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邂逅と望み

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牢の前に着くと槍をいつでも刺せるように構え牽制をされたあと縄を解かれた後、ドン!と押され牢屋に押し込められます。
「入れ!!! おとなしくしてろ!!!」

ガチャン!
鍵が締まる音がして、兵士は鍵が締まったことを確認して去っていきます。

「マサト様、如何いたしますか? ここから逃亡されますか?」

ロゼフが影から声をかけてきます。
「いや、しばらく様子を見るよ、いざとなったら影に潜って逃げればいいだけだしね」

そう言って牢の中を見渡します。
作りの粗いベッドと用を足す用の壺、それだけしかない部屋で大体4~5畳くらいでしょうか。牢の格子は鉄でできてるようです。
「うん、錬成術で鉄もらってバックレよっかな…」

そう呟いてみてとりあえずベッドに横になります。
うん硬いけど草を敷いただけの寝床よりましかな。

そう思いながらステータスを開き町に到着するの特典を開きます。
すると目の前が真っ白になり、気づくと、転送前に神と会った場所に居ました。

「あら~、あなたが一番に町に着くなんで予想外だったわ~。 私を痴女呼ばわりしてくれたお礼にとびっきりの辺境に送ってあげたから、てっきりすぐ死ぬと思ったのに」
クスクスと笑い楽しそうにネレースは話し出します。

うわ、この神様思いっきり根に持っていやがる…。
「そのような事はないわ、神なんだから人間のたわ言を根に持つわけないでしょ」

絶対ウソだ!! 根に持ってる。
「根になど持ってないと言ってるでしょ!」

「まあいいわ、とりあえず今回の特典は私との邂逅・スキル付与・望みの実現ね」

「まずはこう邂逅しておるわけだけど、滅多にないこの機会だから何か聞きたいこととかはある? 答えられる範囲で答えてあげるわよ。 ああ時間は気にしなくていいわよ、ここは時間が止まってるのは知ってるわよね。 ここにどれだけ居ようとあちらの世界では一瞬よ」

そう言って尊大に構えるネレースに思いついた質問をぶつけていくことにします。

「まずこの世界は何て名前で地球とはどんな位置関係にあるの?」
「そうね~、この世界の住人はウェースと呼んでいるわ。 あなたが居る場所はヌスターロス大陸の真ん中辺りにあるロータンヌ共和国にあるドグレニム領の領主がいる城塞都市プレモーネよ」

「ヌスターロス大陸?? ほかにも大陸はあるの?」
「あるわよ。 ただ一番多くの人間が住んでいるのはヌスターロスよ。 今回送った30000人は全員ヌスターロス大陸に転送することになるわ」

「そうなんだ、因みに現在までに死んだ人って何人いるの?」
「そうね~死んじゃった人間は現時点で127人ってとこかしら。まだ2日しかたってないのにね~」

「127人か・・・・ネレースは人の死を随分簡単に言うんだね」
「そ~ね~、知ってる? 私の世界では毎日数千人が死んでるのよ、あなた達の地球でもそうでしょ? あなた達がそれに目を背けてるだけ……違う?」

「そうかもしれないけど自分が生まれ育った世界から訳も分からず飛ばされて知らない地で死ぬなんておかしいでしょ」
うんおかしいです。叫びたいくらいです「カ〇ジナさんおかしいですよ!!!」って

「誰?カ〇ジナさんって。叫びたいなら叫んでもいいけど?」
あ~この神様人の心読むことできるの忘れてた…。
「あなたは忘れっぽいのね~」

なんかちょっとむかつきましたが聞きたいことを聞いていきます。
「地球には戻ることできるの?」
「地球に戻ること? そうね~、帰れるといえば帰れる、帰れないといえば帰れない。 ああ、私は地球に戻る手助けはしないからね」

帰れるといえば帰れる、帰れないといえば帰れない、それってどういう意味なんだ?
「そのままの意味ね。帰れる帰れないはあなた達の力、この場合能力次第ってとこかしら」

「能力次第、てことは地球に戻るための魔法やスキルがあるってこと?」
「フフフ、さぁ~、それは自分で考えて。 私は最初に会った時に魔法はイメージって言ったでしょ。 まあこれが答えみたいなものね」

そういうとネレースはクスクスと笑い、先を促す。
「この世界の人はレベルとかステータスとかはあるの? 自分たちみたいにステータスを表示できるの? ああ、あとこの世界の人の最高レベルと戦士というか戦闘職の人って大体レベルいくつくらいなの?」

「一気に色々と質問するわね。 フフフ私は逃げないわよ。 まあ答えてあげるわ、私の世界ウエースの人間はステータスを表示してあなた達みたいには見れないわ、ただ自分のステータスを知る方法はあるわよ。場所によって違いはあるけど、大体ギルトと呼ばれている所で見れるみたいね」

「あとこの世界の人間の最高レベルよね、確か700くらいだったかしら。 あと兵士とかはピンからキリまでだから何とも言えないわね~。 まあ一番高い人間でレベル300くらいじゃないかしら、冒険者と呼ばれる人間たちも大体同じでピンキリね」

「ああでもウエースの人間とあなた達を比べると同じレベルでもあなた達の方がステータスは高いわよ。 転送をする際ここを通った影響があったみたい」

う~ん、レベル200超えたからチートと思っていたけど意外とそうでもないんだな…。

「あと、ネレースの決めた事を実行って言ってたけど、そのリストとか見れるようにはならないの? 何を目標にすればいいのかわからないんだよね」
「公表はしないわよ。そればっかり追い求めてるだけじゃつまらないでしょ。」

「スキルの事だけど、今持っているスキル以外を習得するにはどんな方法があるの? それともできない?」
「スキルか?スキルは生まれ持った固有のものと他者やからの伝授や神の祝福、あとは自身でそのスキルを習得するために必要な鍛錬を積むことね」

「ちなみに2回目の転送組、3回目の転送組は何処に転送されるの?」
「そうね~、基本的には町への到着順位で転送しようと思ってるわ」

「到着順位?てことは俺が転送されたところに次の組が転送されるって事?」
「まあそうゆうことになるわね」

「他には聞きたい事はある?」
「じゃあこの世界の金属って何があるの?」

「あなたね~金属って、地球で発見されてる金属が何種類あるか知ってるの?」
「知らない!!! そんなの知ってるわけないじゃん」

「はぁ~、まあいいわ、とりあえず、このウエースで一般的に流通している金属を教えてあげるわ。」

ネレースはあきれた感じでため息をつくと、現在流通している金属は
白金・金・銀・銅・鉄・魔鉄・黒色魔鉄・ミスリル・アダマンタイト・オリハルコン・パシュパトラだそうでそれ以外の金属は金属とは認識されているが特に名前付けられることもないらしいです。

因みに白金って地球で言うとこのプラチナのことらしく、パシュパトラって何?って聞いたらこの世界で一番強靭で万能性に富んで優秀な金属とのことだった。
なんか漠然としてよくわからないわからんな。まあそれ以外のファンタジー金属はテンプレ通りか…・
地球上に存在する金属って何種類あるんだろ…。

「あとさ、ここに送る前に全員になんか希望聞いてるって言ったじゃない? 俺は頭髪の復活と強化に視力回復だったけど、ほかの人は何を望んだの?」
「まあかなり様々だったけど、多くは武器や防具や思い通りのスキルだったかしら。 まあその中でも多かったのが伝説の装備が欲しいとかいう者が多かったわね、まあ伝説といっても何の伝説かわからないから本人たちのイメージを具現化させて与えたけどね」

うん、意外と地球人厨二の人多かったんだ…。

絶対何人か「〇ト」の装備で異世界を闊歩してるだろうな。
会ったら笑わないで話せるだろうか……。

「もういいかしら? 他に何かある?」
「う~ん、聞きたいことができたらメールするからアドレス教えて…」

「あんたバカぁ~?!!!!」

うん怒られた・・・しかも聞いた事のあるフレーズで…。

「いや~いきなり聞きたいこと聞いていいよって言われてもたくさんある聞きたいこと思い出せないもん。 思い出したたびに聞けると助かるな~って」
「はぁ~ほんとあなたは…。 まあいいわ、3回だけ質問を受け付けてあげる。 そうね、ステータス画面にアイコンを表示しといてあげるわ。 そこから質問を受け付けてあげるわ、3回だけだからね」

うん何か痴女からツンデレに見えてきた・・・
「だから、痴女でもないしツンデレでもないから!! アイコンなくすわよ!!!!」
「いや、すいません、消さないでください!!!!」

とりあえず質問アイコンをホントに消されたら困るんでとりあえず謝っておこう…。
「あなた、とりあえずってね~」
うん、睨まれました…。

「じゃあ次はスキルね、何がいい? 作ってあげることもできるわよ」
「う~ん、アイテムBOXって無限容量になったけどこれ以上の進化はあるの?」

「無いわよ」
「そんなあっさり…」

「無いものは無いのだからそう答えるしかないでしょ」
「ごもっともで…」

「因みにほかの人たちはレベルの上昇に伴い容量が増えるようにしてあるわ、大体レベル400にもなれば無限になるかしら…」
「そうですか…まあアイテムBOXに関してはほかの人はどうでもいいや…」
「で?何にするの?」

「う~ん、う~ん、う~~~~~ん、確かさっき作れるって言ってたよね」
「言ったわよ」

「じゃあ、アイテムBOXの中の空間を停止させて、パソコンのフォルダーみたいに自分で整理できるようにしたうえで、100個特殊フォルダー作ってそこに入れた物は無限に出せるような感じにして」

「空間停止はいいわよ。 自分で整理できるように画面が出てパソコンのフォルダーみたいにするのもいいわよ、ただね~(100個特殊フォルダー作ってそこに入れた物は無限に出せるような感じに)って、そんなの許すわけないでしょ!!!!!!」
「チッ」

「じゃあ特殊フォルダーは100じゃなくて50で」
「却下!!てかチッじゃないわよ!! こっちがチッって言いたいわよ」

「じゃあ特殊フォルダーは50じゃなくて40で」
「却下!!」

「じゃあ特殊フォルダーは40じゃなくて30で」
「しつこい!!!!」

「え~~~~~。 じゃあ5個ならよくない?」
「あなたね~」

うんかなりジト目で見られてます…

「ネレース様、ここは美しいネレース様のお力で是非とも……」
「あなた、私の事痴女って言ってたわよね」

「いえいえ、それはネレース様の美しさの前では自意識過剰な痴女もひれ伏すといいたかっただけでネレース様が痴女というわけでじは…」

「ほんと見事な手のひら返しね」
「いえいえ、お美しいネレース様を前に…」

「もういいわ、茶番は終わり!! 5個だけだからね」
「YES!!!」

「ほんとあなたってどういう性格してるの?」
「どういうって…こんな性格?」

「じゃあスキル付与はアイテムBOXの強化でアイテムBOXの中の空間を停止させて、パソコンのフォルダーみたいに自分で整理できるようにしたうえで、5個特殊フォルダー作ってそこに入れた物は無限に出せるようにするでいいわね。 ただ無限に出すのはダメ、それ相応のMPを消費してMPが続く限り無限に出せるようにするのでいいわね」

「OKで~す。あっでもMP消費1/2ぐらいにしてください」
「ほ~~~~~んと図々しいわね」

「てへぺろ♪」

「いや男がやってもかわいくないから…。 まあいいわそうしてあげる」
「あざ~~~~す!!!!」

「あなたほんとに神を敬うって……もういいわあなたに言っても無駄そうだから」

うん、なんか凄く呆れられた・・・・

「あと最後にあなたの望みをかなえてあげるわ」
「じゃあ元の世界に帰らせてもらうということで」

「き・ゃ・っ・か!!!!」
「じゃあ、今回送られた3万人をもとの世界に帰らせてもらうということで」

「なんで却下された内容を過剰にして要求するのよ、普通3万人を言った後にじゃあ自分だけとかじゃないの? ほんとも~あなたと話していると疲れるわ」

「いやいや、意外と楽しんでるでしょ」
「た・の・し・ん・で・ま・せ・ん!!!」

うん意外とノリがいいから楽しんでるものだと思ってたのに…。
それにしても望みか…。

「じゃあ、地球のイ〇ン〇ール幕〇新〇心とか10っか所ほど回ってで色々仕入れたいんだけど、お金ないんで神様払いで」

「神様払いって何なのよ。 ていうか地球に帰らせろってことじゃない!!!」
「いえいえ、10っか所ほど回って必要な物を必要なだけ仕入れたら帰って来るってことで…」

「ほ~~~~~んとあなたって変よね。 頭大丈夫?」
「うん、頭は神様のおかげでフサフサになったので大丈夫です」

「いやだから…いえ、もういいわ…」
「言いかけてやめるって…なんか気になる」

「私は、あなたに呆れてるの、わかる?あ・き・れ・て・る・の!」
「はい、すいません。で?10っか所巡りは?……ダメ?」

「はぁ~、わかったわ、」
「あざ~~~~っす!!」

「でどこに行きたいの?」
「え~っと、イ〇ン〇ール幕〇新〇心とイオンの物流倉庫と、IK〇Aの物流倉庫と、ヤ〇ダ〇機の物流倉庫と、ほ〇と〇っとの精米所と、〇〇の精麦所と、ぐ〇で〇の物流倉庫と〇〇骨董店と、マ〇モ〇キ〇シの物流倉庫との9か所であとは思いつかないからこれも後でアイコンつけてもらって思いついた時で」

「はぁ~もう呆れ疲れたわ…わかったわ、で?場所は?」
「知らない…」

「あんたバカぁ~?!!!!あんたって本当にバカね~!!」

うん怒られた…しかも本日2回目のフレーズで…。
「まあそこは神様のお力でチャチャとお調べ頂いて……」

「わかったわよ! じゃあ、順番に行くわよ!」
「あれ?神様もショッピング?」

「私は引率、わかる? い・ん・そ・つ!!!」
「Yes,ma'am!!!」

そんなこんなでネレースと共に9か所を巡って片っ端からアイテムBOXに整理して収納していきました。
不思議だったのは人がいない事、整然と並べられた商品に人気の無い店内、不思議な感覚です。

ネレースいわくコピーをしてそこに連れて行ったとの事です、神様何でもありだな…。

しかも最初のイ〇ン〇ール幕〇新〇心、絶対あとで自分用にコピーするか地球に行ってショッピングする気だ…。
他の所はさして興味も示さなかったのにイ〇ン〇ールだけはあっちこっち回って服を試着とかしてたの見ちゃったもんね。

「じゃあ今回の特典はこれで終わりね…。 じゃあまた何かで一位を取ったらまた会うかもしれないけど」
「お美しいネレース様とまたお会いできる日を心待ちにしております」

そういうと目の前が真っ白になり元居た牢屋のベッドに居ました。
えっ?心にもないセリフをって。
こんな便利な神様なんですから泥水啜ってでもご機嫌取りますよ…。

うん、今の自分はとびっきり悪い顔してます。

そう思いながら目を閉じて久々のベッドでの睡眠を満喫します。
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