こうゆうっ♪

蒼碧(たーこいず)

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第2章 交わる過去

惰性の交わり 〜Story of 越出渥愛〜

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「はあ、はあ!渥愛さん……渥愛さんっ!」
「んっ、んっ、んっ……」

 私の名前は越出えちで渥愛あくめ。今、セックスをしているところだ。

 相手は、いわば私の彼氏。
 三十歳独身で未婚。一流企業に勤めていて年収も高い。
 容姿も十分なイケメン。おまけに性欲も強い。今日で三回目だが、身に染みて分かる。

 彼とは親のツテで知り合い、付き合うことになった。アラサーにもなって仕事一筋の私を心配し、取り計らってくれたわけだ。結婚して幸せになれ……そう言いたげな親の顔が目に浮かぶ。

 はっきり言って、余計なお世話だ。

「渥愛さん……イくっ!」

 彼が絶頂に達した。ゴム越しに伝わる、精液の温かみ。

(またか……私まだイッてないのに)

 三度目ともなれば、フリをすることは上手くなる。こんなの、虚無だ……



「はぁーあ」

 わざとらしく大きなため息をつく。
 翌日、職場の学校。
 自分のデスクに自慢のを乗せて、気怠げな声を出してみる。

 周りの同僚たちには、気まずそうに私の顔を覗き込む者もあれば、スルーする者もある。

 ただ、全員多分、考えていることは一緒だろう。

(また男関係だろうな……とか、どうせ思われてんだろ)

 わざとらしく不満そうな顔で、机上のファイルを眺める。

「え、越出先生……大丈夫ですか?」

 不意に声がかかる。
 向かいに座る、国語教師の阿奈野あなの那加なか先生だ。
 少しおどおどした様子で、私を気にかけてくれる。

「あー、あなちゃん。ごめんよ、朝から辛気臭い顔しちゃって。大丈夫、身体は、元気よ」

「い、いえ!体調悪いとかなのかなってちょっと心配になって……お元気なら、よかったです」

 彼女はまだこの職場、私が勤める"私立下音田しもおんだ学園"に来たばかりの、新米教師。
 ここじゃ私は、男絡みで年中頭を悩ませるしょうもない女で通ってるが、彼女はそんな私とも分け隔てなく接してくれる。
 なかなか珍しい人だ。
 私より7つも年下なのに、結構しっかり者だし。

「ありがとな、いつも。うん、話してたら元気出た!悩みなんてスパッと忘れて、仕事に集中しますよっと」

 わざとらしく元気に振る舞い、ほおをパンパンと軽く叩く。
 そんな私にあなちゃんは、遠慮がちながら優しい微笑みをくれた。


「次、位置について、よーい……スタート!」

 私の担当科目は、体育。
 体育大を出てたので、指導教育にはかなり自信がある。

 ゆえに、他の先生と比べると、ちょっと厳しいようにも映るらしい。
 男勝りで強気な性格と口調が、それを助長してしまう。
 ま、生徒さえきちんとついてくれば、割とどうでもいいけれど。

 とはいえ……
 男運は、最悪だ。

 昨日の一件もそうだが、私はとことんいい男と出会う確率が、低い。いい男ってのは、顔や世間体のことじゃない。ぶっちゃけ言うと、身体の相性だ。
 だが思えばそれも、きっと高校時代からこの仕事に就く夢を、持ち続けてしまったからなのかもしれない。
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