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十一話 リア充、機転を利かせる
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「申し訳ありません!」
「ああ?今更謝られたって意味ねえんだよ!」
派手な容貌の男がひたすら謝り続ける店員に怒鳴りつける。
緑髪のサイドポニーが似合う女の子、遠目だが泣きそうになっているのを感じた。
・・・・・・誰も、動かないのか?
離れている客は仕方ないにしろ、近くにいる客は我関せずといった感じでお酒を飲んでいる。確かに、迷惑な客に関わりたいとは思わないだろうが、これは可哀想ではないのか?
「お客様、どうされましたか?」
そこに、先ほどまで相手してくれていたジェーンさんが仲介に入る。
「どうもこうもねえよ!料理に嬢ちゃんの髪が入ってたんだっての!」
「た、ただいま別のものをお持ちいたしますので・・・・・・」
「ああ!?そんなんで納得すると思ってんのか!?ここの会計持ってもらうだけじゃ収まらねえぞおい!」
「も、申し訳・・・・・・」
ダメだ、客の方が完全に酔っている。真摯に歩み寄っても状況は変わらないだろう。ああいう客の相手をしなきゃいけないのはアルヴァではない、アルラさんのおかげだろうか。
俺は少しだけ待っていた。もしや、ヴァルキリオンの人たちが仲介に入ったりするのではと思っていた、出るところが出れば丸く収まる。そんなポジティブなことを考えていたわけだけど。
でも彼らは気にしていない、確実にこの状況を見ているはずだけど動かない。それを悪いことだとは本当に思っていない、だって彼らはここではただの客なんだから。
でも、少し残念だと思ってしまった。
俺はカウンターに多めにお金を置いてから、いざこざの起きている場所へ向かう。
派手男に歩み寄って、強引に肩を組んで話しかけた。
「おう兄弟!おめえもやられたのかよ!」
「ああ?なんだてめえ?」
「俺もさっきひでえ目に遭ってな、詫び入れてもらわなきゃって思ってたわけなんだわ」
「ほう、兄ちゃんもそうか」
よし、第一ステップはクリアした。こういう人間に必要なのは同調だ、同じ立場になって話せばあっさり気を許したりするものだ。
そこで第二ステップに移行すべく、ジェーンさんともう一人の店員さんを睨み付ける。
「おい!店長連れてこい!慰謝料もらわなきゃ話にならんって伝えろ!」
俺の対応にジェーンさんは驚いていたようだが、もう一人の店員さんはすぐさま店長を呼ぶために厨房へと向かった。怖がらせてしまった、いつか謝罪しよう。
「お、お客様・・・・・・」
「姉ちゃんは仕事しなきゃダメだろうが」
俺の変わりようにおどおどするジェーンさん。あっこの人可愛い、ギャップ萌えってやつか。
なんとか派手男の機嫌を損ねぬよう会話で繋いでいると、何やら封筒を持ったセルビアさんがこちらへ向かってきた。
俺を見て一瞬表情を固まらせたが、すぐに引き締め直し俺たち二人に頭を下げた。
「うちの者が大変失礼いたしました、こちらはお詫びです。代金も結構ですので――」
「よっしゃ兄弟!こいつでもう一軒飲みに行こうや!」
セルビアさんから強引に封筒を奪うと、俺は派手男を立ち上がらせて店の外へと向かう。
案の定派手男はぐらつく、リリーアさんといい最近の俺の役回りはこんなんばっかだな。
歩く度に、周りの客から迷惑そうな視線を向けられる。はあ、これはもうこの店には来られないな。
「大変申し訳ありませんでした。またのお越しをお待ちしております」
セルビアさんの声を受け、俺と派手男はマルチビーアを後にした。これにて、第二ステップは無事終了だ。
「いやあ兄ちゃん、あんたも強引だねえ。まさかホントに金巻き上げるとは」
派手男は嬉しそうに笑った。もう一軒どこ行くかぁなんて聞いてくるが、このお金を使う気は一切無い。
男と一緒の入ったのは外れにあるちょっと大人なお店。男は舟を漕ぎ始めてるしちょうどいい。
「お二人様ですか?」
「いえ、こちらの方だけです」
「承知いたしました。こちらへどうぞ」
派手男を店員に引き渡し、俺はささっとその場を後にする。女の子といちゃいちゃできれば男も満足だろう、ちょっとお高いんだけど。
「さて」
少々どころかかなり気まずいが、セルビアさんにお金を返してこなければならない。男の食事代はどれくらいか知らないけど、俺がある程度出しておいたからそれで許してくれると助かる。
店の前まで来ると、先ほどのことなど何もなかったようにいつも賑わいを見せるマルチビーア。
驚いたのは、店頭で腕を組んでセルビアさんが立っていたこと。こんな忙しいときに厨房に外してここにいるということは・・・・・・
「助かった、まさか早々に追い出してくれるとは」
「あらら、バレてましたか」
先ほどもらった封筒をセルビアさんに返すと、セルビアさんは真剣な目で俺を見つめた。
「なんでこんなことしたの?」
「ただのおっせかいですよ、もっと穏便に済ます方法もあったでしょうし」
「あんた、もうここに飲みにこれないわよ?」
「そうですね、それだと店員として雇われるのも無理ですね」
そう言うと、セルビアさんの表情が驚きに満ちた。
「あんた、まさかそこまで狙って」
「冗談です、再就職先として消えたのは残念ですけど」
再就職のことなんて微塵も考えてないが、社交辞令として言っておく。マルチビーアは俺には賑やかすぎる。
と、思ったのは一瞬だった。
「そう、なら再就職を考えられるようにしてあげる」
「は?」
珍しく嬉しそうににやつくと俺を店内に引っ張っていくセルビアさん。一緒に店内に入った瞬間、店が少しだけ静まるのを感じた。
・・・・・・これはいったい?
「見てくださいお客様!うちの囮店員が無事お金を持ってきてくださいました!!」
「おおおおおおおおおおお!!」
・・・・・・・・・・・・・・・はい?
あまり聞き慣れないセルビアさんの大声に反応するお客様たち。先ほど向けられた鬱陶しそうな視線はどこにもない。迷惑な客を早々に帰らせた良き店員のような扱い。
・・・・・・まさか、俺が戻ってくることを読んで事前に準備しておいたのか?
「これからもマルチビーアはお客様によりよい環境を提供できればと思います!さてさて、せっかく浮いたお金もありますし今いらっしゃるお客様にはビーア一杯サービスいたします!」
完璧な流れだった。そこからのマルチビーアは最高潮の盛り上がりを見せ、料理のクレームの件など最初からなかったように消え去ってしまう。
「再就職、考えといてね?」
そう笑顔を向けて厨房へと戻っていくセルビアさんに、一本取られたのだと無性に悔しくなってしまった。
「ああ?今更謝られたって意味ねえんだよ!」
派手な容貌の男がひたすら謝り続ける店員に怒鳴りつける。
緑髪のサイドポニーが似合う女の子、遠目だが泣きそうになっているのを感じた。
・・・・・・誰も、動かないのか?
離れている客は仕方ないにしろ、近くにいる客は我関せずといった感じでお酒を飲んでいる。確かに、迷惑な客に関わりたいとは思わないだろうが、これは可哀想ではないのか?
「お客様、どうされましたか?」
そこに、先ほどまで相手してくれていたジェーンさんが仲介に入る。
「どうもこうもねえよ!料理に嬢ちゃんの髪が入ってたんだっての!」
「た、ただいま別のものをお持ちいたしますので・・・・・・」
「ああ!?そんなんで納得すると思ってんのか!?ここの会計持ってもらうだけじゃ収まらねえぞおい!」
「も、申し訳・・・・・・」
ダメだ、客の方が完全に酔っている。真摯に歩み寄っても状況は変わらないだろう。ああいう客の相手をしなきゃいけないのはアルヴァではない、アルラさんのおかげだろうか。
俺は少しだけ待っていた。もしや、ヴァルキリオンの人たちが仲介に入ったりするのではと思っていた、出るところが出れば丸く収まる。そんなポジティブなことを考えていたわけだけど。
でも彼らは気にしていない、確実にこの状況を見ているはずだけど動かない。それを悪いことだとは本当に思っていない、だって彼らはここではただの客なんだから。
でも、少し残念だと思ってしまった。
俺はカウンターに多めにお金を置いてから、いざこざの起きている場所へ向かう。
派手男に歩み寄って、強引に肩を組んで話しかけた。
「おう兄弟!おめえもやられたのかよ!」
「ああ?なんだてめえ?」
「俺もさっきひでえ目に遭ってな、詫び入れてもらわなきゃって思ってたわけなんだわ」
「ほう、兄ちゃんもそうか」
よし、第一ステップはクリアした。こういう人間に必要なのは同調だ、同じ立場になって話せばあっさり気を許したりするものだ。
そこで第二ステップに移行すべく、ジェーンさんともう一人の店員さんを睨み付ける。
「おい!店長連れてこい!慰謝料もらわなきゃ話にならんって伝えろ!」
俺の対応にジェーンさんは驚いていたようだが、もう一人の店員さんはすぐさま店長を呼ぶために厨房へと向かった。怖がらせてしまった、いつか謝罪しよう。
「お、お客様・・・・・・」
「姉ちゃんは仕事しなきゃダメだろうが」
俺の変わりようにおどおどするジェーンさん。あっこの人可愛い、ギャップ萌えってやつか。
なんとか派手男の機嫌を損ねぬよう会話で繋いでいると、何やら封筒を持ったセルビアさんがこちらへ向かってきた。
俺を見て一瞬表情を固まらせたが、すぐに引き締め直し俺たち二人に頭を下げた。
「うちの者が大変失礼いたしました、こちらはお詫びです。代金も結構ですので――」
「よっしゃ兄弟!こいつでもう一軒飲みに行こうや!」
セルビアさんから強引に封筒を奪うと、俺は派手男を立ち上がらせて店の外へと向かう。
案の定派手男はぐらつく、リリーアさんといい最近の俺の役回りはこんなんばっかだな。
歩く度に、周りの客から迷惑そうな視線を向けられる。はあ、これはもうこの店には来られないな。
「大変申し訳ありませんでした。またのお越しをお待ちしております」
セルビアさんの声を受け、俺と派手男はマルチビーアを後にした。これにて、第二ステップは無事終了だ。
「いやあ兄ちゃん、あんたも強引だねえ。まさかホントに金巻き上げるとは」
派手男は嬉しそうに笑った。もう一軒どこ行くかぁなんて聞いてくるが、このお金を使う気は一切無い。
男と一緒の入ったのは外れにあるちょっと大人なお店。男は舟を漕ぎ始めてるしちょうどいい。
「お二人様ですか?」
「いえ、こちらの方だけです」
「承知いたしました。こちらへどうぞ」
派手男を店員に引き渡し、俺はささっとその場を後にする。女の子といちゃいちゃできれば男も満足だろう、ちょっとお高いんだけど。
「さて」
少々どころかかなり気まずいが、セルビアさんにお金を返してこなければならない。男の食事代はどれくらいか知らないけど、俺がある程度出しておいたからそれで許してくれると助かる。
店の前まで来ると、先ほどのことなど何もなかったようにいつも賑わいを見せるマルチビーア。
驚いたのは、店頭で腕を組んでセルビアさんが立っていたこと。こんな忙しいときに厨房に外してここにいるということは・・・・・・
「助かった、まさか早々に追い出してくれるとは」
「あらら、バレてましたか」
先ほどもらった封筒をセルビアさんに返すと、セルビアさんは真剣な目で俺を見つめた。
「なんでこんなことしたの?」
「ただのおっせかいですよ、もっと穏便に済ます方法もあったでしょうし」
「あんた、もうここに飲みにこれないわよ?」
「そうですね、それだと店員として雇われるのも無理ですね」
そう言うと、セルビアさんの表情が驚きに満ちた。
「あんた、まさかそこまで狙って」
「冗談です、再就職先として消えたのは残念ですけど」
再就職のことなんて微塵も考えてないが、社交辞令として言っておく。マルチビーアは俺には賑やかすぎる。
と、思ったのは一瞬だった。
「そう、なら再就職を考えられるようにしてあげる」
「は?」
珍しく嬉しそうににやつくと俺を店内に引っ張っていくセルビアさん。一緒に店内に入った瞬間、店が少しだけ静まるのを感じた。
・・・・・・これはいったい?
「見てくださいお客様!うちの囮店員が無事お金を持ってきてくださいました!!」
「おおおおおおおおおおお!!」
・・・・・・・・・・・・・・・はい?
あまり聞き慣れないセルビアさんの大声に反応するお客様たち。先ほど向けられた鬱陶しそうな視線はどこにもない。迷惑な客を早々に帰らせた良き店員のような扱い。
・・・・・・まさか、俺が戻ってくることを読んで事前に準備しておいたのか?
「これからもマルチビーアはお客様によりよい環境を提供できればと思います!さてさて、せっかく浮いたお金もありますし今いらっしゃるお客様にはビーア一杯サービスいたします!」
完璧な流れだった。そこからのマルチビーアは最高潮の盛り上がりを見せ、料理のクレームの件など最初からなかったように消え去ってしまう。
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そう笑顔を向けて厨房へと戻っていくセルビアさんに、一本取られたのだと無性に悔しくなってしまった。
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