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依頼

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領主館を出るとラルに乗り門に向かいます。

「マサト、あのゴブリン達はお前の配下だろう?」
門の前は防戦準備に追われピリピリしているかと思いきや、平時と変わらない状況でアモンさんも気楽に声を掛けてきます。

「そうですね、日本人を護衛してきたゾルス達のゴブリン軍団です。とりあえずグランバルさんに砦に帰らせろって言われたんで今から行って、今後の指示を出してきますんで門を開けてもらえますか?」

そう言ってアモンさんに門を開けてもらいゾルス達の所に向かいます。

「ゾルス、バルタ、ロゼフ、ご苦労様」
「いえ、無事に役目を果たせてほっとしています」

そういうゾルス達の一行を見ると滝山さんの姿が見えません。
「ゾルス、滝山さんは?」
「はい、それが・・・、どうやら二ホン砦が気に入ったようで、まだ色々と教えることがあるからと残っております」

そうやら滝山さんは自然に囲まれた二ホン砦を気に入ってしまったようです。
野生化しなければいいんですが・・・。

「まあそれはいいや、今度折を見て砦から連れ帰って来るよ」
そう言ってゾルス達に今後の方針を伝えます。

「かしこまりました。ではゴブリン達には砦に帰り、砦からプレモーネまでの道づくりをさせるよう指示を致します」
そう言ってゾルスはボブゴブリン達を集めて指示を出しています。
「カウア、カウイ、カウウ、カウエ、カウオ、あと伝令要員としてテルチ、トルチもゴブリン達と一緒に二ホン砦に行って道づくりを手伝って」

そう言ってカウア達とゴブリン軍団を砦に戻し、転移して来た日本人を連れて町に戻ります。
カウアにはハンゾウに一つ伝言を頼んでおきました。
うん、ハンゾウに伝えた指示が実現したら今後かなり諜報が楽になりそうだな。

そう思いながらゾルス達とサンダーウルフ達は影の中に入ってもらい転移して来た日本人と共に町に入ります。

「マサト、そちらの一行が転移して来た日本人か?」
「そうですね、とりあえず宿舎に案内してもらっていいですか?あと月山部長にも連絡して頂いて今後の説明とかをしてもらってください」

そう言ってあとはアモンさんに任せ、デムズさんの防具屋に向かいます。
とりあえずゾルス達の防具を早く作ってもらってゾルス達と一度二ホン砦に向かって滝山さんの回収と砦の状況とゴブリンの編成をしないといけません。

「こんにちは~」
そう言って防具屋さんに入るとデムズさんが奥から出てきます。
「おう、マサトか、それでゴブリンを連れて来たのか?」

そう言ってすぐに防具制作に入る気満々です。
「はい、右側からゾルス、バルタ、ロゼフです。ゾルスは大剣を使い、バルタは槍を使い、ロゼフはシャーマンです」

デムズさんはそうか、とだけ言てゾルス達の体を触ったりしながらサイズを計ったりしています。
暫くするとデムズさんは出来上がりは3日後だとだけ言い、アトゥロォゥシャスタートルの素材を受け取り奥に行って作業をはじめました。

とりあえず3日後にまた来ることにしましょう。

そう思い一旦家に戻ろうとしたところ、再度、領主館への呼び出しです。

「なにかあったんですか?」
そう言って執務室に入る自分にグランバルさんは椅子に座ったまま、こちらを向きます。

「ああ、マサトに頼みたいことがあってな」
そう言ってまじめな表情でこちらを見ていますが、大体が面倒事のような気がします。

「なんですか?」
「さっき報告があったゴブリン達の住居用に砦を作ったって言ってたよな?」
「言いましたけど?それがどうかしましたか?」

「どんな砦だ?」
そう言って詳細を聞いてくるグランバルさんに土塁に空堀、現在は半分以上水堀になっていますが・・・。を作って建物を建てたことを伝えます。

「何日でそれは出来たんだ?」
「まあ、堀と土塁は一日とかかりませんね、大きさにもよりますけど、土塁と堀はセットですから大体4.5時間くらいでしょうか」

「そうか、俺がさっき、村々が魔物の被害を受けているって言ったのを覚えているか?」
「そうですね、そちらに兵を回すから森を通る道に兵をさく余裕はないと聞きましたが」

「そこでだ、マサトには村々を周って土塁や堀を作ってもらいたい」
「いや、村々を周ってって、そもそもドグレニム領に村はいくつあるんですか?」
「大小合わせて46だ。そのすべての村に作ってもらいたい」

グランバルさんは真剣な表情で話していますので本気なんでしょうが46のも村を周って土塁と堀を作るってどれだけ時間がかかると思っているんでしょうか?

「土塁と空堀を作るとしても、村の立地によっては作れない場所もありますよ?その場合はどうするんですか?」
「そういう村は後回しでいい、とりあえず防衛機能を上げられる村を優先でやってほしい」

そう言うと、返事を待つかのようにこちらを真剣な目で見ていますが、それだけ深刻な状況なのでしょう。
「まあ嫌だと言っても何かしら理由を付けて依頼するつもりなんですよね?まあ出来るだけやりますけど、とりあえず自分にも予定はありますから一気には出来ないですよ?」
「まあ、やってくれるならそれでいいが、出来る限り早めに頼む」

そう言ってドグレニム領の地図と村の位置を示した地図を渡されます。
そもそもこの手書きの地図って位置とか距離とか正しいの?

「そう言えば、グランバルさんに聞きたいことがあったんですよ」
「なんだ?」
「空飛ぶ魔物とかっていますか?できれば手とかがあって文字とかかけそうな魔物がいいんですが・・」

「空を飛ぶ魔物はいるが、手とかがあって文字とかかけそうな魔物は聞いたことがないぞ、自分でも考えてみろ、空を飛ぶ手の生えた魔物ってどんな魔物だよ。それにそんな魔物を探してどうするつもりだ?」
「いや~このドグレニム領をはじめヌスターロス大陸の詳細な地図を作ろうかと思いまして。それに空を飛ぶ魔物を伝令に使えば今以上に情報伝達速度が上がりますからね」

「そういう事か、それは普通の鳥じゃダメなのか?」
「そうですね、鳥でもいいんですが鳥だと魔物とかに襲われる可能性もありますし。まあ自分なりに検討してみます」

そう言って執務室を出て自宅に帰ります。
うん、なんか異世界に来てからなんか忙しいような・・・。

71日目
朝からラルに跨り村に土塁と空堀を作りに行きます。
ホントは月山部長の所に顔を出したのですが、転移者が到着したばかりの為か不在だったので書置きだけ残してきています。

「ラル、とりあえず北側から西側の順に回ってみよう」
そう言ってラルの背に揺られます。

普通の馬と違ってラルが全速で走ると景色がどんどん変わっていきます。
うん、車で走っているように早いんだけど風圧が・・・。
そう思っているうちに1つ目の村に到着します。

村の入り口は粗末ながらも木の門があり住居群の周りにはこれも粗末ながら木の壁が作られています。
「異世界のザ・村って感じだな~」

そう独り言を呟きながら門をくぐり村の中に入ります。
「あんた、この村に何の用だ?」

そう声を掛けて来たのは年配の女性です。
「あ~、領主のグランバルさんに頼まれて、ドグレニム領内の村に土塁と空堀を作りに来たんですよ。」
「領主様が?お前さん1人でか?」

そう言うと年配女性は明らかに疑いの目をこちらに向けてきます。
「まあ、スキルと土魔法で作るんで」

そう言ってラルから降りて村の長的な人はいないか聞くと、まだ疑っているようですが村長さん宅に案内してくれます。
村長さんらしき人も先ほどの女性同様に疑っていましたがとりあえずグランバルさんからの依頼だと伝え、設置場所の話をします。

とりあえず、村長さんとに話し合いの結果今ある木の壁から4、5メートル程外側に設置することにします。
「よし、やるか」

そう言って地面に手を着き魔力を流し錬成術と土魔法を併用します。
地面を掘った際に出た土を土塁に回し大体幅3メートル深さ2メートル位の空堀を作り、そして土塁も高さ2.5メートル程で幅も2メートルほどで外側は垂直に内側は緩やかな傾斜にします。

あまり大きな村では無かったので2時間くらいで作業が終わります。
「まさか、こんなことが・・」

そう言って村長を始め村人が唖然としています。
ですよね~、変な奴が来て急に土塁と堀を作るって言いだして何言ってんだコイツと思ってたら2時間ほどでホントに出来ちゃうったんですもんね・・。

「取り合えず後は門を作りますんで」
そう言ってアイテムBOXから丸太を出して門と見張り台を設置します。

なんだかんだで合計3時間ぐらいで1つ目の村での作業は終了しましたのでこのペースなら意外と何とかなりまそうです。

そう思いながらとっとと依頼を終わらすためにラルに跨り二つ目にの村に向かいます。

72日目、73日目も特にトラブルも無く各村を周り空堀と土塁を作っていきます。
大体ここ3日で13程の村に空堀と土塁の設置が完了しました。

今日は日も暮れて来たので一旦プレモーネに戻ります。

というか明日は防具屋のデムズさんの所に行かないとまた怒鳴られますし、グランバルさんに一旦報告をしたら二ホン砦に行って滝山さんを回収しないと本格的に野生化しそうなので、今回はいったん終了です。
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