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第三章「わたしの大好きなお姫様」
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それからはもう、いろんな令嬢に囲まれて「さすがです」とか「救世主だわ」とか言われて訳が分からなくなって、わたしはひたすら笑ってごまかすしかなかった。
周りに人がいなくなった一瞬のタイミングで、わたしはこっそりガーデンを抜け出す。これ以上あれこれ聞かれると、泣いちゃいそうだったから。
ガーデンの端っこ、高い木の後ろに隠れてるベンチを見つけたから、わたしはそこに座ってため息を吐いた。
「ホントに疲れた……」
お茶会はまだ終わってないから、しばらくしたら戻らなきゃいけない。そう思うと、今すぐここから逃げ出したくなる。
でも、そんなことできっこない。
「はぁ……」
あの変な雰囲気は一体なんだったんだろう。ルミエール姫だったら、できないとか無理とかいう言葉を絶対使わなそうだと思ったから、そう言っただけなのに。
もしかしてわたし、とんでもないことやらかしちゃったんじゃ……。
「見ました?ルミエール様のあの顔!」
ふいに聞こえた高い声。無意識に身を縮こまらせながら、わたしは声のする方に視線を向ける。
木がジャマして見えづらいけど、この声はたぶんアリーさんだ。あとは他にも何人かいるけど、名前が思い出せない。
ルミエール姫の名前が聞こえたからてっきりなり代わりがバレたのかと思って冷や汗をかいたけど、どうやらそうじゃないみたい。
向こうはわたしに気づいてないみたいで、そのまま話を続ける。
「呪いをとく方法なんて絶対見つけていないくせに、強がってるんだから笑っちゃうわ」
「妖精と会話ができないというのは、やっぱり事実のようですね」
「そうよ。だから陰で“できそこない”って呼ばれてるんじゃない。この国の人間なら誰でも知ってるわ。ただのウワサなんかじゃないってこと」
アリーさんがバカにしたように笑うと、他の令嬢たちもそれに合わせて笑う。
「ですが妖精つかいが魔女を倒さないと、この国は魔女に乗っ取られてしまいます」
「その時はこの国を捨てて他へ行くしかないわ。だって妖精つかいは、たった一人だけなんだもの。その姫ができそこないじゃあ、どうしようもないわよ」
「王妃様もおかわいそうに。ルミエール様を庇って呪いをかけられてしまうなんて」
わたしの中で、いろんなことがつながっていく。ショックで思わず声が出そうになって、慌てて手で口を塞いだ。
周りに人がいなくなった一瞬のタイミングで、わたしはこっそりガーデンを抜け出す。これ以上あれこれ聞かれると、泣いちゃいそうだったから。
ガーデンの端っこ、高い木の後ろに隠れてるベンチを見つけたから、わたしはそこに座ってため息を吐いた。
「ホントに疲れた……」
お茶会はまだ終わってないから、しばらくしたら戻らなきゃいけない。そう思うと、今すぐここから逃げ出したくなる。
でも、そんなことできっこない。
「はぁ……」
あの変な雰囲気は一体なんだったんだろう。ルミエール姫だったら、できないとか無理とかいう言葉を絶対使わなそうだと思ったから、そう言っただけなのに。
もしかしてわたし、とんでもないことやらかしちゃったんじゃ……。
「見ました?ルミエール様のあの顔!」
ふいに聞こえた高い声。無意識に身を縮こまらせながら、わたしは声のする方に視線を向ける。
木がジャマして見えづらいけど、この声はたぶんアリーさんだ。あとは他にも何人かいるけど、名前が思い出せない。
ルミエール姫の名前が聞こえたからてっきりなり代わりがバレたのかと思って冷や汗をかいたけど、どうやらそうじゃないみたい。
向こうはわたしに気づいてないみたいで、そのまま話を続ける。
「呪いをとく方法なんて絶対見つけていないくせに、強がってるんだから笑っちゃうわ」
「妖精と会話ができないというのは、やっぱり事実のようですね」
「そうよ。だから陰で“できそこない”って呼ばれてるんじゃない。この国の人間なら誰でも知ってるわ。ただのウワサなんかじゃないってこと」
アリーさんがバカにしたように笑うと、他の令嬢たちもそれに合わせて笑う。
「ですが妖精つかいが魔女を倒さないと、この国は魔女に乗っ取られてしまいます」
「その時はこの国を捨てて他へ行くしかないわ。だって妖精つかいは、たった一人だけなんだもの。その姫ができそこないじゃあ、どうしようもないわよ」
「王妃様もおかわいそうに。ルミエール様を庇って呪いをかけられてしまうなんて」
わたしの中で、いろんなことがつながっていく。ショックで思わず声が出そうになって、慌てて手で口を塞いだ。
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