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第1章 刻印覚醒編
第15話 ギャンブル惑星で一稼ぎ(3)
しおりを挟む頭を下げ、ツノを突き出しながら突進してくるブルダング。狭いこのフィールド内なので逃げ場も少ない。シーカーはすぐさま壁際に寄りブルダングの動きを止めようと構える。
「うっし、来やがれ!!」
だがブルダングは速度を緩める事なく、突進してきた。
「来やが、がれ……」
声が震えて来るシーカー。目前に迫ってもブルダングは鼻息を更に荒げて突進をやめなかった。
「……やっぱ無理だ!!」
やはりあのど迫力な顔に押し負けて、角が当たるギリギリでシーカーは左に回避した。そして角から突進したブルダングは観客席の石壁にぶつかったが、石壁は特殊な加工をしているため、壊れる事はなくブルダングの身体全体に電撃が走り、ブルダングの毛が逆立ち煙が舞う。
壁意外にもこのシーカーがいるフィールドの上空も円状のバリアが張られている。
「な、何だ!?」
「おぉ~っと、惜しい!!ブルダングが壁にぶつかり電撃を直に食らったぞぉ~」
支配人の素晴らしいマイクパフォーマンスによる勢いのある実況とブルダングの苦しむ姿を見て、富裕層達は大歓声を上げる。
シーカーが観客席を見渡すと、綺麗なドレスやスーツを着た富裕層は人を人として見ていない顔をしながら汚く笑っている。
「狂ってやがるぜ……これが富裕層の娯楽って奴かよ」
するとメサからSyoによる連絡が入ってきた。
「シーカー!!ここにいる多くの富裕層は老人や主婦が多いみたいだ!!」
「何でそんなこと分かるんだよ⁉︎」
「プレイヤー名見ると一目で分かるぜ」
シーカーが観客席にいる富裕層達の名前を見るとAsakoやゲンジなど自分の名前のプレイヤーが多くいる。若者プレイヤーは名前バレ対策で名前に関係ない名前のプレイヤーが多い。
更に老若男女問わずに人気で、老人や主婦などもプレイしている。主に時間の間や暇を潰すためにやっている事が多いが、そこからどハマりする人達も多く年金や家の金をこっそり課金に使い家庭崩壊する家庭もあれば、ハマりすぎてゲームをプレイしたまま死に至る老人もいるらしい。
「俺とブルダングはそんな奴らの見世物って訳かよ」
「更にここは違法カジノみたいだ。運営からは見つからないように高度なプログラムを仕組んでいるみたいだ」
「めんどくさいカジノだったって事か……とんだ災難だぜ」
ブルダングは自分の身体を揺さぶり、気を戻した。そしてまたシーカーの赤の服を見て、後ろ足で砂をかき、突進する準備を始める。
「かかってこい!!」
何とかしてブルダングを止めたいシーカーだが、あのパワーと速さの前になす術もない。
そしてブルダングが豪快な足音と共にシーカーに向けて突進を開始した。
シーカーは再びブルダングの突進を避け、ブルダングはまた壁の電撃を食らった。だが避ける最中シーカーがブルダングの身体を見ると至る所に鞭が何かで激しく叩かれ切り傷のような傷が出来ているのが分かった。
「傷跡……?」
その傷は壁からの電撃の傷ではなく、明らかに誰かに傷つけられ跡である事が、シーカーは分かった。すぐさまシーカーはSyoに連絡を送った。
「Syo、頼みがある!!」
「どうしたんだ?」
「今、石の扉が開いているのが見えるだろ!!」
「あぁそれがどうした?」
「その中に入ってくれないか」
「はぁ!?」
再びブルダングが怒り狂う顔で、シーカーを睨みつける。慌ててシーカーはあるものをSyoに送り込んだ。
「これを使え、これで行け!!」
「……透明薬……分かった」
透明薬……ただの粒だが、使ったら約1分は姿を見てが消える事が出来、地図からも敵味方の斑点も消滅する。
Syoはすぐさま立ち上がり石の扉付近の階段で透明薬の飲み込み、そのまま扉前に飛び降りて石の扉に入って行った。
その間もシーカーは突進してくるブルダングから避けてはブルダングが電撃で苦しむを繰り返し、その度に富裕層や支配人から大歓声が聞こえてくる。
石の扉の向こうには光が一切ない暗闇。それに多種多様の生物たちが無造作に配置されている狭い檻の中にいて、全ての生物は生気も感じず、絶望しているようだ。
「ここは見世物にされる生物達の檻場って事か……?」
向こうから白いシャツに黒いベストを着た男2人が何やら話しながらSyoの方へと向かってきている。透明薬も切れ、すぐさまSyoは隠れて話を盗み聞きした。
「ブルダングのガキ共はどこだっけ?」
「確かブルダングの檻の近くだが、今日のブルダングは特に怒っているよな~」
「子供達を人質に取られちゃあしょうがないもんなぁ~ありゃ今回の挑戦者もダメだな」
そう笑いながら話し、そのままブルダングの子供の方へと歩いていく。
怒りを胸にしまい、この事をすぐにブルダングから逃げるシーカーに連絡を入れた。
「シーカー!!ブルダングの子供達はここのカジノに人質として捕らえられているんだ!!ブルダングはその為に、ここにいるみたいだ!!他にも多くの生物がいるみたいだ」
「人質……か……」
そのことを聞き、目をカッと開きシーカーは拳を思いっきり握りしめてた瞬間、刻印が解放し身体全体に炎が纏い始めた。背中に炎の絵が現れ、右手の甲には炎の文字が浮かび上がった。
そんな変わりように支配人は大喜びで実況をし始めた。
「おおぉぉっと!!何だ今のはぁ!?さっきまで防戦一方だったシーカーさんがやっと攻勢に出るかぁぁぁ!?」
再びシーカーはSyoに力強く伝える。
「Syo、その生物達を助ける事は出来るか!!」
「……もちろんやってやるさ!!いや、やってみせる!!こんなカジノ俺達でぶっとばしてやるぜ!!」
ブルダングはシーカーを見て、大きく足を掻きツノを前に突き出し、突進する準備を始めた。先程のとは全然違う全力で突進するつもりのようだ。シーカーはニヤリと笑い、両手を前に出しツノを掴む構えを取る。
「お前の辛い気持ちごと俺がこの手で受け止めてやるぜッ!!」
「さぁ!!シーカーさんはブルダングをとめれるのかぁぁぁ!!」
そしてブルダングは一気に突進して来た。激しい足音と共に迫る鋭いツノ、そしてシーカーに激しい衝撃と風圧感じたが、辛い思いをしているブルダングの気持ちを胸にとどめて、ツノの先端ギリギリでブルダングの2本のツノを両手で掴むことに成功した。
「くっ……なんて力だッ!?」
必死に抑えるシーカーだぎ、ブルダングの力強いパワーの前には徐々に押されて、どんどん電撃の壁に追いやられた。
そして電撃の壁にシーカーの背中が当たった瞬間、シーカーの身体に強力な電撃が襲いかかった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
だがシーカーは手を離す事はせず、身体中の全神経を手に一点収集し、歯を食いしばり力一杯必死に掴んでいた。服も電撃を喰らい至る所が傷がつき、身体中に焼け焦げた跡ついた。でもシーカーは離すことはしなかった。絶対に離さない意思がそこにはあった。
その頃Syoはブルダングの子供達の方へと向かう男達の後ろをこっそりとついて行っている。
そして男達は動きを止め、小さな檻を見つめた。檻の中には小さなツノが生えたブルダングが3・4体がぎゅうぎゅう詰めにされていた。
「こいつらも時間が経てばあの親みたいな凶暴な生物になるのかぁ……あーやだやだ」
Syoはメサからあるアイテムを取り出した。ゴムボールのような形と柔らかさで、それをそっと男達の足元へと転がした。転がってきたボールが男の足に当たった。
「ん?何だ?」
下を向いた瞬間、ボールが破裂しボール内から粘着質な液体が男達を包み込んだ。男達は暴れるがそのうち固まり始めて、男達は石像のように固まってしまった。
「ふぅ~石化玉を買っといて助かったぜ」
石化玉には数分間の間は石像のように固まり動く事は出来ない。その隙を見て、Syoは固まった男の懐を探して鍵を取り、ブルダングの子供達の檻を開けた。
ブルダングの子供達はSyoを見て怯えて中々出てこようとはしなかった。
Syoは浮かない目でブルダングの子供達を見る。
「よっぽど酷い事されて来たんだな……もうすぐで俺のダチがお前達の親も救うからな……」
そしてシーカーの身体はボロボロなっているが、歯を食いしばり全力で止めていた。そして意識が途絶えそうになった時、Syoから連絡が入った。
「シーカー!!ブルダングの子供達は何とか保護をした!!……後は分かってるよな!!」
「あぁ……!!分かってるよ!!」
お互いに何かをわかり合い、シーカーの手の甲から炎の文字が更に強く浮き出て来た。そして今度は逆にブルダングを押し返し始めた。中央まで押し返すと、シーカーは歯を食いしばり、ツノを掴む手を更に強く握りしめ上に上げ始めた。
「おぉぉっとシーカーさん!!ブルダングを持ち上げようとしているのか!?」
その司会通り、ブルダングは徐々に持ち上がっていき、ブルダングは逆立ち状態になった。
「何とゆう事だ!!ブルダングが持ち上がってしまったぁ~!?」
「仕返しはお前自身の手でやるんだ!!行けぇぇぇ!!」
シーカーはブルダングを振り回し、そのまま富裕層達が観客席の電撃バリアへと投げ飛ばした。そして勢いよく飛んだブルダングのツノ部分が電撃バリアをガラスのように貫き、ブルダングは観客席に侵入する事に成功した。支配人はバリアを突破されあたふたと困惑する。
「えっえぇぇぇ!?突破されたぁぁぁ!?」
「さぁ後はお前の自由だ!!思い存分やっちまえ!!
困惑する富裕層達をブルダングはツノで突き飛ばし、大きな足で蹴飛ばし、踏み潰しと自由に倒していっている。
支配人は慌てた連絡をいれた。
「急いでブルダングを取り押さえろ!!」
「ブルダングだけでいいのか?支配人さんよ」
Syoの声と共に石の扉から大量の生物達が飛び出て来て、多くの生物達が飛び交い、仲間達との再会を喜びあった。
そして闘技場にいるSyoはとある紙を見せて来た。
「ついでに見つけたぜ!!この違法捕獲の生物達の密売書もな!!さぁみんなであの悪い支配人を倒せぇぇぇ!!」
ブルダングの子供達や他の捕獲された生物達は支配人を殺気立った目で睨みつけ一斉に支配人に飛びかかり、生物達に埋もれてしまった。
「ひぃ~お許しをぉぉぉ!!」
「モンスター達は遊ぶ為のものじゃない、討伐するためにあるんだぜ」
シーカーとSyoはお互いの手を交わし合った。
「ナイスだぜシーカーさんよ!!」
「Syoだって良くやったぜ!!」
そして富裕層達が落としていった金を笑顔で卑しく取っていく。
「ひひひ……もうけもうけ」
「ストレスも解消するし、金稼ぎも出来るし最高なカジノだぜ!!」
そして支配人をボコボコにしたブルダング親子は無事に鼻と鼻を引っ付けあい、親ブルダングも嬉しそうな顔をなり、大きく鳴いた。
シーカー達はカジノから帰る途中、カジノの入り口に黒いサングラスを掛けた足元まである大きな上着を着たあのサイコロ勝負したバニーガールがいた。
Syoは気づかなかったが、バニーガールを横切る際にシーカーにコソッと呟いて来た。
「シーカー……約束は守ってね……」
「あぁ……もちろん」
そう言うとバニーガールはゆっくりと何処かへと夜道に消えて行った。
「今のは?」
そうSyoに聞かれると軽く微笑み知らん振りをした。
「さぁな……とりあえずたんまり金も手に入れたし、明日はドカンと遊ぼうぜ‼︎」
シーカーが言うとSyoは笑顔で両手を挙げた。
「おう!!」
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