異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り

銀塊 メウ

文字の大きさ
396 / 407

第395話 小さな者達

しおりを挟む


「ぷっぷっぷつ……身体が馴染んできたね。良い感じだよボルジア」

 少年アトラスは謁見の間の出来ごとを楽しそうに笑って見ていた。


 ここは不思議な空間だった。真っ暗な空間で謁見の間の映像が映されている。そこにはバロンやイグニス達が闇の中で鎖の様な物で腕と脚を拘束されていた。


「アトラス、ボルジアはどうなっているんだ?明らかに普通じゃないぜ!」

「えへへ、イグニス…教えてほしい?」

「おう!素直に聞くから教えてくれ~」

「えへへ、じゃ~仕方がないな~特別だよ!」

 無邪気な少年のような仕草で笑いアトラスは話を始める。


「逢魔の扉、宝物庫にあると聞いていたあの扉を開いたんだな。一体そこに何があったんだ!」

「もう!バロン、ボクが話そうとしているだから口出さないでよね!でもいい勘してるよ。正解!ボルジアは逢魔の扉を開いたんだよ」

「それはおかしい。ボルジアには開くことが出来なかったはずだ。どうして入ることが出来た?」

「ふ~ん……そこまで知っているのなら話が早いや。逢魔の扉を開く条件は二つ、王族に連なる者の血を引いていないといけないこと。ボルジアは腐っても王族だからね」

「そんなことは知っている。問題はもう一つ。ボルジアは太陽の指輪を持っていない。それを持っているのはハドリアヌス国王のみだ。だから開けないはずなのに……」

「そう開いたのはボルジアではないけどね。そもそも条件を間違えているんだよ。みんなね!」

 
………………▽


◆謁見の間、タクトの視点


 ……………痛ってぇ~肋骨が二本はいったな。
 ガハッ……呼吸するたびに痛むのは地獄だな。

 でも痛みのおかげで頭は冷静になれている。
 まずやるべきことは治療。俺は絆創膏(ばんそうこう)を貼る。

 怪我をして三十秒ってところか、少し話でもしながら時間を稼ぐかね。


「やられたよ。完全に嵌められた。油断はするなってことだな。それにしても二人に増えるとか反則じゃねぇの?」

「反則?フッ…フッ…フッハッハッハッ、弱く無能な者はすぐに強く優れた者をひがむ。自分に力がないだけだというのに、腹立たしい。ゴミムシ分際で……ま~仕方あるまいか、無能は頭が悪いのだ。考えることも出来ないんだろう」

 こういう偉い人は話すのが好きなんだよ。ダラダラと理由の分からないことを、でもま~こちらの思惑通り上手く時間は稼げた。治療完了っと!


 俺は立ち上がった。

 相手は二人に増えている。上手くやらないとな。


 ボルジアは二手に分かれ俺を挟むように移動し立ち止まる。それぞれ片腕を上げると手の平から黒い魔力を放出する。俺はそれを片方はニッパー、もう片方をナイフで切り裂く。

 ボルジアは魔力を球体に変え連続で投げて来た。俺はヘルメットのスキルで空間加速し高速移動、それを両サイドから挟むように追いかけながら魔力弾を投げ続ける。俺は目の前に配管を設置し走って入って空間転移。そのまま配管の行き先を片側のボルジアの後ろに設置、飛び出すと同時にハンマーでぶん殴る。

 ボルジアは壁に衝突し倒れる。

 来ている。強い敵意!隠すつもりは全くないな。

 もう一人のボルジアが殴って来たので空間障壁で受け止めバーナーを向ける。

『空間延焼』

 ボルジアの周辺2メートルが炎に包まれる。普通なら骨も残らないほどの熱量だが、炎の中で動く姿が見える。倒せてはいない。


「熱い。熱い。熱いなこのゴミムシがぁ!」
 ボルジアは激昂しがむしゃらに空間障壁を殴る。「ドンドン」と重い衝撃のパンチ、金属をも変形させるほどの力ではあるが、この空間障壁は破れない。そのはずだった。

「ピキッ」…………なに!?
 空間障壁に綻びが見える。

 あり得ないぞ。コイツはそう簡単には壊せないはず。

 しかし現実は、事実を突きつけてくるもの。
 
「バキッ」

 チッ!……もう一人も立ち上がったか、出来れば早めに一人は倒しておきたかったんだがな。

 ハンマーでぶっ飛ばしたボルジアも立ち上がり、殴って攻撃してきたのだが、空間障壁で防いだ。だが問題はたった一撃でヒビを入れたこと、さっきより更に威力が上がっている。次にまともに殴られたら、俺の闘気(オーラ)では防ぎ切れず、即死間違いなしだ。

 ボルジアは急速に強さを増している。
 このままどこまで上がるのか?
 それに今のレベルでも対処するのが手一杯。


 …………また余計なことを考えてる。
 目の前に居る敵から意識を逸らすな!

 二人のボルジアは相変わらず直線的に向かって来る。だがさっきとは違い油断はしていない。もう簡単には罠には引っかかってはくれそうにないな。

(もうあの攻撃を真正面から受け止めるのは得策じゃない。躱すかいなすか………え!?)

「タクトをいじめるな~!」
 小さいのに勇気がある。エメリアが俺の懐から飛び出しボルジアに突っ込む。その小ささから気にも止めなかったのか、あっさりとエメリアは懐に入ると強烈な頭突きを喰らわす!その小さな身体からは考えられない力でボルジアの一人は「ボゲェ」と変な声を漏らして転げ倒れる。

 もう一人のボルジアは倒れた自分に何が起こったのか分からず足を止める。

「そうじゃな!タクトをイジメてもいいのは我だけなのじゃ」

 地面がせり上がりもう一人のボルジアは天井にぶつかり潰される。

 の小さな妖精が現れる。

「先生、弟子をイジメるのはダメだと思いますよ」

「なんじゃ?先生が弟子で遊ぶのは特権じゃろう」

「違いますよ。ローム先生、弟子は大切にしましょう」

「ふむ仕方あるまい。大切な弟子じゃ、守ってやるかのう~」

 俺の前にはローム先生とエメリアが居た。
 戦いは仕切り直しになった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

処理中です...