40 / 51
40.淫フェルノ
しおりを挟む
幻覚の中で淫魔に犯され、もがき喘ぐアドラを冷静に観察しながら、カオルは尋問を行う。
僕には、彼女の落ち着いた美貌の奥に、いたずらっ子のような眼差しが潜んでいるように見えた。
「何度も確認して申し訳ないが大事なことなんでね。君の能力——誰に貰った?」
「ッ……誰が、教えるか……」
「うーん、強情だなぁ。もうちょい弄ってみるか」
カオルは尻尾をくねらせ、その先端でアドラの体をつついていった。
首筋から鎖骨へ、脇腹から臍部へ、それが鼠径部の辺りに達すると、 シャツの隙間から微かに覗く肌が、ゾワゾワと粟立つのがわかった。
「ふぅぅ~ん、ここが気持ちいいんだ」
女神のような微笑をたたえた淫魔は、男が快楽の渦に抗う様をしっかり見定め、尻尾を彼の体に這わせるように走らせる。
柔和な笑顔が貼りつく下で、ヒタヒタと、艶やかにくっつきまわる黒い蛇は、崎谷薫という人間そのものを表していた。
「ほらほら、言わないと続けるぞ。まず『フレームレート 』、あれは動画や映像の概念がなきゃ出てこない言葉なんだよ。私はアグトスの町しか見ていないから断言できないが、この世界じゃ写真が限度ってとこだろ——私が何を言っているのか分かるかな?」
カオルは要所要所で声量を落とし、すぐそばにいる僕とマルカにだけ聞こえるように話す。
「ぐっ……あうっ……」
「男が喘いでるシーンをダラダラ流したって需要ないんだからさぁ~。ほら、言いなさい! 言え! 衛兵としての研鑽も尊厳も捨てて、みんなが見てる前で、無様に言っちゃえ! イっちゃえ!」
これはひどい。色々とひどい。サキュバスらしくはあるけれど。
下半身に巻きつけた尻尾は、アドラの股間周辺を走り、危うくアレに触れてしまいそうな、ギリギリの位置で伸縮する。
焦らすようなその動きに、僕は無意識のうちに生唾を飲んでいた。
一緒に見ていたマルカも、純真で幼なげな顔に、確かな羞恥の色を浮かべている。年頃の少女には刺激が強い光景だ。
「あの、ユウ殿……きみの姉上は、いつもああなのですか? 弟の前で、あのような……」
「いえ、普段は淑やかな姉なんです。たまにああなりますけど、いつもは優しくて美人な、自慢の姉なんです。本当なんです、リエフさん」
呆れか畏れか、どちらともつかない様子で近寄り聞いてくるリエフさんに、僕は至極真面目に返事をする。自分でも驚くほどに、スルスルと嘘が口をついて出た。マルカも笑いながら肯定してくれたけど、「よくもまあそんな……」という心の声が漏れていた。
僕だって罪悪感はある。でも、姉の体裁を保つのは弟としての大切な役目だ。多少の詐欺は仕方がないんだ。
「そうですか……いやそれより! あれは一体どうなっているのですか? 魔法というものは、あんな芸当まで可能にするのですか?」
「ごめんなさい、魔法については、僕もよくわかってなくて」
とても大事な質問も、無邪気な素振りで受け流す。だけどよくわかっていないのは嘘じゃない。
「ほう。今日1日で様々な彼女を見させていただきましたが……ふむ、悪くない」
「ええっ」
僕より先に、マルカが驚愕の声を漏らした。
(……罪悪感薄れてきたな)
意外や意外。リエフさん的に、ああいうサディスティックな女性はアリだった。
でも確かに、不審な部分があったり性格に難があったとしても、カオルが女性としての魅力に溢れていることに変わりはないし、気持ちはわかる。わかる? いや、うーん……
「ねぇ、アドラ、もう限界なんでしょ? さぁ、イッて♡」
「あああああ! わかった! 言うから、もう……」
便宜を図っている間に、こっちは決着がついたみたいだ。あれだけ強気で揺るがなかったアドラが、ついに懇願の悲鳴を上げている。
「『FPS』は総司令に貰ったんだ! 俺に教えてくれたのは総司令なんだ!」
アドラが喋り始めると、カオルはようやく尻尾を離し、真剣に耳を傾けた。同時にアドラの体は痙攣を止める。幻覚の中のカオルも、彼を解放したのだろうか。
「総司令? 衛兵たちのトップってこと? 名前は?」
「ッ! それは……」
「言えるよね? もうイキたくないもんね?」
本気で情報を聞き出す必要があるためか、カオルは一切の容赦がない。なんだか彼女の周りにドス黒いオーラが見えてくるくらいだ。僕もカオルの瘴気にあてられてしまったのかな。
「エルゼ総司令だ! 頼む、これ以上はっ」
「エルゼ……」
アドラの口からその名が出た途端、カオルは目を細め、少し黙った後、ニッとほくそ笑むように口元を歪めた。
「ンフフフフフフ、だいぶ分かったよ。なぁアドラくん、君はその能力を貰うにあたって、fpsとは何かを学ぶ必要があっただろ? その時、総司令と一緒に遊んだんじゃないか?」
カオルは心の底から楽しそうに、アドラへ質問を投げかける。僕とマルカ、そしてリエフさんは、カオルの言いたいことが理解できずに顔を見合わせた。
「エルゼと何をして遊んだか、当ててやろうか……ストリートグラップラー、だろ?」
(なんだっけ? それ……)
僕たちはますます頭が混乱して、ただ固唾を飲んでアドラの返答を待った。
「なに、言ってんだ、お前……」
けれど、肝心のアドラですら、彼女の真理を見抜けていない。息も絶え絶えの中、困惑を見せるだけだ。
その反応はカオルにとっても虚を突くものだったのか、彼女はしどろもどろになって目をパチクリさせた。
「そ、そんな……ッ! じゃあアレか⁉︎ 鉄筋⁉︎ ……それも違うのか。ならクイーンオブファイターズ⁉︎ ブレイレッド⁉︎ スマッシュシスターズ⁉︎ ……大穴でMARBLEvs.KEPCOM!」
サキュバスとしての威厳をかなぐり捨てて、なんとなく聞き覚えのある言葉を並べ立てていくカオル。
「——ってコトは、ギルティホイール! これだァ!」
決め台詞でも吐くかのように、力強い声でカオルが宣言すると、アドラは体をピクッと反応させて、口を横一文字に結んだ。これは図星に違いない。
そして僕も、ここでやっと気づいた。カオルが羅列した言葉たち、それは——『格闘ゲームのタイトル』だ。
そういえば、僕の仲間にも格闘ゲームが好きなやつがいた。確かにあいつも、フレームがどうのこうのと騒いでいた記憶がある。なるほど、fpsを学ぶのに格闘ゲームはうってつけかもしれない。
(となると、エルゼ総司令は格闘ゲームをプレイできる環境をこの世界で実現しているということだ。間違いなく元老院のメンバーだな……あっ、もしかして)
「ユウくん、これもユウくんがいた世界の話ですか? 私には何が何だか……」
答えに迫りかけたところで、マルカがきょとんと聞いてきた。
「うん、そうだよ。機会があったら教え————ッ!」
余計な混乱を増やさないように、彼女とこそこそ話していた時、視界の端で、アドラの膝が上がっていくのを捉えた。
「カオル! アドラが起きようとしてる!」
「なにィィィィッ⁉︎」
僕がそれを伝えると、カオルは驚き飛び上がり、その勢いのままに、アドラの腹に跨った。そして彼のまぶたを無理やり指で押し広げ
「オラァ! 催眠ッ!」
「ぐああああああ!」
雑に、雑にアドラを淫獄へ引きずり戻した。
「ふぅー、油断も隙も無いなまったく。精神力強すぎだろコイツ、こんなに早く起きるとは思わなかった」
「くそっ,くそォ……あと少しで……」
無惨にも再び幻覚に囚われるアドラ。彼はもう泣き出す寸前といった様相だ。だけど下手に弱さを見せれば、それはカオルの嗜虐性を引き起こす要因になるだけだ。きっと彼もそれを分かっているから、必死に抗っているんだ。
カオルのような美女と交わるなんて、普通の男ならそれこそ夢見るものだ。だけど今、実際にその夢を見せられている男の姿は、とても羨ましいと言えるような代物じゃない。
精気を搾り取られる幻覚というものは、ただの快楽責めとはわけが違う。それはつまり、命を吸い尽くされる感覚。身を任せるなんて以ての外。だからといって抵抗すれば、当然苦しむ時間が増えるんだ。なんて恐ろしい。
でも、あのアドラがあんな短時間で折れかけるなんて、一体どれほどの行為なんだろう。正直、興味がないと言えば嘘になる。
(もし僕があれにかかったら、どうなってしまうんだ……僕が、カオルに……)
「ユウくん、鼻血が! 大丈夫ですか⁉︎」
「おや、ユウ殿、怪我をしていたのですか?」
「え⁉︎ う、ううん……大丈夫」
よからぬことを考えて上気していると、マルカとリエフさんが心配そうに僕を見ていることに気づいた。カオルだけを見ていたはずのリエフさんも、この時ばかりは僕を気遣ってくれた。やっぱり、彼は根が紳士なんだろうな、ちょっと変態だけど
(それにしても、こんなことで鼻血なんて、子どもか僕は……あ、今は子どもか)
鼻血を服の袖で拭いて、カオルとアドラをまじまじと見る。
2度目の催眠をかけたカオルは、先程とは打って変わって、こめかみに青筋を浮かべ、アドラに跨ったまま彼の体を押さえつけている。
「せっかくサキュバスとしてカッコよく振る舞っていたところだったのに……君のせいで台無しだぞ? アドラ。格ゲーの件だって、君が自分で答えていれば、私が慌てる必要もなかったんだ……」
カオルは半ば八つ当たりのように、アドラの体を撫で回す。今の彼女にとって、眼下の男はおもちゃに過ぎないんだ。
「まっ、待て! 『FPS』の話はもうしただろ! だから……」
「なぁぁぁぁぁぁに勘違いしてるんだ。私は『まず、フレームレートについて』と言ったんだぞ、聞きたいことはまだあるよ。明瞭な答えは期待していないがね。ま、アドラくんならまたすぐ起きられるだろ」
カオルの放つ気が、格段に重くなった。今頃、アドラの目の前には、有無を言わさず雄を喰らう怪物がいるのだろう。
「ヒッ……や、やめろ……来るな……来るな……俺の上にまたがるなああーーーーッ」
僕には、彼女の落ち着いた美貌の奥に、いたずらっ子のような眼差しが潜んでいるように見えた。
「何度も確認して申し訳ないが大事なことなんでね。君の能力——誰に貰った?」
「ッ……誰が、教えるか……」
「うーん、強情だなぁ。もうちょい弄ってみるか」
カオルは尻尾をくねらせ、その先端でアドラの体をつついていった。
首筋から鎖骨へ、脇腹から臍部へ、それが鼠径部の辺りに達すると、 シャツの隙間から微かに覗く肌が、ゾワゾワと粟立つのがわかった。
「ふぅぅ~ん、ここが気持ちいいんだ」
女神のような微笑をたたえた淫魔は、男が快楽の渦に抗う様をしっかり見定め、尻尾を彼の体に這わせるように走らせる。
柔和な笑顔が貼りつく下で、ヒタヒタと、艶やかにくっつきまわる黒い蛇は、崎谷薫という人間そのものを表していた。
「ほらほら、言わないと続けるぞ。まず『フレームレート 』、あれは動画や映像の概念がなきゃ出てこない言葉なんだよ。私はアグトスの町しか見ていないから断言できないが、この世界じゃ写真が限度ってとこだろ——私が何を言っているのか分かるかな?」
カオルは要所要所で声量を落とし、すぐそばにいる僕とマルカにだけ聞こえるように話す。
「ぐっ……あうっ……」
「男が喘いでるシーンをダラダラ流したって需要ないんだからさぁ~。ほら、言いなさい! 言え! 衛兵としての研鑽も尊厳も捨てて、みんなが見てる前で、無様に言っちゃえ! イっちゃえ!」
これはひどい。色々とひどい。サキュバスらしくはあるけれど。
下半身に巻きつけた尻尾は、アドラの股間周辺を走り、危うくアレに触れてしまいそうな、ギリギリの位置で伸縮する。
焦らすようなその動きに、僕は無意識のうちに生唾を飲んでいた。
一緒に見ていたマルカも、純真で幼なげな顔に、確かな羞恥の色を浮かべている。年頃の少女には刺激が強い光景だ。
「あの、ユウ殿……きみの姉上は、いつもああなのですか? 弟の前で、あのような……」
「いえ、普段は淑やかな姉なんです。たまにああなりますけど、いつもは優しくて美人な、自慢の姉なんです。本当なんです、リエフさん」
呆れか畏れか、どちらともつかない様子で近寄り聞いてくるリエフさんに、僕は至極真面目に返事をする。自分でも驚くほどに、スルスルと嘘が口をついて出た。マルカも笑いながら肯定してくれたけど、「よくもまあそんな……」という心の声が漏れていた。
僕だって罪悪感はある。でも、姉の体裁を保つのは弟としての大切な役目だ。多少の詐欺は仕方がないんだ。
「そうですか……いやそれより! あれは一体どうなっているのですか? 魔法というものは、あんな芸当まで可能にするのですか?」
「ごめんなさい、魔法については、僕もよくわかってなくて」
とても大事な質問も、無邪気な素振りで受け流す。だけどよくわかっていないのは嘘じゃない。
「ほう。今日1日で様々な彼女を見させていただきましたが……ふむ、悪くない」
「ええっ」
僕より先に、マルカが驚愕の声を漏らした。
(……罪悪感薄れてきたな)
意外や意外。リエフさん的に、ああいうサディスティックな女性はアリだった。
でも確かに、不審な部分があったり性格に難があったとしても、カオルが女性としての魅力に溢れていることに変わりはないし、気持ちはわかる。わかる? いや、うーん……
「ねぇ、アドラ、もう限界なんでしょ? さぁ、イッて♡」
「あああああ! わかった! 言うから、もう……」
便宜を図っている間に、こっちは決着がついたみたいだ。あれだけ強気で揺るがなかったアドラが、ついに懇願の悲鳴を上げている。
「『FPS』は総司令に貰ったんだ! 俺に教えてくれたのは総司令なんだ!」
アドラが喋り始めると、カオルはようやく尻尾を離し、真剣に耳を傾けた。同時にアドラの体は痙攣を止める。幻覚の中のカオルも、彼を解放したのだろうか。
「総司令? 衛兵たちのトップってこと? 名前は?」
「ッ! それは……」
「言えるよね? もうイキたくないもんね?」
本気で情報を聞き出す必要があるためか、カオルは一切の容赦がない。なんだか彼女の周りにドス黒いオーラが見えてくるくらいだ。僕もカオルの瘴気にあてられてしまったのかな。
「エルゼ総司令だ! 頼む、これ以上はっ」
「エルゼ……」
アドラの口からその名が出た途端、カオルは目を細め、少し黙った後、ニッとほくそ笑むように口元を歪めた。
「ンフフフフフフ、だいぶ分かったよ。なぁアドラくん、君はその能力を貰うにあたって、fpsとは何かを学ぶ必要があっただろ? その時、総司令と一緒に遊んだんじゃないか?」
カオルは心の底から楽しそうに、アドラへ質問を投げかける。僕とマルカ、そしてリエフさんは、カオルの言いたいことが理解できずに顔を見合わせた。
「エルゼと何をして遊んだか、当ててやろうか……ストリートグラップラー、だろ?」
(なんだっけ? それ……)
僕たちはますます頭が混乱して、ただ固唾を飲んでアドラの返答を待った。
「なに、言ってんだ、お前……」
けれど、肝心のアドラですら、彼女の真理を見抜けていない。息も絶え絶えの中、困惑を見せるだけだ。
その反応はカオルにとっても虚を突くものだったのか、彼女はしどろもどろになって目をパチクリさせた。
「そ、そんな……ッ! じゃあアレか⁉︎ 鉄筋⁉︎ ……それも違うのか。ならクイーンオブファイターズ⁉︎ ブレイレッド⁉︎ スマッシュシスターズ⁉︎ ……大穴でMARBLEvs.KEPCOM!」
サキュバスとしての威厳をかなぐり捨てて、なんとなく聞き覚えのある言葉を並べ立てていくカオル。
「——ってコトは、ギルティホイール! これだァ!」
決め台詞でも吐くかのように、力強い声でカオルが宣言すると、アドラは体をピクッと反応させて、口を横一文字に結んだ。これは図星に違いない。
そして僕も、ここでやっと気づいた。カオルが羅列した言葉たち、それは——『格闘ゲームのタイトル』だ。
そういえば、僕の仲間にも格闘ゲームが好きなやつがいた。確かにあいつも、フレームがどうのこうのと騒いでいた記憶がある。なるほど、fpsを学ぶのに格闘ゲームはうってつけかもしれない。
(となると、エルゼ総司令は格闘ゲームをプレイできる環境をこの世界で実現しているということだ。間違いなく元老院のメンバーだな……あっ、もしかして)
「ユウくん、これもユウくんがいた世界の話ですか? 私には何が何だか……」
答えに迫りかけたところで、マルカがきょとんと聞いてきた。
「うん、そうだよ。機会があったら教え————ッ!」
余計な混乱を増やさないように、彼女とこそこそ話していた時、視界の端で、アドラの膝が上がっていくのを捉えた。
「カオル! アドラが起きようとしてる!」
「なにィィィィッ⁉︎」
僕がそれを伝えると、カオルは驚き飛び上がり、その勢いのままに、アドラの腹に跨った。そして彼のまぶたを無理やり指で押し広げ
「オラァ! 催眠ッ!」
「ぐああああああ!」
雑に、雑にアドラを淫獄へ引きずり戻した。
「ふぅー、油断も隙も無いなまったく。精神力強すぎだろコイツ、こんなに早く起きるとは思わなかった」
「くそっ,くそォ……あと少しで……」
無惨にも再び幻覚に囚われるアドラ。彼はもう泣き出す寸前といった様相だ。だけど下手に弱さを見せれば、それはカオルの嗜虐性を引き起こす要因になるだけだ。きっと彼もそれを分かっているから、必死に抗っているんだ。
カオルのような美女と交わるなんて、普通の男ならそれこそ夢見るものだ。だけど今、実際にその夢を見せられている男の姿は、とても羨ましいと言えるような代物じゃない。
精気を搾り取られる幻覚というものは、ただの快楽責めとはわけが違う。それはつまり、命を吸い尽くされる感覚。身を任せるなんて以ての外。だからといって抵抗すれば、当然苦しむ時間が増えるんだ。なんて恐ろしい。
でも、あのアドラがあんな短時間で折れかけるなんて、一体どれほどの行為なんだろう。正直、興味がないと言えば嘘になる。
(もし僕があれにかかったら、どうなってしまうんだ……僕が、カオルに……)
「ユウくん、鼻血が! 大丈夫ですか⁉︎」
「おや、ユウ殿、怪我をしていたのですか?」
「え⁉︎ う、ううん……大丈夫」
よからぬことを考えて上気していると、マルカとリエフさんが心配そうに僕を見ていることに気づいた。カオルだけを見ていたはずのリエフさんも、この時ばかりは僕を気遣ってくれた。やっぱり、彼は根が紳士なんだろうな、ちょっと変態だけど
(それにしても、こんなことで鼻血なんて、子どもか僕は……あ、今は子どもか)
鼻血を服の袖で拭いて、カオルとアドラをまじまじと見る。
2度目の催眠をかけたカオルは、先程とは打って変わって、こめかみに青筋を浮かべ、アドラに跨ったまま彼の体を押さえつけている。
「せっかくサキュバスとしてカッコよく振る舞っていたところだったのに……君のせいで台無しだぞ? アドラ。格ゲーの件だって、君が自分で答えていれば、私が慌てる必要もなかったんだ……」
カオルは半ば八つ当たりのように、アドラの体を撫で回す。今の彼女にとって、眼下の男はおもちゃに過ぎないんだ。
「まっ、待て! 『FPS』の話はもうしただろ! だから……」
「なぁぁぁぁぁぁに勘違いしてるんだ。私は『まず、フレームレートについて』と言ったんだぞ、聞きたいことはまだあるよ。明瞭な答えは期待していないがね。ま、アドラくんならまたすぐ起きられるだろ」
カオルの放つ気が、格段に重くなった。今頃、アドラの目の前には、有無を言わさず雄を喰らう怪物がいるのだろう。
「ヒッ……や、やめろ……来るな……来るな……俺の上にまたがるなああーーーーッ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる