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第1章 刻印覚醒編
第18話 深海の底から見える影(3)
しおりを挟む深海へと向かう為、機体前方のライトを照らしながらハンドルを下に切り、海底へとゆっくりと進んで行く。
アルは乗る前は嫌がっていたものの、なんやかんや行って覗き穴から泳いでいる魚達を興味津々で見ている。
「わぁ~色んな魚が泳いでるわね」
「今はまだ現実で見た事のある魚がいるが、深海は見たこともないこのゲームオリジナルの気持ち悪い奴らもいっぱいいるからな」
シーカーは機械を自動操作に変更し、椅子から立ち上がり背伸びした。
「ふぅ~自動操作に変更したから少しゆっくり行こう」
Syoも後方の席で、機械を操作して立ち上がった。
「とりあえず生物探知機の自動反応を起動しておいた。もしメガロドンのような大型生物が接近したら即知らしてくれる」
「さすがSyo!!さっ、深海に着くまでトランプしてようぜ」
「オーケー」
ーーーーーーーーーーーーーー
深海に進む事30分程、段々と暗くなって行き、見慣れない生物が増え始めて来た。主に気持ち悪い生物が多く、透明な魚や物凄く大きな口を開けたチョウチンアンコウなど、アルもビクビクしながらガラスの球体から覗いていた。
「き、気持ち悪い生物が……いっぱいね……」
ビクビクして見ているアルに対して呑気にババ抜きを2人でしているシーカーとSyo。シーカーはトランプをしながらアルに言う。
「深海は普通の生物とは全然違うからな、これを機に見とけよ」
「……うぅ……」
そしてゆっくり動いていた船が動きを止めた。トランプをしていたシーカー達はトランプを投げ出し、すぐに立ち上がって2人で顔を見合わせた。
「おっ、深海に着いたようだな。さぁ準備の時間だ!!ここから忙しくなるぞぉ!!」
「おうよ!!」
さっきまでのほほんとトランプしてたシーカーとSyoだったが、来ましたと言わんばかりに大急ぎで席に戻り、騒がしくなり機械やボタンを弄り始めた。
シーカーは付近の生体反応がないか調べて、Syoは何やら操作している。
そしてSyoがオペレーターのように言いながらあるボタンを押した。
「まずは水中用発光弾発射する!!」
「OK、発射する!!」
シーカーの合図と共に潜水艇下部の扉が開き、そこから8つものピンポン球サイズの黒い球が暗い海の中に放たれた。その球は潜水艇から8つの方向に、まるで生きているように各自散らばっていった。
そして球体達は半径50m地点で止まり、球が強く発光し始めた。シーカー達の潜水艇からもその光は見え、Syoの元に各自の球がキチンと持ち場につき、発光した信号が届いた。
「発射成功だ!!」
「なら次はカメラボールを発射しろ!!」
「OK!!」
もはやアルには着いていけてないが、シーカー達は御構い無しに操作を続ける。またSyoが操作して、潜水艇下部が開いた。そしてまた黒い球が4つ飛び出て来て、各地に散らばっていった。
カメラボールは半分40m地点で止まり、その映像は潜水艇のガラスにモニターとして映し出された。360°回転して確認出来る映像である。
「よし、準備完了だ!!」
一安心するシーカーだが、アルが不思議そうに聞く。
「貴方達やけに早いわね……」
「こう見えても俺達は、何十回も潜水艇の操縦訓練をしたからな。これくらい簡単な部類だよ」
「……」
ドヤ顔してアルを見つめるシーカーとSyoに呆れ果てる。そしてSyoが機械を操作しながらみんなに言い放った。
「さぁ、ここからは持久戦だ!!まずはステレスキューブを発射!!
「ステレスキューブ?」
何か分からないアルを余所目に、ボタンを押すとまた潜水艇下部から5つのキューブが出てきた。1つは上部に4つは下部に行き潜水艇を囲むように長方形になる様に広がった。そしてキューブ同士レーザーで下部と上部で繋ぎピラミッド状に作り上げ、潜水艇を覆った。Syoがアルに説明した。
「これはピラミッドに覆われている部分は外からは見えなくなるし、探知を不可能になるアイテムさ」
「ふ~ん……でどれくらい待つの?」
するとシーカーが真顔で素っ気なく言う。
「その生物が来るまで待つに決まってるだろ」
「えぇ……」
ーーーーーーーーーーーーーー
シーカー達が深海で待つ事1時間、掲示板では潜水艇を破壊されたプレイヤーが今回の騒動を大袈裟に話していた。
「ほほほほほほ、ほんとなんだ!!虹のビーチの海で変な生物が僕達のデート……じゃなくて潜水艇を噛みちぎったんだよ!!」
「そそそそそそ、そうよ!!弁償しなさいよ、もう!!」
疑問に思う多くのプレイヤー達、だが、みんなこうゆう話は大好きなのか少しずつ話題は広がり、デマか確かめよう、本当にいたらいいな、など興味が持ったプレイヤーが動き始めた。
特に金を持っている廃人達は夜中にもかかわらず、なんの策も講じずに潜水艦や潜水艇で海へとダイブしていった。有名になりたいのかタダ見たいだけなのか、それとも召喚獣としてゲット出来るのか?など多くの希望を胸に動いている。
そんな事は知らずに3人は潜水艇の中で釣りの疲れも溜まっていたのか、ぐっすりと寝てしまっていた……
ーーーーーーーーーーーーーー
あれから2時間が経ったまだ夜は暗い中、深海は別の暗さに包まれていた。最初に起きたのはSyoだった。あくびをし、目を擦りながらガラスに映し出されている画面を見た。
「ん……ん~……ん!?」
この付近の地図画面のいたるところに、大量の赤の斑点がゴキブリのように縦横無尽に動いていた。Syoは目がパッチリと開き、慌ててシーカーを叩き起こした。
「おいおいおい!!起きろシーカー!!」
「ん……ん~ふわぁぁぁ……俺寝てたのか……」
呑気にあくびをしてまだ完全に開かない細い目でSyoを見る。
「そんな呑気な事言ってる場合か見ろよ画面!!」
「画面ぅ……あっ!?」
画面に顔を仕向けるSyo。そしてその画面を見た瞬間、シーカーの目もぱっと開いた。
「なんだこりゃ!!」
「2人……うるさいわよ……ふわぁ~」
シーカーの大声にアルも目を擦りながら、シーカーの元へ向かうとシーカーが慌てて機械を操作していた。
「このフィールド全体に大量のプレイヤーが……もう嗅ぎ付きたか……」
「ふわぁ~」
アルはまた席に戻り寝始めた。そしてんシーカーは冷静にカメラボールを操作し、周りの状況を映像で確認する事にした。
「こいつら馬鹿力?メガロドンや巨大生物に食べて下さいって言ってるのと同じだぜ……」
各地点に配置したカメラボールからの映像は他のプレイヤー達の潜水艇がエンジンをフル回転させて縦横無尽に動いている。または大型潜水艦で動いていたりなど、これでは獲物として食って下さいと言ってるようなもんだとシーカーは思っていた。するとシーカーの探知機に1つの大きな生物反応が出て来た。
「おっ?」
「来たのか?」
「あ~この大きさはメガロドンだな……」
そのメガロドンの反応は近くで動き回っているプレイヤーの潜水艇がいる場所へと行き、そのプレイヤーの反応を覆った。そして通り過ぎた後にはそのプレイヤーの反応は無くなっていた。
「言わんこっちゃない……」
その後も多くの動き回っていたプレイヤーをメガロドンが攻撃していき、殆どのプレイヤーが動くのをやめた。
Syoはカメラボールから映し出された近くの破壊された潜水艇の残骸を見ながらあきれ返る。
「ちっ……メガロドンの邪魔が入ったからこりゃあ当分出てこないかもな……」
「いや……逆に出るかもしれないぞ」
「え?」
シーカーはあのカップルが破壊された時の映像を思い出しながらSyoに語る。
「あの映像でもカップル達の前にメガロドンがいたから出てきた、つまり餌がその場にいたから出てきて、そのカップル達の潜水艇も餌と勘違いして出て来た……って可能性もある」
「つまり……来るって事か……」
そしてシーカーはニヤリと笑いながら言う。
「あぁ、あの邪魔なプレイヤーが餌の餌になって、釣り上げって事だ……」
そうして待っていると、更に下の深海より奴が物凄いスピードで迫って来た。
1人のプレイヤーの潜水艇より、真下から巨大な生体反応が出て来た。
「な、なんだ⁉︎この反応は……まさか⁉︎」
そのプレイヤーが探知機を凝視するとその生物反応が突如消えた。
「えっ?消えた……う、うわっ⁉︎」
気を緩んだ瞬間、生体反応が突如現れ、潜水艇の目の前に巨大なドラゴンのような顔をした生物が現れた。そして潜水艇を巨大生物により噛み砕かれた。
その破壊された反応はこの深海にいる全プレイヤーが即座に察知した。もちろんシーカー達もその反応を確認した。
「おっ、やっぱり来たか!!カメラボールをその破壊された潜水艇の元に向かわせろ!!」
「OK!!」
Syoはカメラボールの一個を操作をハンドルに移し替え、その破壊された潜水艇へと発進させた。潜水艇の元へと向かい、ライトを点けずに近くと引き上げた潜水艇と同じように操縦席の部分が噛みちぎられていた。
「やっぱり破壊されているな……」
だがシーカーはさっきの画面である事に気付いた。
「それよりも今一瞬だけ、反応が途絶えなかった?」
「ん?どうゆうことだ?」
「一瞬だけ反応が途絶えて、また現れた瞬間に潜水艇は破壊された……」
一瞬だけ、反応が出てすぐにまあ反応が現れて、その瞬間に潜水艇が破壊された。シーカーはそれ見逃さなかった。
「つまり?」
「これは面白そうな生物だな……やりがいがありそうだぜ」
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