ワガママ姫とわたし!

清澄 セイ

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第三章「わたしの大好きなお姫様」

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──それからルミエール姫にお願いされて、わたしは絵本の話をした。

【妖精つかいのルミエール】

わたしのお母さんが描いた、ルミエール姫のお話。呪いをかけられながらも、知恵と勇気と優しさで魔女に打ち勝ち、最後はキレイな花を咲かせる庭師と結婚して末永く幸せに暮らした、と。

「誰からも好かれる、明るくて優しいお姫様……」

ルミエール姫はただ静かに、わたしの話を聞いていた。真っ赤な目で、時々鼻をすする様子が痛々しくて、もらい泣きしそうになる。

「分かってるわよ、わたくしが嫌われ者だってことくらい。神殿で妖精つかいだとお告げを受けたのに、今まで一度だって姿すら見えたことがないんだもの。魔女が現れた時だって、怖くてなにもできなかった。そんなわたくしを庇って、お母様がかわりに呪いを受けてしまった」

絵本とは別の、本当のお姫さまの物語。

「あの、わたし」
「なによ。同情なんていらないわ」

ツンとそっぽを向くルミエール姫は、最初の印象とは全然違う。

確かに、勝手なこと言われた時は嫌だと思ったけど、彼女には彼女の事情があったんだ。

もっとちゃんと、話をすればよかった。怖がらずに向き合ってたら、傷つけずに済んだかもしれないのに。

「メイの言う通り、あなたに押しつけてわたくしは逃げたのよ。もうどうしたらいいのか分からなかったから」
「……その気持ち、分かります。わたしもそうだったから」

てっきり「一緒にしないでちょうだい」って言われるかと思ったけど、ルミエール姫は黙ったまま。

「わたし、こんなだから。上手く話せなくて、言葉を飲み込んでばっかりで、でもどうしようもなくて。変わりたいって思うのに、自分から行動しようとはしなかった。どうせ無理だって、心の中では諦めてたんです」

本を読んでる時だけは、わたしは自由だった。なりたい自分になれるし、言いたいことだっていくらでも言える。

だけど、本を閉じたなら。

わたしはまた、いつもの自分に元通り。

「もしかしたらわたしたち、似てるのは顔だけじゃないのかも」
「……メイ」
「わたし、わたし……っ」

声が震えて、顔も熱い。でも、思いは声に出さなきゃ伝わらないこと、わたしはよく知ってる。

「わたし、ルミエール姫に協力します!ただの身代わりじゃなくて、お母さんの呪いをとく方法を、一緒にさがします!」

座り込んでるルミエール姫の手を取って、おんなじ色の瞳を見つめる。

そこに写ってるわたしは、今まで見たことのない顔をしてた。
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