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第2章 骸帝編
第45話 ライブの前の静けさ
しおりを挟むギャンブル惑星の宇宙ターミナル。スーツを着たプレイヤーや、ギャンブルしに来た荒々しい服を着たプレイヤーなど多種多彩にいる中一風変わったプレイヤー達がいた。
「ここに来るのもカジノ以来だな‼︎」
「あぁ……そうだが……」
「まさかこんな綺麗な所でアルのライブが……私……感激‼︎」
「あぁ……良かったな……この服を除けば……」
そこには4人の"アルちゃんLOVE‼︎"と書かれたピンクのハッピと二本のペンライト。そしてピンクの鉢巻に、黒と白の長い布を虫の触覚のように頭に貼り付けていた。
こんな奇妙な姿をした4人は周りから見てもかなり変わった人物に見えるに違いない、というよりと普通に変わった人物だと思われている。
シーカーとオーガスターはこの格好を恥ずかしく思い不貞腐れ、Syoとアモレはこの格好ながら恥というものを知らずに、このギャンブル惑星の街並みに見惚れていた。
「このギャンブル惑星でアルのライブが……それと特等席で……感激ぃ~‼︎」
「そうだよそうだよ‼︎本当に感謝永遠にぃ‼︎」
そんな2人を呆れ顔で見ているシーカーとオーガスター。
「早く行こうその場所に……」
「これ以上ここにいると、頭痛くなりそうだよ……」
周りの痛い目線が、段々自分の格好に恥ずかしく思い始めて、身体にダメージを与えて戦ってもいないのにもう倒れそうになる。オーガスターはあえて顔を伏せている。
「メルクリの奴……これだから断ったのか……」
メルクリは前日、ホームでアモレとSyoの2人がハッピを楽しそうに作っているのを裏で目撃して、焦り顔でシーカーに断っていたのだ。「僕は……辞めとくよ……」と
今日はアルのライブでシーカー達は特別席を貰ってそのライブ場の裏で落ち合う事になっている。
そしてオーガスターとシーカーはハッピを嫌々着させられていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
そのままハッピ姿で移動する羽目になった一行。Syo達は楽しそうだが、やはりオーガスターらは生気がないように歩いていた。そしてなるべく自分らを知ってる人に合わないようにハッピをフードのように着ながら歩いていた。
「あぁー早くつかねぇかな」
「同感だ」
ギャンブル惑星は常に空は夜のように暗く、そのかわり街はネオン街の如く光り輝いており、空に浮かぶ巨大広告モニター、至る所にある最先端の女性ファッションのホログラム映像などが街を彩っていた。街の車は止まる事なく走り続けている。
そのホログラム映像の中には一際目立つものがあった。それは巨大なアルのホログラム映像だった。ライブの広告のようだ。
「アモレちゃんはアルちゃんの何の曲が好き?」
「私はーーー」
「マジで‼︎俺もその曲は大好きさ‼︎それに少し前にリリースされたーーー」
「本当に⁉︎」
2人は曲の話を永遠と歩きながらしていた。楽しすぎて前も見えなくなり、8車線もある車でごった返した道路の信号を無視してまでも話をずっと続けていた。
もちろん車の信号は青なので、車は止まる事なく進んでいた。
「お、おい2人共」
熱心に話している2人には、オーガスターの声なんぞ聞こえる訳がなかった。
呆然と眺めるシーカーとオーガスター。
2人が車が走ってる中、横断歩道を渡る。もちろん目の前に人が現れると運転手は思わず、一気にブレーキを踏んだ。ゲームとはいえ、ブレーキを踏んじゃうのは、もはや人間の癖であろう。
急ブレーキをかければ、もちろん後ろの車とも衝突をする。そんな事は熱心に話す2人には、知る由もなかった。
2人が通り過ぎ頃には、8車線全部が追突事故を起こして大事件へと発展していった。
「さ、最悪だ……」
「お、俺達もさっさと渡る……っと言うよりも逃げるぞ‼︎」
シーカーとオーガスターは遠くから徐々に近づいてくるサイレンの音に気づき、慌てて逃げんとばかりに2人の首元を掴み、その場から走り去った。
「どうしたシーカーは俺達は今、アルちゃんについて語り合ってたんだよ‼︎」
「そうよ‼︎これからって時に‼︎」
交通事故の事なんて知らない呑気な2人に、後ろから保安局が来ないか何度も確認しながら怒る。
「俺達の苦労も知らずにこの野郎‼︎」
「全てお前らのせいだからな‼︎次からは勝手に動くなよ‼︎」
そして保安局から逃げて、何とか噴水広場へと到着した。噴水広場にはSyo達と同じピンクのハッピを着たファン達が噴水広場を埋め尽くすほどの量が集まっていた。活気がいいのか、ファン達は騒がしくライブの開始を待ち遠しくしていた。中には巨大パネルを10人以上で持ち、"アルちゃん‼︎最高‼︎"と書かれたパネルを掲げているグループもいた。シーカー達は取り敢えずこの中に隠れた。
「はぁ……はぁ……活気がいい事で」
「あ、あぁ……俺達以外はな……所でアルのステージとはないのか?」
息切れを起こしかけているシーカーが言う通り、アルのステージは噴水広場にはなかった。
だが、広場の前には100階以上あるであろう一際目立った超高層ビルがポツンと聳え立っていた。シーカーがそのビルを眺めるとそのビルの50階から70階までの全方向の全窓が巨大スクリーンが貼り付けられており、そこにアルのPVが流れていた。
「あれで流すって事ねぇ……」
更に気になり、上を目を細めて眺めると屋上にはステージが設置されていた。
「あそこから中継するのか……」
別に100階もあるビルの屋上から、わざわざ中継しながら巨大スクリーンに映すのは一苦労な気もしたが、それほどアルが人気者だと言うのが分かった気もするシーカーであった。
すると石段に腰をかけているオーガスターがある事に気付いた。
「2人はどこに行ったんだ?」
「お、おい‼︎2人共どこに行った‼︎動くなって言ったそばから‼︎」
「あ、あそこじゃねぇ……のか」
シーカーはオーガスターが指したを場所を目を凝らして見た。2人は他のファンをどんどん抜きながら前へと進んで行った。裏でアルと落ち合う事を忘れて。
シーカーはそんな2人に頭を悩ませ、頭を掻きむしった。
「あぁぁぁ‼︎めんどくせえアイツら‼︎クッソォォォ‼︎」
「頑張れぇ~」
ーーーーーーーーーーーーーー
そして2人を無理矢理戻して、本来の場所を再確認した。
「あっ‼︎そうだったねぇ~‼︎」
「うっかりだわ~‼︎」
トボける2人に拳を握り、怒りの表情を表すシーカー。
「あのなぁ……」
ーーーーーーーーーーーーーー
そしてビルの裏入り口へと行くと、広場と違いとても静かな光景だった。だが、そんな裏入り口にスーツを着たメガネ男がメサを凝視して、イラついているのか何度も足踏みをしていた。アルのマネージャーだ
「まったくー‼︎アルちゃんの為だとは言え、あんな輩をライブ会場に上げるなんて……アルちゃんもライブ前の発生練習だし……あ~まったく‼︎ぶつくさぶつくさ……」
目の前にいるシーカー達に気づかずに、悪口を言い続けた。
シーカー達も話しかけづらいが、シーカーが勇気を持って気まずそうに話しかけた。
「あ……あのぉ……」
「……⁉︎き、貴様⁉︎……じゃなくて君たち⁉︎い、いつの間に⁉︎何処から聞いてた⁉︎」
「輩だとか何とかってのは……」
一斉に身体から汗が流れるマネージャー。顔は青ざめ、高速で身体が勝手に地面に着き頭も地面にこすりつけた。
「うへへへぇ‼︎す、すいませんでしたぁ‼︎‼︎本当にすいませんでした‼︎」
「いやぁ……俺は別にいいんだが」
「綺麗な土下座だな……」
土下座して必死に謝るマネージャー。その綺麗な土下座はまさに人間の鑑とも言えるだろう。4人が何とも言えない顔を
すると、マネージャーのメサからとある連絡が急遽入った。
「五十嵐さん‼︎ 五十嵐マネージャー‼︎急いで来て‼︎」
「あ、アルちゃん⁉︎どうしたの慌てて⁉︎」
何かに怯えて慌てている様子のアルの声、その声にマネージャーはジャンプして姿勢を正した。
アルの音声にSyoとアモレはすぐにそのマネージャーのメサへと飛びついて、メサに顔を近づけて大声で安否を確認した。
「大丈夫アルちゃん⁉︎」
「アル⁉︎どうしたの⁉︎」
「そ、その声はSyo君とアモレ?ビルに来たの⁉︎」
「あぁ‼︎シーカーとオーガスターの2人もいるよ‼︎アルちゃんは大丈夫⁉︎」
そう言うと、シーカーがいる事にアルは安心しきった様子で落ち着いて言う。
「みんな……ちょっと入って。ドアのロックを要求するから……」
ドアのロックが開く音が聞こえた瞬間、Syoとアモレは我先にと、マネージャーを突き飛ばしてビルの中へとハッピを着た状態で突っ走って行った。
シーカーとオーガスターは倒れて気絶しているマネージャーを憐れみの目で見ながら、ビルへと入った。
「マネージャーって大変だな」
オーガスターの一言の通り、倒れているマネージャーは本当に苦労ばかりだ。先日もオーガスターの時に、アルにうるさく言った時も、Syoに頭を叩かれて気絶した。今回も突き飛ばされて気絶した。
「う……もうやだ……」
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