天端怪奇伝

湯殿たもと

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天端怪奇伝16

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天端怪奇伝16


土曜日。天気は晴れでお出かけ日和。

「お兄さん、頑張ってきてくださいね」

「おうよ」

千秋にも励まされて家を出る。待ち合わせ場所に30分前に着く。さすが急ぎすぎたか、と思った途端にしげくーんと声がする。

「待った?」

「今まさにちょうど着いたところだ」

「そっか!」

「それじゃ行くぞ」



改札を通り列車に乗り込む。俺は定期券を持っているが持っていないいろはには整理券を持たせた。 

「しげ君、今日はどこに行くの?」

「まだ秘密だぞ、楽しみに待ってろ」

「そっか!楽しみにしておくよ」

おめかししてきたいろははにっこりと笑う。列車はカタンカタンと走り泉宮駅についた。普段学校に来るときも使う駅だがこんなにいい気分で降り立つのは初めて。

「もしかして、水族館に行くの?」

「よくわかったじゃないか。水族館に行くぞ。イルカ好きだろ?」

「ありがとうしげ君」


水族館までバスに乗って水族館へ。二人分のチケットを買って入る。パンフレットを二人で見ると、イルカのショーや白くまの餌やりはまだということが分かったのでまずはぶらぶらと魚を見る。入ってところにあるのは大水槽。さまざまな種類の魚が泳いでいる。

「あれがいわし、これがエイ。あそこに亀もいるよ!」

「そうだな。あそこにちっこい鮫もいるぞ」

「違う種類の魚を同じところに入れて大丈夫なのかな。鮫がいわし食べちゃいそうだよね」

「んーそうだなぁ」

後で調べてみるか・・・。そこから先に歩くとクラゲや蟹が入った小さい水槽が並ぶ。俺は小さいとき一度くらげに刺されたことがある。まあその時はトラウマになったが今はトラウマでもなんでもないし、くらげは見てるだけで飽きない。

「海しばらく行ってないなぁ・・・」

いろはがそう言って海老を眺める。

「いつから行ってないんだ?」

「んー、小学五年生が最後かなぁ。丸二年行ってないね」

「俺は今年の夏に行ったぞ。そうだな、来年の夏に一緒にいこうな」

「そうだね、楽しみにするよ」

いろははにっこり笑って答える。俺も楽しみだ。いろははどんな水着を着てくるんだろうか。何が似合うかなぁ、くふふ。

「ヒトデだ」

「お?ヒトデか」

ちょっと妄想が過ぎそうになったのをヒトデに戻される。ヒトデで妄想に走る女子高生もいるんだから逆だな。

「ヒトデって海で見たことないな、水族館だけだね」

「俺もないな。浜辺じゃなくて岩場にいるのかもしれないな」

白くまの餌やりの時間が近づいて来たのでそちらへ向かう。水族館は全体的にすいていたが白くまだけは大混雑。いろははちびっこい体を生かして一番前に出る。俺はちょっと後ろから。少しすると係員が肉を檻の中に投入する。白くまは肉を見つけると豪快にかぶりつく。なるほどこりゃ凄いな。年間パスポートを買う人の気持ちがなんとなくわかったような気がした。

餌やりが終わるといろはが興奮した様子で感想をどんどんしゃべる。凄い凄い豪快とか文脈が怪しくなるくらい興奮。


「それで写真は撮ったのか?」

「あーっ!撮ってない!どうしよう」

「俺が撮ったから見せてやるよ。ケータイに送ってもいいし」

「ありがとう。ぜひそうしてよ」

「ああ」

その後アザラシやペンギンがすいすい泳いでいるのを見て、空腹を覚えたので水族館の中でお昼にする。シーフードカレーやチャーハンのメニューがあった。さっき観察したものを食べるのは微妙な気分だが美味しい。いろはも美味しそうに食べているので満足。


さて、午後はどうしようか。思ったより水族館をはやく見終わってしまったのだ。駅に戻って地図を見る。ここは?といろはが指差したのは博物館。たしか縄文時代の遺跡から出てきた遺産を展示しているところだ。

「よし、行こうか」

「うん」

そしてクリスマスの色に彩られた町からバスで博物館に出掛けた。


続きます。

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