こうゆうっ♪

蒼碧(たーこいず)

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第1章 交友部

天使に出会った(19/28)

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「寛二くん、保健室まで付き合ってくれる?」

「えっ、へぇ!?」

氣持先輩から突然の誘い。

倦怠感と潮の香りに包まれ倒れていた僕は、想定外の事に思わず奇声を上げてしまう。

「保健室……なんでです?」

「ごめんごめん!突然言われてびっくりだよね?……保健室にはね、私たちのがいるの!」


しばらく後。
身体を拭いて身支度を整え、扉の前で待つ氣持先輩に声を掛ける。

「お、お待たせしました……」

「OK!さ、行こう!」

扉を開けて思い切り外に飛び出す氣持先輩。

陽気な彼女に対し、僕は慎重に首を出す。
周りに人がいないか気になってしまうのだ。

「早く行け。大丈夫、見られないから」

先生の言葉を受け、振り返る。
部屋の隅でコーヒーを手に腰掛ける彼女は、シャツだけ着たほぼ裸の格好。

(よくそんな姿で……)

半ば呆れつつ僕は部室を後にする。
しかし、先生の言うことは間違いない。

この部室小屋はそもそも小さく、敷地の隅にある。

体育館の陰に隠れて校舎から見えないし、正面にある体育館も、意図したように、この小屋側の壁にだけ窓や出入口がない。

側面の出入口さえ、外開きの扉が目隠しになってくれる。
意識しないと存在さえ気付けない訳だ。

(できすぎてるでしょこんなの……)

そう思いながら氣持先輩に続く。


目的地にはすぐ到着した。

保健室は、小屋の真横にある副校舎内に位置していた。

窓を覗き込む氣持先輩。それからガラッと扉を開け、軽く中に会釈する。

僕は手招きする先輩に従い、中に踏み入った。

すると。

「いらっしゃーい!」

突然一人の女性が思い切りハグをしてきた。

「わあ……っぷ」

思わず叫ぼうとするも、その口は塞がれた。彼女の大きな胸によって。

(や、柔らかい……)

心地よい柔らかさに、どこかホッとする匂い。

僕はうっとりして、目を閉じてしまう。


「はじめまして。いきなりのハグでごめんね。私は養護教諭してる、天江名あまえな彩菜さいなていうの!よろしく」

天使のような優しい声。

身体に伝わる柔らかな感触と相まって、僕の心は真っ白な癒しの光に包まれた。

「はぁ……あ!すみませんっ!はじめまして!真奏寛二と言います」

思わずリラックスしてしまった僕は、そこではハッと我に帰り、彼女から離れて自己紹介をする。

「あははっ!いいの。癒せたんだな、て分かって私も嬉しい」

改めて彼女を見てみた。

茶髪のロングに、可愛らしい顔と白い肌。

ピンクのタートルネックにベージュのパンツを履き、保険の先生らしく白衣を羽織っている。

優しさ溢れる笑顔は、まるで天使のように軽やかで、心穏やかになる。
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