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夢クジラ(後編)
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「ボクが見えるの?」
「すごく哀しそうだし、それに……」
「……それに?」
「そんなに、いっぱい黒い花を抱えているから」
その人は、おずおずと近づいてきて、
「いい?」と首をかしげた。
ボクが歯を食いしばって、こくりとうなずくと、
ぎゅっと抱きしめてくれた。
「いいじゃない。哀しいなら哀しいで」
「でも……」
うるんだ瞳で、見上げるボクを、
受け入れてくれる、やさしい人。
「涙があふれるのは、あなたが生きている証
なのです。だから、自分をゆるしてあげてです」
「つらいときに、だれかがそばにいてくれたら、
勇気だって出せるです。
いっしょに考えたっていいんです。
黒い花の数が、あなたのやさしさだから」
ボクが泣きやむと、その人は笑った。
その笑顔を見て、ボクは本当に救われた。
とても自然に笑顔になれた。
「笑顔になってよかったです!」
「なんて名前か聞いていい?」
「ひかりのひーちゃん!」
ボクに光をくれた人。
「すごく、いい名前だね」
「夢クジラさん、いいこと教えてあげるです」
「なに?」
「ココロからの笑顔は、光の花を生むんだって!
光の花から、夢クジラさんは生まれるの。
だから、腕の中の黒い花を見て!」
黒かった花は、もう光かがやいている。
それぞれの光の花から、
小さな夢クジラたちが生まれてくる。
「新しい子供たちを、
夢クジラさんの笑顔が生んだのです!
だから、これからは、
ひとりぼっちで泣かないでです!」
黒い花も光の花に変わる。
人も夢クジラも、語り合える。
「ありがとう」
「ありがとです!」
笑顔で手をふりながら、
ひーちゃんが消えていく。
夢から覚めるんだね。
ボクもこの世界で、
新しい命たちと、
泣いたり笑ったりしながら、
生きていく。
end
「すごく哀しそうだし、それに……」
「……それに?」
「そんなに、いっぱい黒い花を抱えているから」
その人は、おずおずと近づいてきて、
「いい?」と首をかしげた。
ボクが歯を食いしばって、こくりとうなずくと、
ぎゅっと抱きしめてくれた。
「いいじゃない。哀しいなら哀しいで」
「でも……」
うるんだ瞳で、見上げるボクを、
受け入れてくれる、やさしい人。
「涙があふれるのは、あなたが生きている証
なのです。だから、自分をゆるしてあげてです」
「つらいときに、だれかがそばにいてくれたら、
勇気だって出せるです。
いっしょに考えたっていいんです。
黒い花の数が、あなたのやさしさだから」
ボクが泣きやむと、その人は笑った。
その笑顔を見て、ボクは本当に救われた。
とても自然に笑顔になれた。
「笑顔になってよかったです!」
「なんて名前か聞いていい?」
「ひかりのひーちゃん!」
ボクに光をくれた人。
「すごく、いい名前だね」
「夢クジラさん、いいこと教えてあげるです」
「なに?」
「ココロからの笑顔は、光の花を生むんだって!
光の花から、夢クジラさんは生まれるの。
だから、腕の中の黒い花を見て!」
黒かった花は、もう光かがやいている。
それぞれの光の花から、
小さな夢クジラたちが生まれてくる。
「新しい子供たちを、
夢クジラさんの笑顔が生んだのです!
だから、これからは、
ひとりぼっちで泣かないでです!」
黒い花も光の花に変わる。
人も夢クジラも、語り合える。
「ありがとう」
「ありがとです!」
笑顔で手をふりながら、
ひーちゃんが消えていく。
夢から覚めるんだね。
ボクもこの世界で、
新しい命たちと、
泣いたり笑ったりしながら、
生きていく。
end
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