン勢いよくトリスタンに接近し剣を振った。それを余裕そうに受け止めるのだが、剣が衝突した瞬間、トリスタンの表情が変わった。

 ズシーンっと重い。
 トリスタンの剣が押し込まれる。
 踏ん張るが間に合わず。

 トリスタンは両足をずって数メートル押し飛ばされ、その眉間にシワを寄せてノルンを睨みつけた。

 ノルンとトリスタンの闘いが始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...