ワガママ姫とわたし!

清澄 セイ

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第九章「さよならとただいま」

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どうしてこんなところに。わざわざ追いかけて来るなんて。お祭りの主役なのに、みんな心配するよ。

言いたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。でもこれは、いつもみたいに怖いからじゃない。

「る、ルミエールひめぇ…っ」

気持ちが溢れて、止まらないからだ。

駆け寄ってきたルミエール姫は、ないてるわたしを抱きしめる。

「だ、ダメです!せっかくのドレスが…」
「そんなの、急いできたからとっくにボロボロよ」
「ご、ごめんなさい…」

ルミエール姫は、フフッと柔らかく笑う。

「許さないわ。わたくしに黙って行こうだなんて」
「ルミエール姫…」

顔を上げて、わたしはギョッとする。

「え、そ、その髪…っ!」
「どう?短い髪も似合うでしょう?」

長かったルミエール姫の髪の毛が、わたしと同じくらいバッサリ切られてる。

驚くわたしとは対照的に、ルミエール姫は得意げに鼻を鳴らした。

「こうすると、本当に瓜二つね」
「あ、あの…」
「あなたのこと、忘れないから」

ルミエール姫の声色が、少しだけ変わる。

「すぐには変われないけれど、これからもっと努力して、わたくしはいい王女になるわ」
「ルミエール姫なら、絶対大丈夫です」
「なに言ってるの、あなたもでしょ?」

わたしたちは、ギュッと手を繋ぐ。

「本当にありがとう、メイ」
「わたしも、ありがとうございます」
「元気でいなきゃ、許さないんだから」
「アハハ、分かりました」

わたしは笑いながら、ルミエール姫の瞳を見つめた。

「マーサさんやソルにも、ありがとうって伝えてください」
「あら、ソルならいるわよ。ホラ」

彼女の視線を辿ると、ソルが気にもたれかかってるのが見えた。

「ほ、ホントだ…」
「ソルったら、着いてくるって聞かないくせに近寄ってこないんだから。泣き顔を見せるのが嫌なのね」
「な、泣き顔…?」
「メイがいなくなるのがよっぽど寂しいのよ」

わたしはソルに向かって、大きく手を振る。

「ソル、ありがとう!元気でね!」

ソルはぶっきらぼうに片手を上げるだけだったけど、反対の手で鼻を擦ってるのが見えて、わたしもまたジワッと涙が溢れた。

「帰っても、しっかりやるのよ。嫌なことがあったって、魔女に比べれば全部些細なことだわ」
「た、確かにそうかも」
「幸せにね」

わたしたちはもう一度、強く手を握る。わたしの体が光に包まれて、だんだんと目の前が見えなくなっていく。

「また、会いにいきます。絵本を開いて、何度でも…」

そう呟いたと同時に、あったかい手の感触が消えた。
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