黒い狼と赤い赤ずきん

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21.駆け引き

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幸せは長くは続かなかった。

あれから2日、龍我と2人で嬉しい短い時間をすごしていた。

そんな付き合い立ての帰り道どこからか嫌な気配がした。
龍我「誰かいる。後ろをつけてる、狼族のスパイかも知れない。」
ひまり『連れて行かれたりしないよね?』

なんとなくこんな日が来る事を分かっていたのかもしれない。

龍我「大丈夫。今日は俺の家に来い、1人じゃ心配だ。」

部屋に入ると先に帰ったはずの雄登がいなくて、物が散乱していた。

龍我「なんだこれ!雄登!雄登!」
ひまり『もしかして……』
龍我とひまりに緊張が走る。動揺しながらも、龍我は話した。

龍我「わりぃ……今日ちょっと急用があるの忘れてた。」
あきらかに嘘をついている様子だった。
龍我「1人にする訳にもいかねーしな、………今日は人目のあるホテルに泊まっていてくれ。」
ひまり『分かってるよ……。嘘つかないで、雄登を助けに行くんでしょ。私も行く!』
龍我「それは無理だ。連れて行った所でひまりを危険な目に合わすだけだ。」
ひまり『やだ!行くの!私も戦う!王様に話す!』
わがままを言う園児みたいだった。
龍我『必ず帰ってくるから。お願いだ。』
なきじゃくる私を龍我は抱きしめた。

ひまり「絶対だよ……」
龍我『ああ。』


その後、私は龍我にホテルまで送ってもらい、さよならをした。

その頃狼族では

カルマ『王様。雄登しか連れて来れませんでした。大変申し訳ございません。』
王様「まぁ、よい。必ず奴はくる。雄登を助けに。」

雄登はやっと目が覚めた。全身をロープで縛られていた。
雄登「ここは……」
王様『やっと目が覚めたか裏切り者。お前は狼族の敵だ。人間と接するからこんな声になったんだ。』
雄登「龍我とひまりは!」
王様『なんだその口の聞き方は!おい、10発殴れ。』
家来達は雄登を激しく殴った。

雄登「いてぇ……こんな事で死んでたまるか。」
王様『どうやら、生命力はあるようだな。安心しろ、龍我には恋人をとるか親友をとるか選ばせるつもりだからな。』
王様は大笑いした。
王様『龍我のどちらかを失った時の苦しんだ顔を見るのが、楽しみなんだよ!』
雄登「くそ……あいつはひまりが居ないとダメなんだよ!俺もひまりも死なない!龍我がきっと助ける!」
王様『すごく信頼してるんだな。まぁ、そのうち壊しちゃうけど』
王様は雄登の体を蹴り足で雄登の顔を踏みつけた。


「楽しいゲームの始まりだよ」
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