月夜の椿

湯殿たもと

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月夜の椿

月夜の椿5

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月夜の椿5


夜になった。私たちの家は久保田くんの知り合いの悪魔に教えてある。とりあえず到着を待つ。それなりに待たされて、何かあったのか心配になるが、特になにもなかったかように昼間の悪魔はやって来た。仲間を連れてくるといった通り、二人増えている。

「こんばーんはっ!」

「こんばんは、明智の先輩の杵築です」

「同じく市振です」

「こんばんは、須賀川牡丹です、今日はよろしくお願いします」

「みんな揃ったから行こう行こう」

「さて、行きましょうか」

ゆっくりと椿が準備を始める。服を着替えて、いかにも魔女という帽子を被り、箒を手に取る。

「そういえば、悪魔にも二種類あるみたいにいってたけど、それはどうなの?敵か味方か」

「それが解らないのですよ、味方でも極秘の任務とかあるし、ていうか部署違うとわからないし」

市振さんが言う。部署、極秘の任務。地獄にも社会があってそれにそってきっちり動いてるのがわかる。

「ちなみにボク達は血の池地獄の担当だよ」

夜空を気持ちよく飛んでいく。私はこの前と同じように椿の後ろに繋がって飛ぶ。今日は満月。月明かりに照らされて椿の顔がくっきりと浮かび上がる。改めてじっくり見ると結構美人だなぁって思う。

「私も、翼欲しいなぁ」

「つばさ?」

椿が、ボソッと呟く。

「自由に飛べる翼が欲しい」

「いまでも魔法で、飛べるけど・・・」

「翼のが自由だから・・・」

私にはそこまでの区別は無いけれど、こだわりがあるみたい。

と、そんなことを思ってると、この前の正体不明の悪魔が姿を見せる。

「あいつだよ」

指を指して仲間の悪魔に存在を教える。

「あれは敵っぽいね」

「敵だね」

すぐ先輩二人が反応する。明智さんは感心しているような顔をする。慣れればすぐに見分けがつくのか。

「本当の悪魔はみんな閻魔様の許可証を持ってるんだよ、でも、それは外からわかるものじゃないと思うんだけど」

少し困惑したような顔で明智さんは言う。

「明智、追うよ」

「わかった」

「椿、私たちもついてこう」

「うん」

方向転換して急いで向かう。仲間の悪魔は敵の悪魔と対峙していた。月明かりに照らされているはずなのに敵の悪魔は闇に包まれている。何者なのか。

「大丈夫?」

味方に声をかける。

「そういえば、私たち戦ったことないよね・・・」

「池の掃除をしていただけだからね」

・・・・・・

敵が攻撃してくるとこちらは避ける一方になってしまう。それどころか大慌て。あわわわわ。

「明智」

「氷室さん?」

「牡丹を頼む」

「えっ?」

たったこれだけの短いやり取りがあって、私は椿の箒から投げ出される。そして明智がキャッチ。いきなり空中で投げ出されるこっちの気持ちにもなってほしい。ぎゃふぅ。

「私についてきて」

「えっはい!」

悪魔の二人に命令する。椿は本気を出したのか、今までに見たこと無い速度で飛び始める。敵の攻撃をかわして、胸元に飛び込み箒で回転斬り。すぐ箒にまたがり安定飛行に戻る。敵は地面に叩きつけられ、そこを椿、杵築、市振の三人で袋叩きにする。

「意外に雑魚かった?もしかして」

「うん、もしかしたら、そうかもしれないね・・・・・・単独で殴りにいくのは躊躇するけど」

・・・・・・

平和な夜。あれから何日か経った。

「こんばんは氷室さんに須賀川さん」

「明智さん久しぶり」

「今日は少し寒いからスープがあるよ」

「わあ、スープ?ボクも食べていいの?」

「もちろん」

あの悪魔の事は意外にすっぱり解決したのだけど、正体はいったいなんだったのだろう。地獄に三人がつれていったところまでしかわからない。もしかしたらその敵にも仲間がいるのかも。また何かあるかもしれない。でも、今は、ゆっくりと、スープを飲んでくつろいでいよう。

・・・・・・

翌朝はいつもと同じように、ギリギリの登校。それはわかってるし、大変だけど、その繰り返しが・・・・・・いちばん。


おしまい。

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