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神託

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その日の夜、人々が寝静まるころ
「私はネレース、ウェース創造せし創造神…」
「これよりヌスターロス大陸に住む者に神託を与える」

「この度、私はこの世界とは異なる世界より多くの者に加護を与えこの地に招いた、その者たちはこの世界より遥かに発達した文明に住み様々な技術や知識をもってるわ、また転送に伴い大地の魔力が活発化し、ダンジョンや迷宮に力が満ちていくでしょう。 あなた達は異世界の技術と知識を手に入れこのヌスターロス大陸をより豊かにする機会を得、繁栄を望む事が出来る事でしょう。」

眠りにつくヌスターロス大陸の人たちすべての人の夢の中に現れてこの世界の住人に異世界からの来訪者を伝えます。

16日目の朝

本日より町への帰途につきます。
本日中に遺跡まで木を伐採し道筋を作りながら行き野営を予定していましたが、なんとゾルス達が昨晩から作業に取り掛かっていたようで、遺跡までの伐採はほぼ完了していましたのでする事と言えば道すがら積んである丸太をアイテムBOXに収納しながら歩くだけの楽な工程でした。

遺跡に付くとゾルスが何かを思いついたのか散乱していたオーガの骨が捨てられた場所で何かをしています。
「マサト様、恐れ入りますがこの骨を錬成で成形して頂きたいのですが…」

腕の辺りの骨でしょうか?太く7、80センチ位の骨を大量に持ってきます。
「いいけど、その骨をどうするの?」
「はい、前回試してみたいことがあるとお伝えしてた際に使用をしたいと思いまして…」

なんか歯切れが悪い回答でしたが、予定よりも遺跡に到着し時間を持て余していたので錬成をします。
ゾルスの希望の形は短剣のような形でした。

なんか弥生時代の初期に日本に伝わった銅剣みたいだな…。
そう思いながら大体100本程作成しアイテムBOXに収納しておきます。

オーガの死体とオーガの骨の剣、何に使うんだろう?
ゾルスは錬成で出来た短剣をみて満足しています。

そんなこんなで日が暮れていき遺跡での野営となりました。

遺跡から町までの行程は何事もなく順調に進みます。
さすがにサンダーウルフ達が周囲を警戒し魔物が居ればその都度排除してますから順調じゃない方がおかしいですが…。

20日目の朝
恐らく今日の昼過ぎには町に付くでしょう。

「ロゼフ、遺跡まで大体4日の行程だったけど今までなんで冒険者の人とか気づかなかったのかな?」
「マサト様、それにつきましては、我々と普通の人間では一日の移動距離が全く違いますので」

「そんなに違うもの?」
「はい、まず、サンダーウルフが周囲を警戒しておりますので、慎重に進む必要が御座いません。 またマサト様のレベルは、200を超えており普通の人間よりステータスが高いため疲労も少なく、また歩く速度も速くなっております」

「そういわれると確かに疲れないし休憩も昼ごはん食べるときくらいだったもんね」
「はい、普通の人間であれば周囲の警戒、休憩などで時間を取られすすむ距離が短くなります。そのため、我々では4、5日でも通常は10日以上かかる場合もございます」

ロゼフに言われて初めて認識をしましたが、確かにステータス補正の効果か一日歩いても疲れたと感じることもなく森を歩いていました。

「いわれるまで自分では全く気付かなかったよ」
そういいながら朝食を食べ終え、出発の準備をします。

町には予想通り昼頃に着きました。
森を出る前にゾルス達をはじめサンダーウルフ達に影に潜ってもらい一人で町に入ります。

町に戻るとなぜか城壁の中の雰囲気が変わっているように感じます。
一旦兵舎に向かいアモンさんに帰還した旨の報告をしに行こうかと思いましたらアモンさんがこちらに向かって走って来ます。

「アモンさん、ただいま戻りましたよ~」
「マサト、やっと帰って来たか、とりあえず説明は道すがら話すから今すぐ俺と一緒に領主館まで来い!」

そういって従兵2人に何やら指示をだし、指示を受けた従兵は馬に乗って駆けだします。
「そんなに慌ててなにがあったんですか?」
「お前、何も知らないのか?」

そういいながら用意された馬車にアモンさんは乗り込みお前も乗れと手招きをしています。
「何も知らないのか?って自分は先程まで森の調査に行っていたんですよ」

「それはそうだがお前には神託が下りなかったのか?」
「神託?なんですかそれ。」
そういい首をかしげる自分をまじまじと見つめ、神託の話をします。

どうやら一部の人や神官とかだけではなくこの世界の住人全員に神託がくだったそうです。
あの神の事ですからどうせろくでもない事じゃないかと思っているとアモンさんが気にして声をかけてきます。

「どうした?」
「いえ何でもないです、ちょっとあの神の事ですからろくでもないことの気がして」

結構不機嫌そうな顔をしていたのでしょう。
アモンさんもそれ以上言葉を発することもなく馬車は領主館に到着しました。

領主館に到着すると応接室のような所にとおされます。
「マサト、帰って来たか、聞きたいことは山々あるがとりあえず神託の話は聞いたな」

グランバルさんは応接室に入ってくるなり話をはじめます。
「神託があったとは聞きましたがどういう内容だったかは聞いてません、どんな内容だったんですか?」
「その内容だがな…」

そう言ってグランバルさんが教えてくれた内容はかなり怒りが込み上げてくる内容でした。
要約すると、多数の異世界人をこの世界に召還した事、この世界以上の技術や知識を持ってると伝えている事、加護を与えたといっている事、そして転送により魔力が活発化したとの事です。

「マサト様、大地の魔力が活発化すると魔物も活発化します。特に繁殖力の旺盛な魔物は短期間でその数が大幅に増える可能性がございます。」
「そんな影響があるの?」

「はい、またダンジョンや迷宮にも魔力が集まるということは魔物やアンデットなどが発生する可能性がございます」

ロゼフが影の中から考えられる弊害を教えてくれます。
さらにロゼフいわく、ダンジョンや洞窟で発生する魔物は当初は魔力の集合体のような感じで実際に血や肉などはないのですが時間が経つにつれ肉体を得て繁殖をしだすそうです。

さらにその魔物が新種だったり、今まで分布していなかった魔物の場合には近隣のパワーバランスが崩れたりし、住処を奪われる形で魔物の分布が変わることもあるそうです。

「ほんとにろくな事しないなあの神は」
毒づく自分に渋い顔をしながらグランバルさんが口を開きます。

「調査前に約束をしていた異世界人の捜索と保護だが今回の神託でかなり難しくなったと思ってくれ。 ただ、約束を違える気はないしこちらも最大限の努力をするが、異世界人の事をこのヌスターロス大陸の人間全員が知っちまたから国家単位での争奪戦になる可能性がある」

「でしょうね…話を聞く限り誇張表現された神託のようですから、どこの国も自国の利益の為に国を挙げて異世界人探しをするでしょうね」
「ああ、そうだ。そうなった際、見つけて保護をしてもドグレニム領まで連れて来れるかも難しくなる恐れがある」

「ですよね…はぁ~」
大きなため息が勝手に出てきます。

「グランバルさん、とりあえずドグレニム領内の異世界人捜索保護は優先してください。 領外の異世界人は保護できれば保護で、無理なら所在の把握だけでもお願いします」
「わかった、そのように指示をだす」

「はい、お願いします。 とりあえず以前話しましたが、現時点では1万人がヌスターロス大陸に召喚されています。 自分もその中の一人です。そして一か月後、今日はこの世界に来て20日目ですからあと10~11日後にはさらに1万人、そのさらに1か月後に1万人合計で3万人がこの世界に送られてきます。 一人でも異世界人を囲い込んだ国はこの事実を知って動き出すと思います」

「場合によっては命の奪い合い、ひいては紛争や戦争になるかもしれんな」
「はい、なので領外での捜索と保護は慎重にかつ迅速に行ってもらう必要があります」

「難しい注文だな…そのことも指示をだしておく」
「あと可能ならですが、異世界人との触れ込みで奴隷とかが売られていた場合、多少の確認をして少し疑わしくても購入をしてドグレニム領に移送していただけますか? 少ない可能性でも潰しておきたいので」

「金は…まあ大丈夫か。 わかったそれも指示をしておく」
それからしばらく、捜索と保護についてグランバルさんと話し合いをしました。

異世界人の捜索に関して話が終わったころ、ギルドマスターのバンズさん、副ギルドマスターのウィザーさん、兵士長のタロイマンさんがやってきました。
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