天端怪奇伝

湯殿たもと

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天端怪奇伝17

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天端怪奇伝17


縄文博物館についた。出土した土器を展示しているという。存在は知っていたが入ったことがない。小学校の遠足にぴったりだと思うのだが。

「ここ一度きてみたかったんだよ」

「いろはの学校も遠足で行かなかったんだな」

「行きたかったんだけどね」

「まあいいだろ。今日は個人で来たから気の済むまでゆっくりみられる」

「そうだね、ゆっくり見るよ」


いろははじっくりと出土した土偶や土器を観察している。少なくとも俺より数倍は詳しいな。俺は学校の歴史で学んだ分の知識しかない。・・・しかし俺としてはこれはどうすればいいのか?

「縄文土器のどんなところが好きなんだ?」

「縄文土器っていうのはね・・・」

いろははかなり興奮して話し出した。滅茶苦茶詳しい。そして熱い。

「・・・ってところが好きかなぁ」

「俺には知識が無いからわからないけど、骨の髄まで好きなんだな」

「そうだね。みかんの皮の白いところまで味わってるかもね」

「趣味っていうのはそういうもんだな」


夜になり、いろはと別れる。来週末にもデートしようと約束する。そういえば来週はクリスマスなんだなぁ。恋人たちが一年で一番熱い夜を過ごす日。まあいろははまだ中学生だし夜遅くまで付き合わせるわけにはいかないからな。また来週が楽しみになってしまった。

日曜日。テスト勉強。これ間に合うか?

月曜日。テスト初日。案外行けるな。助かったぜ笹川。アシストありがとな。

火曜日、水曜日、木曜日と地獄のような日々を終えテストから解放された。ふう。やっとだな。


続きます。



天端怪奇伝17.5


「ねぇ美波、久保田くんに勉強教えたって本当なの?」

「教えてない。ノート見せただけ」

「んー、教えてなくはないんだね。美波、久保田くんにも優しくなったんだね」 

「そういう訳じゃない。久保田には事情があるから」

「事情?」

「凪が信じてないかも知れないけど、久保田は幽霊の友達がいる。その友達はいつ消えるかわからない。だから」

「そうなんだ・・・幽霊の友達。不思議だね」

「私も見えない。だけど久保田は真剣だったから、協力した」

「美波友達思いだもんね。村上さん怪我したとき毎日お見舞いに行ってたよね」

「・・・」

「私も美波とずっと友達でいたいな」

「凪、私もずっと一緒にいたい」


・・・・・・はわわわわわわわ?!

えと、二人抱き合ってるよ!?どういうこと?

不来方さくらは部室の入り口で固まっていた。

続きます。

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