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第七章「わたしたちの覚悟」
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「はぁ…っ、はぁ…っ」
「わ、わたし手がしびれてる…っ」
「あ、あたしらもさすがに、羽根がちぎれそうだ」
みんなで力を合わせながら、なんとか崖を登りきることができた。もちろん途中で邪魔が入り、ソルは腕にケガを負ってしまった。
「だ、大丈夫?」
「これくらいなんでもない」
「無理はしないでね」
彼の腕に包帯を巻きながら、わたしはそう口にする。無理ならもう、全員がとっくにしている。
「わたしがもっとちゃんと、妖精の力が使えたらよかったのに…」
絵本の中では、ルミエール姫は光の力を使って傷ついた人や動物を癒していた。中途半端にしか使えないわたしには、それができない。
「お前はよくやってるよ」
「そ、ソル…」
よく見ると、ソルの体は小さな傷だらけ。ルミエール姫だって、急な斜面を必死に登ったせいで、手には血が滲んでる。
「…ごめんなさい」
わたしは俯きながら、唇をギュッと噛み締める。もっと、力が強かったら。もっと、作戦を練っていたら。わたしがもっとちゃんとした妖精つかいだったら、みんなこんなにボロボロにならずに済んだかもしれないのに。
わたしなんかじゃ、絵本のルミエール姫には到底叶わない。
わたしなんか…
「メイ、いい加減になさい!」
突然、両方の頬っぺたをギューッと引っ張られる。顔を上げると、ルミエール姫が大きな瞳でジッとわたしを見つめていた。
「どうせあなたのことだから、必要以上に自分を責めているんでしょう。今さらどうしようもないことを、ウダウダ考えたって時間のムダだわ!」
「れ、れも…っ!」
「あなたはこの世界に来て、髪を切ってまで覚悟を示してくれた。メイがいなきゃ、わたくしは旅に出ようとすら思わなかったでしょうね」
「……」
何度か見てしまった、彼女の泣き顔。ルミエール姫はわたしよりもっとずっと、たくさんのものを背負ってる。
「あなたはわたしとソックリなんだから、その顔でメソメソされるとまるで自分自身がそうなっているみたいでとても嫌だわ」
「ご、ごめんらはい…」
「分かったら俯くのをやめるのよ!」
ブンブン首を縦に振ると、ルミエール姫は満足そうに笑いながらわたしの頬っぺたを離す。
ホントにもう、強引なんだから…
そう思いながらも彼女らしい前向きさに救われて、わたしはグッとアゴを上にあげた。
「わ、わたし手がしびれてる…っ」
「あ、あたしらもさすがに、羽根がちぎれそうだ」
みんなで力を合わせながら、なんとか崖を登りきることができた。もちろん途中で邪魔が入り、ソルは腕にケガを負ってしまった。
「だ、大丈夫?」
「これくらいなんでもない」
「無理はしないでね」
彼の腕に包帯を巻きながら、わたしはそう口にする。無理ならもう、全員がとっくにしている。
「わたしがもっとちゃんと、妖精の力が使えたらよかったのに…」
絵本の中では、ルミエール姫は光の力を使って傷ついた人や動物を癒していた。中途半端にしか使えないわたしには、それができない。
「お前はよくやってるよ」
「そ、ソル…」
よく見ると、ソルの体は小さな傷だらけ。ルミエール姫だって、急な斜面を必死に登ったせいで、手には血が滲んでる。
「…ごめんなさい」
わたしは俯きながら、唇をギュッと噛み締める。もっと、力が強かったら。もっと、作戦を練っていたら。わたしがもっとちゃんとした妖精つかいだったら、みんなこんなにボロボロにならずに済んだかもしれないのに。
わたしなんかじゃ、絵本のルミエール姫には到底叶わない。
わたしなんか…
「メイ、いい加減になさい!」
突然、両方の頬っぺたをギューッと引っ張られる。顔を上げると、ルミエール姫が大きな瞳でジッとわたしを見つめていた。
「どうせあなたのことだから、必要以上に自分を責めているんでしょう。今さらどうしようもないことを、ウダウダ考えたって時間のムダだわ!」
「れ、れも…っ!」
「あなたはこの世界に来て、髪を切ってまで覚悟を示してくれた。メイがいなきゃ、わたくしは旅に出ようとすら思わなかったでしょうね」
「……」
何度か見てしまった、彼女の泣き顔。ルミエール姫はわたしよりもっとずっと、たくさんのものを背負ってる。
「あなたはわたしとソックリなんだから、その顔でメソメソされるとまるで自分自身がそうなっているみたいでとても嫌だわ」
「ご、ごめんらはい…」
「分かったら俯くのをやめるのよ!」
ブンブン首を縦に振ると、ルミエール姫は満足そうに笑いながらわたしの頬っぺたを離す。
ホントにもう、強引なんだから…
そう思いながらも彼女らしい前向きさに救われて、わたしはグッとアゴを上にあげた。
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