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第二章「ハランの幕が開けました⁉︎」
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放課後、上川先生から資料を受け取ったわたしと夕ヶ丘君は、華組に戻って作業を開始する。資料を一枚ずつ順に取っていき、最後にホッチキスで止めて完了。そんなに難しい作業ではないから、この分ならすぐに終わりそうだ。
「最近連絡帳とかも全部タブレットだし、こういう紙の資料ってなんか久しぶりかも。朝日さんも、そう思わない?」
パチン、パチンと無機質な音の響く教室で、夕日ヶ丘君の声は優しくてあったかい。お父さんやお兄ちゃんがわたしの中の基準だからか、男子にしてはちょっと高めに感じる。
「ああ、うん。そうかも」
作業の手を止めないまま、資料をにらみつけて、口だけ返事をする。普通に接してくれるのがありがたすぎて、手が震えた。あ、ホッチキスめちゃくちゃズレちゃった。これは、一回取らなきゃダメだな。
ていうか、わたしってバカ。意気地なし、ダメダメ。せっかく話しかけてくれてるのに、なんで可愛くない返事しか出来ないの。
前に「笑顔 女子」でネットサーフィンした時、類似検索に「好かれる女子の話し方はこんな感じだよ!」みたいな記事があって、それを夜通し読んだ。今まではまず話す機会すらなかったら無理だったけど、もしかして今日が、試してみるチャンスなのでは……⁉︎
ああ、夕日ヶ丘君。さすが師匠、参考になるだけじゃなくて、わたしに「やってみなさい」って機会の場をくれるなんて!
「知ってる?おれ去年先輩に聞いたんだけど、六年の遠足って、めちゃくちゃ大変らしいよ。それでさ……」
「夕日ヶ丘君!」
突然大声で名前を呼ばれた夕日ヶ丘君は、さすがに驚いたような表情になる。失敗したかも……と思っても、一回走り出したイノシシと麗はもう止められない。
「ホッチキスって、良いと思わない?」
「……ん?」
「このカチャンという音がステキだよね。北陸地域では昔、ホッチキスのことを『ガッチャンコ』と呼んでいたらしいって。そもそもこれって、ホッチキスとホチキスどちらが正しいのかって話だけど、実は正解はないらしいよ。海外では『ステープラ』って言うらしいから、そもそもホッチキスもホチキスもガッチャンコも通じな」
「ちょっとちょっと!ちょっと待って!」
せいいっぱい全力で、ホッチキスについての説明をしていると、途中で夕日ヶ丘君からのストップがかかる。
「ごめん、わかりづらかった?」
「違う違う、そうじゃない!なんでいきなりホッチキスの話⁉︎俺達、遠足の話とかしてなかった⁉︎」
「そうだったっけ……」
ヤバい、ちゃんと聞いてなかった。ごめん夕日ヶ丘君。あなたはホントに良い人なのに、わたしがせっかくのチャンスを活かせなかったばっかりに。
「じゃあ、今のなしで」
「いや、意外とタメになった気もするから、アリにしとこうか」
夕日ヶ丘君は一瞬困ったような顔をしたけど、すぐにいつものスマイルに戻った。キラキラしてる、めっちゃキラキラしてる。
「まぶしいね……」
「えっ、外曇ってるけど」
わたしも、こんな風になりたい。怖がらせたり、嫌がられたりしないで、相手を元気付けられるような、夕日ヶ丘君みたいな人になりたい。そう強く思えば思うほど、顔に力が入ってシワが寄る。
「あれ、朝日さん怒ってる?」
「まさか」
「は、はは……」
師匠に対して怒るなんてあり得ない。尊敬、リスペクト、憧れ、キラキラ。そんな感情しかありませんから。
「さ、作業続けよっか!」
夕日ヶ丘君は師匠スマイルをくり出して、わたしのHPを回復させてくれた。
「最近連絡帳とかも全部タブレットだし、こういう紙の資料ってなんか久しぶりかも。朝日さんも、そう思わない?」
パチン、パチンと無機質な音の響く教室で、夕日ヶ丘君の声は優しくてあったかい。お父さんやお兄ちゃんがわたしの中の基準だからか、男子にしてはちょっと高めに感じる。
「ああ、うん。そうかも」
作業の手を止めないまま、資料をにらみつけて、口だけ返事をする。普通に接してくれるのがありがたすぎて、手が震えた。あ、ホッチキスめちゃくちゃズレちゃった。これは、一回取らなきゃダメだな。
ていうか、わたしってバカ。意気地なし、ダメダメ。せっかく話しかけてくれてるのに、なんで可愛くない返事しか出来ないの。
前に「笑顔 女子」でネットサーフィンした時、類似検索に「好かれる女子の話し方はこんな感じだよ!」みたいな記事があって、それを夜通し読んだ。今まではまず話す機会すらなかったら無理だったけど、もしかして今日が、試してみるチャンスなのでは……⁉︎
ああ、夕日ヶ丘君。さすが師匠、参考になるだけじゃなくて、わたしに「やってみなさい」って機会の場をくれるなんて!
「知ってる?おれ去年先輩に聞いたんだけど、六年の遠足って、めちゃくちゃ大変らしいよ。それでさ……」
「夕日ヶ丘君!」
突然大声で名前を呼ばれた夕日ヶ丘君は、さすがに驚いたような表情になる。失敗したかも……と思っても、一回走り出したイノシシと麗はもう止められない。
「ホッチキスって、良いと思わない?」
「……ん?」
「このカチャンという音がステキだよね。北陸地域では昔、ホッチキスのことを『ガッチャンコ』と呼んでいたらしいって。そもそもこれって、ホッチキスとホチキスどちらが正しいのかって話だけど、実は正解はないらしいよ。海外では『ステープラ』って言うらしいから、そもそもホッチキスもホチキスもガッチャンコも通じな」
「ちょっとちょっと!ちょっと待って!」
せいいっぱい全力で、ホッチキスについての説明をしていると、途中で夕日ヶ丘君からのストップがかかる。
「ごめん、わかりづらかった?」
「違う違う、そうじゃない!なんでいきなりホッチキスの話⁉︎俺達、遠足の話とかしてなかった⁉︎」
「そうだったっけ……」
ヤバい、ちゃんと聞いてなかった。ごめん夕日ヶ丘君。あなたはホントに良い人なのに、わたしがせっかくのチャンスを活かせなかったばっかりに。
「じゃあ、今のなしで」
「いや、意外とタメになった気もするから、アリにしとこうか」
夕日ヶ丘君は一瞬困ったような顔をしたけど、すぐにいつものスマイルに戻った。キラキラしてる、めっちゃキラキラしてる。
「まぶしいね……」
「えっ、外曇ってるけど」
わたしも、こんな風になりたい。怖がらせたり、嫌がられたりしないで、相手を元気付けられるような、夕日ヶ丘君みたいな人になりたい。そう強く思えば思うほど、顔に力が入ってシワが寄る。
「あれ、朝日さん怒ってる?」
「まさか」
「は、はは……」
師匠に対して怒るなんてあり得ない。尊敬、リスペクト、憧れ、キラキラ。そんな感情しかありませんから。
「さ、作業続けよっか!」
夕日ヶ丘君は師匠スマイルをくり出して、わたしのHPを回復させてくれた。
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