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episode8
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豪邸の中に入ると、地下へと案内された。
顔認証や指紋認証、セキュリティカード、最終的には物理鍵もしっかりと付いてる。一般的に可能な施錠は全てやっているのではという厳重なセキュリティに、漆原もへえ、と感心した。
そして着いた先はまるで研究所のような設備が整った部屋だった。
「ご自宅にこの設備は凄いですね」
「この子はメーカーさんのメンテナンスサービスが終わってるでしょう? なら自分でどうにかできなければいけないから」
アンドロイドに限らず、メーカーは一定期間を過ぎたら商品への補償を終了する。
特にこのアンドロイドは五十年以上も昔の機体で、しかも美作は回収をしている。美作自体はもちろん、他社のメンテナンス委託企業も断るだろう。これだけ問題を起こした機体を、美作の意思に背いて直すなんて被害者と美作を敵にするようなものだ。
ようするに、メンテナンスを頼んだところで回収を提案されるから行くだけ無駄ということだ。
ならばこうして自宅で、となるだろうけれどアンドロイドはメンテナンスだって専門職だ。自作パソコン作れます程度の話ではない。
「失礼ですが、アンドロイドの開発をなさっていたんですか?」
「天下の漆原博士に向かってハイそうですと誇れるほどではないですけれど、多少は」
「漆原さんの事知ってるんですか?」
「アンドロイド開発に携わっていれば知らない人間はいないでしょう」
「ああ、そういえば凄い人でしたっけねえ」
美咲も最初は憧れに憧れ尽くして追っかけよろしくインターンにやってきたわけだが、今となっては溜め息が出る。
美咲はあははと乾いた笑いを漆原にぶつけると漆原に後頭部を叩かれた。
漆原の伝説をしっているであろう女性は、部下である美咲がぎゃんぎゃんと食って掛かっている様子に驚きつつも微笑ましいというようにクスリと笑った。
漆原はごほんと咳払いをして、美咲はあわあわと慌てて話題をアンドロイドに戻す。
「こうして家でメンテナンスしてもらえるならこの子も嬉しいですよね!」
「そうね。でもそろそろ限界かしらね……」
「そんな! だってまだこんなに綺麗ですよ!」
アンドロイドの外見を綺麗に保つ事はそこまで難しくはない。
高額ではあるが、交換用に製造されているアタッチメントと付け替えれば良い。だが中身は別だ。複雑な構造をしているため、分解して一部を交換して元に戻すならボディをフルチェンジしてパーソナルや記憶データをインストールした方が安いし早いし確実だ。
けれどラバーズ、特にアンドロイド依存症の原因となっている場合は肉体を変えるのは殺す事と同意義だという人も多く、高額であってもメンテナンスし続けるのだ。
だがそれにも限界がある。ましてや個人、それも高齢になった女性には難しいだろう事は美咲にも分かるし本人も分かっているようだった。
(それにA-RGRYは会社にバレたら連れて行かれちゃう)
ならば会社に知られないよう、A-RGRYの設計図が頭に入っている人間に修理を頼むしかない。
そして美咲が知る限り、そんな超人は今隣にいる漆原だけだ。
美咲は縋るような目で漆原を見て、何とかしてくれ、と目で訴えた。漆原は眉をひそめてため息を吐くと、アンドロイド額に手を添えた。
「これはご提案ですが、よろしければ私の方で修理しますよ。企業としてではなく個人としてですが」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。ただパーツ取り寄せないといけないんでまた改めてご連絡します。如何ですか?」
「ぜひお願いします! ああ、有難うございます……!」
「何かあればここに連絡下さい」
漆原は名刺を取り出すと個人用の電話番号を書いた。
「会社に連絡したら回収されてしまうのでこっちの番号にお願いします」
「はい! はい!」
「よかったですね!」
「はい……」
女性はよほど嬉しかったのかさめざめと泣いた。
返す事ができて良かったと思う反面、この先アンドロイド依存症が悪化するだろうという懸念もあり美咲は少し複雑だった。
美咲の考えてる事に気付いたのか、漆原は美咲を隠すように二人の間に割って入りにっこりと微笑んだ。
「それでは所有権変更の手続きをお願いできますでしょうか」
「ああ、そうでしたね。上に行きましょうか」
ひんやりと冷えた地下に壊れたアンドロイドを残し、美咲と漆原は屋内エレベーターで三階へと案内された。
(家にエレベーター……ガチ金持ち……)
まさかそんな物が出てくるとは思わず、美咲はごくりと喉を鳴らす。
一方漆原はにこやかに女性と会話を続けていて、本気で年収を聞き出したいと思っていた。
美咲がそんな他所事を考えている間に難しい手続きやら契約やらの話は漆原がサクサクと進め、女性もはいはいと分からない事などないといった風に聞いていた。
おそらく明日はこれの契約についての説明をされるんだろうなと想像だけでもげんなりするが、女性の晴れ晴れとした顔を見るとこれもアンドロイド開発者として必要な知識なのだと思えた。
それから、書類確認に必要な拾得時の状況説明や引き取り方について等、形式上の説明を漆原がつらつらと語ると終わるころには既に三時間が経過していた。
「申し訳ありません。長居いたしまして」
「いいえ。楽しかったわ」
「あの、修理。待ってて下さいね。きっとあの子も家族と話をしたいはずですし」
「……優しい子ね、あなたは。有難う」
女性は柔らかく笑うと、美咲達に深々と頭を下げて見送ってくれる。
「よかったですね! 藤堂さん嬉しそうで!」
「そうだな。あー、疲れた」
「……漆原さんもうちょいこう……」
「もう十八時か。家まで送ってやるよ」
「え!? いいんですか!?」
「だってお前、こっから電車じゃ一時間以上かかるだろ」
ここと美咲の自宅マンションは会社を中心として真逆のため、時間も交通費もかかる。
漆原の車で二人というのは女性社員に見られたらあれこれ言われそうだが、しかし天才かつ美形で名高い漆原朔也を足代わりにできるというのは気分が良かった。
「じゃあお言葉に甘えて」
「こういう時だけ素直だなお前」
「そんな事ないですよ。ほらドキドキしちゃって言葉が出てこないって言うか」
「はいはい」
異性にモテたいなんてふりは全く無いくせに、と美咲は口を尖らせながらドキドキしっぱなしですよ~と軽口を叩いた。
「……漆原さん。さっきの、藤堂さんて依存症っぽいですよね」
「仕事終わったら仕事の話すんな」
「そりゃそうですけど、気になるじゃないですか」
「あのな、お前みたいに仕事とプライベートの線引きできない奴は意識して切り替えろ。十八時過ぎたら仕事の事は考えない」
「え~。でもここで知らんぷりするのもなんか」
「他人の人生に足突っ込むなっての」
はい止め止め、と漆原は強制的に話を終了した。
じゃあ何を話すのかと言えば、プライベートで接点のない上司と部下で話し合う会話は見つからなかった。
(漆原さんの輝かしい歴史についてなら引くほど知ってるけど)
だがまさか『私漆原さんが大好きでインターンに来たんです』話をするわけにもいかない。
仕方なく朝ご飯何でしたか、なんてどうでもいい会話をぽつぽつとしていたけれどあっという間に会話は無くなってしまう。漆原から会話が提供される事もあまりなく、しばらくすると車中はしいんと静まり返った。
(あのアンドロイド、直るといいな。そうすれば藤堂さんだって……)
考えるなと言われてもやはり考えてしまう。
けれど沈黙と遠出した疲労に車の揺れは揺りかごのようで、美咲は無意識のうちに瞼を閉じた。
顔認証や指紋認証、セキュリティカード、最終的には物理鍵もしっかりと付いてる。一般的に可能な施錠は全てやっているのではという厳重なセキュリティに、漆原もへえ、と感心した。
そして着いた先はまるで研究所のような設備が整った部屋だった。
「ご自宅にこの設備は凄いですね」
「この子はメーカーさんのメンテナンスサービスが終わってるでしょう? なら自分でどうにかできなければいけないから」
アンドロイドに限らず、メーカーは一定期間を過ぎたら商品への補償を終了する。
特にこのアンドロイドは五十年以上も昔の機体で、しかも美作は回収をしている。美作自体はもちろん、他社のメンテナンス委託企業も断るだろう。これだけ問題を起こした機体を、美作の意思に背いて直すなんて被害者と美作を敵にするようなものだ。
ようするに、メンテナンスを頼んだところで回収を提案されるから行くだけ無駄ということだ。
ならばこうして自宅で、となるだろうけれどアンドロイドはメンテナンスだって専門職だ。自作パソコン作れます程度の話ではない。
「失礼ですが、アンドロイドの開発をなさっていたんですか?」
「天下の漆原博士に向かってハイそうですと誇れるほどではないですけれど、多少は」
「漆原さんの事知ってるんですか?」
「アンドロイド開発に携わっていれば知らない人間はいないでしょう」
「ああ、そういえば凄い人でしたっけねえ」
美咲も最初は憧れに憧れ尽くして追っかけよろしくインターンにやってきたわけだが、今となっては溜め息が出る。
美咲はあははと乾いた笑いを漆原にぶつけると漆原に後頭部を叩かれた。
漆原の伝説をしっているであろう女性は、部下である美咲がぎゃんぎゃんと食って掛かっている様子に驚きつつも微笑ましいというようにクスリと笑った。
漆原はごほんと咳払いをして、美咲はあわあわと慌てて話題をアンドロイドに戻す。
「こうして家でメンテナンスしてもらえるならこの子も嬉しいですよね!」
「そうね。でもそろそろ限界かしらね……」
「そんな! だってまだこんなに綺麗ですよ!」
アンドロイドの外見を綺麗に保つ事はそこまで難しくはない。
高額ではあるが、交換用に製造されているアタッチメントと付け替えれば良い。だが中身は別だ。複雑な構造をしているため、分解して一部を交換して元に戻すならボディをフルチェンジしてパーソナルや記憶データをインストールした方が安いし早いし確実だ。
けれどラバーズ、特にアンドロイド依存症の原因となっている場合は肉体を変えるのは殺す事と同意義だという人も多く、高額であってもメンテナンスし続けるのだ。
だがそれにも限界がある。ましてや個人、それも高齢になった女性には難しいだろう事は美咲にも分かるし本人も分かっているようだった。
(それにA-RGRYは会社にバレたら連れて行かれちゃう)
ならば会社に知られないよう、A-RGRYの設計図が頭に入っている人間に修理を頼むしかない。
そして美咲が知る限り、そんな超人は今隣にいる漆原だけだ。
美咲は縋るような目で漆原を見て、何とかしてくれ、と目で訴えた。漆原は眉をひそめてため息を吐くと、アンドロイド額に手を添えた。
「これはご提案ですが、よろしければ私の方で修理しますよ。企業としてではなく個人としてですが」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。ただパーツ取り寄せないといけないんでまた改めてご連絡します。如何ですか?」
「ぜひお願いします! ああ、有難うございます……!」
「何かあればここに連絡下さい」
漆原は名刺を取り出すと個人用の電話番号を書いた。
「会社に連絡したら回収されてしまうのでこっちの番号にお願いします」
「はい! はい!」
「よかったですね!」
「はい……」
女性はよほど嬉しかったのかさめざめと泣いた。
返す事ができて良かったと思う反面、この先アンドロイド依存症が悪化するだろうという懸念もあり美咲は少し複雑だった。
美咲の考えてる事に気付いたのか、漆原は美咲を隠すように二人の間に割って入りにっこりと微笑んだ。
「それでは所有権変更の手続きをお願いできますでしょうか」
「ああ、そうでしたね。上に行きましょうか」
ひんやりと冷えた地下に壊れたアンドロイドを残し、美咲と漆原は屋内エレベーターで三階へと案内された。
(家にエレベーター……ガチ金持ち……)
まさかそんな物が出てくるとは思わず、美咲はごくりと喉を鳴らす。
一方漆原はにこやかに女性と会話を続けていて、本気で年収を聞き出したいと思っていた。
美咲がそんな他所事を考えている間に難しい手続きやら契約やらの話は漆原がサクサクと進め、女性もはいはいと分からない事などないといった風に聞いていた。
おそらく明日はこれの契約についての説明をされるんだろうなと想像だけでもげんなりするが、女性の晴れ晴れとした顔を見るとこれもアンドロイド開発者として必要な知識なのだと思えた。
それから、書類確認に必要な拾得時の状況説明や引き取り方について等、形式上の説明を漆原がつらつらと語ると終わるころには既に三時間が経過していた。
「申し訳ありません。長居いたしまして」
「いいえ。楽しかったわ」
「あの、修理。待ってて下さいね。きっとあの子も家族と話をしたいはずですし」
「……優しい子ね、あなたは。有難う」
女性は柔らかく笑うと、美咲達に深々と頭を下げて見送ってくれる。
「よかったですね! 藤堂さん嬉しそうで!」
「そうだな。あー、疲れた」
「……漆原さんもうちょいこう……」
「もう十八時か。家まで送ってやるよ」
「え!? いいんですか!?」
「だってお前、こっから電車じゃ一時間以上かかるだろ」
ここと美咲の自宅マンションは会社を中心として真逆のため、時間も交通費もかかる。
漆原の車で二人というのは女性社員に見られたらあれこれ言われそうだが、しかし天才かつ美形で名高い漆原朔也を足代わりにできるというのは気分が良かった。
「じゃあお言葉に甘えて」
「こういう時だけ素直だなお前」
「そんな事ないですよ。ほらドキドキしちゃって言葉が出てこないって言うか」
「はいはい」
異性にモテたいなんてふりは全く無いくせに、と美咲は口を尖らせながらドキドキしっぱなしですよ~と軽口を叩いた。
「……漆原さん。さっきの、藤堂さんて依存症っぽいですよね」
「仕事終わったら仕事の話すんな」
「そりゃそうですけど、気になるじゃないですか」
「あのな、お前みたいに仕事とプライベートの線引きできない奴は意識して切り替えろ。十八時過ぎたら仕事の事は考えない」
「え~。でもここで知らんぷりするのもなんか」
「他人の人生に足突っ込むなっての」
はい止め止め、と漆原は強制的に話を終了した。
じゃあ何を話すのかと言えば、プライベートで接点のない上司と部下で話し合う会話は見つからなかった。
(漆原さんの輝かしい歴史についてなら引くほど知ってるけど)
だがまさか『私漆原さんが大好きでインターンに来たんです』話をするわけにもいかない。
仕方なく朝ご飯何でしたか、なんてどうでもいい会話をぽつぽつとしていたけれどあっという間に会話は無くなってしまう。漆原から会話が提供される事もあまりなく、しばらくすると車中はしいんと静まり返った。
(あのアンドロイド、直るといいな。そうすれば藤堂さんだって……)
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