はらぺこワニがことりをたべるまで

11.

「おまえさん、このままじゃ、しぬぞ」
　その夜、ちえもののフクロウがワニに言いました。

　フクロウも森のハンターです。えものをとれなければ生きてはいけないことを、よく知っています。
　ワニにだってわかっていました。もう自分に、かけるウサギやはねるカエルをおそう力がのこっていないことを。
　それでも、ワニはきめたのです。けっして、友だちのことりを食べたりはしない、と。

「おれはもう、じゅうぶん生きた」
　カラカラにかわいた口から、ワニはしわがれた声をだしました。

「今までおれは、さびしいなんて思ったことはなかったんだ。だけど今は、あのことりたちがこなくなったら、さびしい。きらわれて、ひとりになるのはもういやなんだ」