1 / 1
プロローグ
プロローグ
しおりを挟む
――10年後の自分
その課題作文は私に意外な印象を与えた。
露木明日夏単語/定時制高校3年。2学期末、総合の授業にて出された課題に頭を悩ました。
10年後か……特に深く考えた事は無かったけど、普通に高校を卒業して、普通に一般企業に就職して、そのまま時を過ごすものかと。
「うーん! よくわかんないっ!」
「あーちゃんいつまでお風呂入ってるの! お母さんがいつになっても入れないんだけど? もう寝たいんだけど?」
「もうすぐ出るからー」
ふと自分の手を視界に入れると、指先の皮膚がややふにゃふにゃになっていた。つい長風呂をしてしまった。
普段は烏の行水並みに早いのだが、物事を考えているとそれに集中してしまい時間の流れを忘れる事が度々。
みんなは何て書くのかな。まあ別にどうでもいいっか。
「お母さーん、出たよー」
「もう、いつもは早いのに何やってたの?」
「何って……考え事」
「そんなの自分の部屋で考えてよー」
「へいへーい」
入り違いで母と会話を交わし自室へと向かう。
その後はいつも通りパソコンとにらめっこして一日を終える。翌日も課題に頭を悩んでいる。周りの半分は作文を書き始めているけど、中には私と同じで頭を抱える子もいた。
あまり時間も無いし、無難に将来の夢でも書いておこうかな。
休み時間の合間に課題を行っているため決断は早かった。特に将来なりたい職業も無ければ目標も無いので、昔から将来の夢はコロコロ変わっている。
しばらくすると授業開始のチャイムが鳴った。2時限目は国語の授業。これまた似たような課題で、俳句、詩、五七五のいずれから一つ作品を完成させるものだった。この中で縛りが無く簡単そうな詩を選び題材を考える。
こういうのって作文とはまた違った難しさがあるんだよね……うーん。
この日の天気は雨、友達は体調不良で欠席、考える事も多く、憂鬱だった。
「……よし! 先生、できました!」
それなりに良いものは出来たし、修正点指摘して貰ってとっとと完成させよう。
割と軽い気持ちで先生に提出した。すぐに修正を指摘されると思いきや、先生は何も話さずじっと私の詩を見つめている。
「明日夏、これは自分で書いたのか」
「はい、そうです」
その時の先生の声はいつもより低く感じた。
「お前、成長したな」
「……?」
「先生びっくりしちゃったよ。まさかこんな才能があるなんてな」
私は先生から絶賛された。
言葉の中には大げさに表現してるところもあるとは思うけど、それでも自分で書いた作品を褒められたことに達成感があった。
その詩は修正されることは無く、そのまま提出となった。
この日以来、私の中で何かが動いている。
「そうか……私って――天才だったんだ!」
「姉ちゃんいきなり大声だすなよ」
「ちょっと食事中にいきなり立たないで」
「未瀬単語、お母さん聞いてよ! 今日学校でね――」
明日夏は学校での出来事を嬉しげに話した。
「よかったじゃない。褒められて」
「もしコンクールに出してたら優賞とってたかも」
「冗談だろ」
「は?」
「そう言えば、あーちゃんは昔から良く物語をつくったりするのが好きだったわね。おままごとだったり紙芝居だったり絵本も描いてたわね」
「……そっか。そうだよね!」
それは自分でも良く覚えてる。何かを作る事が好きで、特に物語を描いてる時が一番わくわくしていたこと。漫画もアニメも好き。ラノベも同人誌も好き。物語は私をわくわくさせてくれる。
――そして目標が出来た。いつか自分の作品を世に出してみんなに読んでもらうこと!
「――私に趣味と夢を与えてくれた漫画、ライトノベルは人生を180度変えてくれました。10年後、私は作家になりたい……いや、なってみせます!」
全学年作文発表会で私は自分自ら候補し全校生徒の前で夢を語った。後にそれが物語の幕を開ける事になる。
ちなみにこの時、私は緊張で声が小さくなってしまい、ほとんどの人に思いは伝わりませんでした。
その課題作文は私に意外な印象を与えた。
露木明日夏単語/定時制高校3年。2学期末、総合の授業にて出された課題に頭を悩ました。
10年後か……特に深く考えた事は無かったけど、普通に高校を卒業して、普通に一般企業に就職して、そのまま時を過ごすものかと。
「うーん! よくわかんないっ!」
「あーちゃんいつまでお風呂入ってるの! お母さんがいつになっても入れないんだけど? もう寝たいんだけど?」
「もうすぐ出るからー」
ふと自分の手を視界に入れると、指先の皮膚がややふにゃふにゃになっていた。つい長風呂をしてしまった。
普段は烏の行水並みに早いのだが、物事を考えているとそれに集中してしまい時間の流れを忘れる事が度々。
みんなは何て書くのかな。まあ別にどうでもいいっか。
「お母さーん、出たよー」
「もう、いつもは早いのに何やってたの?」
「何って……考え事」
「そんなの自分の部屋で考えてよー」
「へいへーい」
入り違いで母と会話を交わし自室へと向かう。
その後はいつも通りパソコンとにらめっこして一日を終える。翌日も課題に頭を悩んでいる。周りの半分は作文を書き始めているけど、中には私と同じで頭を抱える子もいた。
あまり時間も無いし、無難に将来の夢でも書いておこうかな。
休み時間の合間に課題を行っているため決断は早かった。特に将来なりたい職業も無ければ目標も無いので、昔から将来の夢はコロコロ変わっている。
しばらくすると授業開始のチャイムが鳴った。2時限目は国語の授業。これまた似たような課題で、俳句、詩、五七五のいずれから一つ作品を完成させるものだった。この中で縛りが無く簡単そうな詩を選び題材を考える。
こういうのって作文とはまた違った難しさがあるんだよね……うーん。
この日の天気は雨、友達は体調不良で欠席、考える事も多く、憂鬱だった。
「……よし! 先生、できました!」
それなりに良いものは出来たし、修正点指摘して貰ってとっとと完成させよう。
割と軽い気持ちで先生に提出した。すぐに修正を指摘されると思いきや、先生は何も話さずじっと私の詩を見つめている。
「明日夏、これは自分で書いたのか」
「はい、そうです」
その時の先生の声はいつもより低く感じた。
「お前、成長したな」
「……?」
「先生びっくりしちゃったよ。まさかこんな才能があるなんてな」
私は先生から絶賛された。
言葉の中には大げさに表現してるところもあるとは思うけど、それでも自分で書いた作品を褒められたことに達成感があった。
その詩は修正されることは無く、そのまま提出となった。
この日以来、私の中で何かが動いている。
「そうか……私って――天才だったんだ!」
「姉ちゃんいきなり大声だすなよ」
「ちょっと食事中にいきなり立たないで」
「未瀬単語、お母さん聞いてよ! 今日学校でね――」
明日夏は学校での出来事を嬉しげに話した。
「よかったじゃない。褒められて」
「もしコンクールに出してたら優賞とってたかも」
「冗談だろ」
「は?」
「そう言えば、あーちゃんは昔から良く物語をつくったりするのが好きだったわね。おままごとだったり紙芝居だったり絵本も描いてたわね」
「……そっか。そうだよね!」
それは自分でも良く覚えてる。何かを作る事が好きで、特に物語を描いてる時が一番わくわくしていたこと。漫画もアニメも好き。ラノベも同人誌も好き。物語は私をわくわくさせてくれる。
――そして目標が出来た。いつか自分の作品を世に出してみんなに読んでもらうこと!
「――私に趣味と夢を与えてくれた漫画、ライトノベルは人生を180度変えてくれました。10年後、私は作家になりたい……いや、なってみせます!」
全学年作文発表会で私は自分自ら候補し全校生徒の前で夢を語った。後にそれが物語の幕を開ける事になる。
ちなみにこの時、私は緊張で声が小さくなってしまい、ほとんどの人に思いは伝わりませんでした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる