居場所を無くした孤独女子は、エリート上司に甘く囲われる〜二人で美味しい同棲生活〜《R-18》

第十章

シンガポールのマカロンと、衝撃の偶然⑧

お風呂から出て髪の毛の乾かしあいこをして、いつものジンジャーティーを淹れた。

体がポカポカしているなかでクーラーを少し強めに入れて、温かい紅茶を飲む。

色々矛盾している気がしなくもないけど、それがまた気持ちいい。

今日一日、お菓子食べながら映画を観て夕飯の餃子もお腹いっぱい食べて、極めつけにこんな時間に利根川さんからいただいたお土産を食べようとしている。

（いいもん、明日から気をつけるから）

「わ、おいしそう」

リボンでおしゃれにラッピングされた箱。開けると、カラフルなマカロンが顔を出した。

「綺麗な色ですね。それにいい香りがする」

「俺マカロンって食ったことないかも」

「私も食べる機会はそんなに多くないけど、たまに食べると凄くおいしく感じます」

「へぇ、そうなんだ」

「新太さんは何色がいいですか？」

「来未が適当に選んで」

「じゃあ、えーっと」

ネットで調べながら、お皿に幾つか取り分ける。

シンガポールで人気の紅茶屋さんのもので、マカロンにも茶葉がふんだんに使われてるんだそうだ。だからこんなにいい香りなんだと、納得がいった。

「いただきます」

サクッとした歯触りと、ほろほろとほどけていく口当たり。中のクリームとの甘さのバランスがどれも絶妙で、風味も豊かでとてもおいしい。

「お、これうまい」

「それはレモンですね。こっちのチョコクリームも濃厚でおいしい。利根川さんお土産のセンス抜群ですね」

何気なくそう口にすると、新太さんが無言でこちらに手を伸ばす。

親指で私の口の端を拭うと、そのままペロリと自分の指を舐めた。

「他の男を褒めるな」

「っ」

急に色気出すのは心臓に悪いからやめてほしい。それにクリームがついていたんなら、もっと早く言ってほしかった。

恥ずかしくて顔が赤くなってしまい、それを見た新太さんは満足げに笑った。