僕の尊敬する人へ

潮海晴

文字の大きさ
4 / 4

ツボミ

しおりを挟む
最近は目立ちすぎた、と思った。ネタのない地方テレビは、たった、2、3人が、自殺しただけで大騒ぎしている。
それでも、疑われることこそなかったし、なにせ、殺人だと誰一人として気づかない。
そして、連続自殺事件と言われていることから、まだ警察のお世話になっていないか、警察が無能なのだろう。 


そんなことを考えているうちに殺人現場の男子トイレに着いてしまった。辺りを見回し、無能な警察がいないか確認をしてから、中に入る。男子トイレの中を、隅々まで見ていく。証拠が残っていないか確かめるためだ。

今回も完璧だ。特に証拠が無かったため、男子トイレからでて、このまま家に帰ろうかと思い、階段に足を踏み入れた時。誰かに呼び止められた。このまま、逃げようかと思ったが、このまま大声で名前を呼ばれては厄介なので、意を決して振り返る。

そこには同じクラスメイトの雫内御影の姿があった。
目が合うたびに目を輝かせてくる、めんどくさいやつだ。そう思いながらも、いつものようにとびきりのスマイルを作ってみせた。

「どうかした?僕になにか用?」

雫内は、少し考えてから、

「まだ学校に残ってたんだね。何か用でもあったの?」

「いや、忘れ物をしちゃってね。帰る途中に思い出して戻ってきたんだよ」


内心舌打ちしながらだったが、笑顔は絶やさなかった。
こうすれば雫内から警戒されることももないと思ったからだ。
笑顔を向けて、余計警戒する奴がいるわけが無いのだ。

「そうだったんだ。灰谷が忘れ物なんて珍しいね。」

「そうかもしれないね。御影は?何をしていたの?」

すると、想像もしていなかったことを口にする。


「自殺の現場を見てみたいと思って、来たんだ」


なぜか、言葉がでなかった。こんなことを考えるやつもいるんだと、少し驚いたからだろうか。感情を、表に出さずこういう時は、とびっきりの悲しい表情を見せるに限る。

「そ、うなのか。先生にバレたらやばいぞ?この話は学校を出てから、聞かせてくれないか?」


次の瞬間、雫内は、笑いながらこう言った。


「もちろん!僕も誰かに話したいと思っていたとこだったんだよ」


面白いと思った。少し興味が湧いた瞬間だった。


その後、先生に見つかることはなく、学校を抜け出すことができた。どこで話すか話し合ったところ、近くの公園に行くことにした。

公園のベンチに座り、話を聞く体制を整える。

「さっきの話の続き聞いてもいいかな?」

「もちろんだよ!」

その後は、雫内は、とめどなく話し続けた。現場を見たいと思った理由は、特になく、気づくと行動していたらしい。自分には理解できない内容だった。半分以上聞き流す。だが、聞き捨てならないものがあった。

「最近”さ”…自殺とか、多いですよね」

”さ”?   なんだ?殺人か?

殺人ならば、こいつは気づいている。
今までの事件が自殺ではなく殺人だと。まだ、誰が犯人かはわかっていないだろう。もし、わかっていたとするならば、この場にこいつはいない。
もしかしたら、気が立っているせい
か、些細なことに気づけたが、いつもなら聞き流していたな。

「灰谷?」

はっと我に帰り。
今は話している最中だったことを思い出す。

「ごめん、死んでいった人たちのことを思い出しいていたんだ。皆、いい人だった。」

間を開けた理由を自然に話しながらも思考する。
考えすぎかもしれない。けれど気付いているのかもしれない。
どちらにせよ、最近は派手にやりすぎたな。これからは慎重にやらなければ。もし、本当に気づいてしまっているなら、殺るしかない。自分の身に危険を晒すものは、着実に摘まなければいけない。

灰谷は着々と計画を立てていった。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...