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夜明け編
サンライズその20 夜明け編2
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サンライズその20 夜明け編2
目が覚めると、夜が明けはじめ、空がうっすら明るくなってきた時間であった。見知らぬ部屋の窓から見る空は、俺の住んでいた町とかわらない。起きるか・・・・・・。
朝飯を調達しなければならない。この無人の寮にも食堂はあるのだろうと思い、ほこりっぽい中を進んでみると物置と化した食堂を見つけた。が、ここに食料がある様子はまったくない。冷蔵庫は電源すら入ってなかった。
その時建物のどこからかみしみしという音が立つ。身構えると、階段から安芸が降りてきただけだった。気がつかなかったが安芸もここで寝ているらしい。
「おはようございます安芸さん」
「おはよ」
安芸は相当寝起きが悪いらしい。あまり朝は話しかけないでおこう。そうだ、安芸についていけば朝飯にありつけるのではないか。そうしてしばらく様子を見て、そしてついていくと、学校を出てどこかに行ってしまった。俺は昨日の券売機のことを思い出す。きっと俺の持っている金はこちらの金とは違うから、外で調達は出来ないだろう。仕方ない。朝飯は抜いて、身支度をして箒川さんに会いに行くことにする。箒川さんは校長先生だと言っていたから、校長室に向かう。
「おはよう東海くん、どう?よく眠れた?」
「おかげさまで」
「良かった。それで今日はどうしたの?お金のこと?」
「・・・・・・はい」
「まだあなたは子供だからね・・・・・・高校生?」
「高校一年生です」
「そうか・・・・・・それじゃ放課後に中学生に勉強を教えてくれないかな?大丈夫だよね」
「それなら出来ます」
「じゃあ、これはお給料」
と言って、封筒を渡された。そして今度は一枚紙を渡される。開いてみると地図だった。
「放課後、四時にこの教室に来てね、じゃ、頼んだよ」
そう言って箒川さんは部屋から出ていった。俺も部屋を出て、寮の自室に戻る。封筒の中身は今まで手にしたことのない、大金だった。
「五万円か・・・」
お年玉や小遣いは普段はまったく貯めないが、今回は貯めておかねば。取り敢えず朝飯だ。学校を出て坂道を下る。ちょうどそこには店が開いていて、パンなどを買い込む。ラーメンが欲しかったがここには置いていなかった。
飯が満たされると、どうやって元の世界に帰るのか考える。箒川さんは帰る方法があるとは言っていたがはたして本当なのか。学校の図書館で本を漁ってみるも、当然無かった。なんだかんだで三時半。そろそろ準備しなければ。自室で借りていた私服から少しでもマシだろうと制服に着替え指定された教室に向かう。
「先生はじめまして」
「よろしくお願いします」
箒川さんの言っていた通り、中学生が教室に入ってくる。一人目は女子。
「先生は何の教科の先生なんですか」
「何の教科?えーと、実はな、俺は高校生のバイトなんだ、だから専門とかはない、何でもいい」
「それじゃ、数学を教えてください」
いくら世界が違うといっても、教えてることは一緒だった。中学生のときにやった内容がそのまま。安心して教えられる。
二人目には生物を教える。こちらも中学校で習う懐かしい内容。箒川さんも俺にでも出来るような適切な仕事を割り振ってくれたに違いない。が、三人目の現代文はまーったく見たことない小説だったのでそれなりに苦戦することになった。うぐぅ。
あっという間に一時間経ち五時。そしてそれからしばらくして一日目の仕事は終わった。そこに箒川さんが顔を出す。
「どうかな?東海くん」
「これならやっていけそうです」
「それなら良かった、ところで、東海くんがもといた異世界の話なんだけど」
「はい」
ドキリ、と心臓が大きく鼓動する。
「二週間くらい後に帰れるチャンスがあるらしいのよ、人から聞いた話だけど」
「二週間、ですか」
「だから、それまではうちにいなよ、大丈夫だよね?」
「助かります」
二週間か・・・・・・本当に帰れるのかは疑問だけど、それまで頑張らなくては。
晩飯を食べに行こうと校門を出て町へ向かう。変な学生が遊びまわってると思われないように、安芸から借りた最高に大人っぽい私服を着て坂道を降りる。雪がちらついていて、今朝の商店からちょっと行ったところにあった近場のラーメン屋にはいった。こういう時はラーメンに限る。入ってみるとやたら空いていて不安になるが、いまさら出るわけにはいかない。
「あれ?先生?」
ラーメン屋で声をかけられる。さっきの時間に教えた中学生がここで働いていたのだ。
「北風冬華です、私の家はここなんですよ」
「そうなのか」
「先生は何を注文します?」
「オススメは?」
「醤油ラーメンですよ」
「じゃあそれを」
「まいどー」
実際に料理を作っているのはお父さんで、娘の冬華とおしゃべりしながら待つ。異世界から来たことは適当にぼかしておいたが、箒川さんに助けてもらったこと、学校に住み込みで働いていることなど話した。ラーメンの味は可もなく不可もなく、といったところだったが、寒いのでいつもよりは美味しかったかもしれない。
「ごちそうさま」
「スープまで飲み干す人はじめてみた」
「あまりいないのか?」
「いや、美味しくないから」
「・・・・・・」
向こうでお父さんがしょげてる。代金をはらって外に出ると雪は止んでいたが風は冷たかった。早足で寮にもどって一日が終わる。
続きます
目が覚めると、夜が明けはじめ、空がうっすら明るくなってきた時間であった。見知らぬ部屋の窓から見る空は、俺の住んでいた町とかわらない。起きるか・・・・・・。
朝飯を調達しなければならない。この無人の寮にも食堂はあるのだろうと思い、ほこりっぽい中を進んでみると物置と化した食堂を見つけた。が、ここに食料がある様子はまったくない。冷蔵庫は電源すら入ってなかった。
その時建物のどこからかみしみしという音が立つ。身構えると、階段から安芸が降りてきただけだった。気がつかなかったが安芸もここで寝ているらしい。
「おはようございます安芸さん」
「おはよ」
安芸は相当寝起きが悪いらしい。あまり朝は話しかけないでおこう。そうだ、安芸についていけば朝飯にありつけるのではないか。そうしてしばらく様子を見て、そしてついていくと、学校を出てどこかに行ってしまった。俺は昨日の券売機のことを思い出す。きっと俺の持っている金はこちらの金とは違うから、外で調達は出来ないだろう。仕方ない。朝飯は抜いて、身支度をして箒川さんに会いに行くことにする。箒川さんは校長先生だと言っていたから、校長室に向かう。
「おはよう東海くん、どう?よく眠れた?」
「おかげさまで」
「良かった。それで今日はどうしたの?お金のこと?」
「・・・・・・はい」
「まだあなたは子供だからね・・・・・・高校生?」
「高校一年生です」
「そうか・・・・・・それじゃ放課後に中学生に勉強を教えてくれないかな?大丈夫だよね」
「それなら出来ます」
「じゃあ、これはお給料」
と言って、封筒を渡された。そして今度は一枚紙を渡される。開いてみると地図だった。
「放課後、四時にこの教室に来てね、じゃ、頼んだよ」
そう言って箒川さんは部屋から出ていった。俺も部屋を出て、寮の自室に戻る。封筒の中身は今まで手にしたことのない、大金だった。
「五万円か・・・」
お年玉や小遣いは普段はまったく貯めないが、今回は貯めておかねば。取り敢えず朝飯だ。学校を出て坂道を下る。ちょうどそこには店が開いていて、パンなどを買い込む。ラーメンが欲しかったがここには置いていなかった。
飯が満たされると、どうやって元の世界に帰るのか考える。箒川さんは帰る方法があるとは言っていたがはたして本当なのか。学校の図書館で本を漁ってみるも、当然無かった。なんだかんだで三時半。そろそろ準備しなければ。自室で借りていた私服から少しでもマシだろうと制服に着替え指定された教室に向かう。
「先生はじめまして」
「よろしくお願いします」
箒川さんの言っていた通り、中学生が教室に入ってくる。一人目は女子。
「先生は何の教科の先生なんですか」
「何の教科?えーと、実はな、俺は高校生のバイトなんだ、だから専門とかはない、何でもいい」
「それじゃ、数学を教えてください」
いくら世界が違うといっても、教えてることは一緒だった。中学生のときにやった内容がそのまま。安心して教えられる。
二人目には生物を教える。こちらも中学校で習う懐かしい内容。箒川さんも俺にでも出来るような適切な仕事を割り振ってくれたに違いない。が、三人目の現代文はまーったく見たことない小説だったのでそれなりに苦戦することになった。うぐぅ。
あっという間に一時間経ち五時。そしてそれからしばらくして一日目の仕事は終わった。そこに箒川さんが顔を出す。
「どうかな?東海くん」
「これならやっていけそうです」
「それなら良かった、ところで、東海くんがもといた異世界の話なんだけど」
「はい」
ドキリ、と心臓が大きく鼓動する。
「二週間くらい後に帰れるチャンスがあるらしいのよ、人から聞いた話だけど」
「二週間、ですか」
「だから、それまではうちにいなよ、大丈夫だよね?」
「助かります」
二週間か・・・・・・本当に帰れるのかは疑問だけど、それまで頑張らなくては。
晩飯を食べに行こうと校門を出て町へ向かう。変な学生が遊びまわってると思われないように、安芸から借りた最高に大人っぽい私服を着て坂道を降りる。雪がちらついていて、今朝の商店からちょっと行ったところにあった近場のラーメン屋にはいった。こういう時はラーメンに限る。入ってみるとやたら空いていて不安になるが、いまさら出るわけにはいかない。
「あれ?先生?」
ラーメン屋で声をかけられる。さっきの時間に教えた中学生がここで働いていたのだ。
「北風冬華です、私の家はここなんですよ」
「そうなのか」
「先生は何を注文します?」
「オススメは?」
「醤油ラーメンですよ」
「じゃあそれを」
「まいどー」
実際に料理を作っているのはお父さんで、娘の冬華とおしゃべりしながら待つ。異世界から来たことは適当にぼかしておいたが、箒川さんに助けてもらったこと、学校に住み込みで働いていることなど話した。ラーメンの味は可もなく不可もなく、といったところだったが、寒いのでいつもよりは美味しかったかもしれない。
「ごちそうさま」
「スープまで飲み干す人はじめてみた」
「あまりいないのか?」
「いや、美味しくないから」
「・・・・・・」
向こうでお父さんがしょげてる。代金をはらって外に出ると雪は止んでいたが風は冷たかった。早足で寮にもどって一日が終わる。
続きます
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