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第五章「ルミエール姫の気持ち」
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ソルは立ち上がると、わたしに向かって手を差し伸べてくれる。遠慮がちにその手を取ると、グイッと強い力で引き上げて起こしてくれた。
細く見えるけど、やっぱり男の子なんだ。手だって、わたしよりずっと厚くてゴツゴツしてる。
「あ、ありがとう」
「姫さまが地べたに座ってたら変だろ」
「た、確かに」
緊張から解放されてつい座り込んじゃったけど、気をつけないと。
「あ、あの……大丈夫?」
「別に。こんなのいつものことだし」
「あの人たち、ひどいね」
「普通だろ。階級が上の貴族は、威張るのが趣味なんだから」
本当になんでもないことみたいに、ソルは言う。
わたしが今まで暮らしてきた世界とは、きっとなにもかも違う。絵本には書かれてない、この国のこと。
でも、例えこのショコラ王国ではそれが当たり前なんだとしても、傷つかないわけじゃない。
みんな、一生懸命生きてるんだもん。
「ソルは弱くないよ」
わたしは、彼のキレイな黒い瞳をジッと見つめる。
「お前、俺のことなにも知らないだろ」
「でも、きっとそうだよ。だってマーサさんがルミエール姫を任せるくらいだもん!」
「母さんのことも知らないくせに」
「いい人だよ、絶対!だっていきなりこの世界に来てひとりぼっちだったわたしに、すごく優しくしてくれた。それがどれだけ嬉しくて、心強かったか」
初めて会った人の前で泣いちゃったわたしを、マーサさんは優しく抱きしめてくれた。
もしお母さんが生きてたら、きっとこんな風にしてくれただろうなって思った。あったかくて優しい匂いの、ステキな人。
「それにその手って、たぶん剣の練習いっぱいしたからだよね?あんな人たちに、ソルが負けるなんて絶対ないよ!」
「……」
さっき引き起こしてもらった時に触れた、ソルの手のひら。すごく固くて、マメが潰れたような跡がたくさんあった気がする。
きっと、騎士になる為に一生懸命頑張ってるんだ。
「さっきはああするしかなかったんだよね。貴族って大変だね」
「別に、あんなのなんでもない」
「わたしはソルのこと、応援してる」
尊敬の気持ちを伝えたくてニコッと笑うと、なぜか視線を逸らされた。
「お前、ちゃんと話せるじゃん」
「あれ……ホントだ。夢中だったから気づかなかった」
「なんだそれ」
歯を見せながら笑うソルを見て、心の中がフワッとあったかくなった。
細く見えるけど、やっぱり男の子なんだ。手だって、わたしよりずっと厚くてゴツゴツしてる。
「あ、ありがとう」
「姫さまが地べたに座ってたら変だろ」
「た、確かに」
緊張から解放されてつい座り込んじゃったけど、気をつけないと。
「あ、あの……大丈夫?」
「別に。こんなのいつものことだし」
「あの人たち、ひどいね」
「普通だろ。階級が上の貴族は、威張るのが趣味なんだから」
本当になんでもないことみたいに、ソルは言う。
わたしが今まで暮らしてきた世界とは、きっとなにもかも違う。絵本には書かれてない、この国のこと。
でも、例えこのショコラ王国ではそれが当たり前なんだとしても、傷つかないわけじゃない。
みんな、一生懸命生きてるんだもん。
「ソルは弱くないよ」
わたしは、彼のキレイな黒い瞳をジッと見つめる。
「お前、俺のことなにも知らないだろ」
「でも、きっとそうだよ。だってマーサさんがルミエール姫を任せるくらいだもん!」
「母さんのことも知らないくせに」
「いい人だよ、絶対!だっていきなりこの世界に来てひとりぼっちだったわたしに、すごく優しくしてくれた。それがどれだけ嬉しくて、心強かったか」
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「それにその手って、たぶん剣の練習いっぱいしたからだよね?あんな人たちに、ソルが負けるなんて絶対ないよ!」
「……」
さっき引き起こしてもらった時に触れた、ソルの手のひら。すごく固くて、マメが潰れたような跡がたくさんあった気がする。
きっと、騎士になる為に一生懸命頑張ってるんだ。
「さっきはああするしかなかったんだよね。貴族って大変だね」
「別に、あんなのなんでもない」
「わたしはソルのこと、応援してる」
尊敬の気持ちを伝えたくてニコッと笑うと、なぜか視線を逸らされた。
「お前、ちゃんと話せるじゃん」
「あれ……ホントだ。夢中だったから気づかなかった」
「なんだそれ」
歯を見せながら笑うソルを見て、心の中がフワッとあったかくなった。
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