月夜の椿

湯殿たもと

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月夜の椿ネクスト

月夜の椿ネクスト1

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秋。九月や十月のうちはいいけれど、なんとなく寂しげで十一月になると本当に年の終わりが近づいてきて寂しさを感じる。木は葉を落とし風は冷たくなる。しかし十二月はさらに寒くて年末も近いのに、街はきらびやかで十一月とはうって変わって明るくなる。不思議。そして自分は十一月が好きだった。


月夜の椿ネクスト その1


「牡丹、ちょっと頼みがある、いいか」

「どうしたの」

「さっきの授業居眠りしちゃってさ、ノート見せてくれない?」

「実はね、私もさっきの時間ねちゃったんだよね」

「やっぱり」

「あの先生の授業は眠くなるよね」

そう言って牡丹は立ち上がって、別の教科の準備をもって行ってしまった。次は移動教室だった。どちらにしてもこの時間にノートを写すのは無理だったか。あとでほかの人に借りよう。

移動教室から帰ってくるとお昼。今度あわただしく学食へ向かう。パンよりは栄養があるし、弁当をつくる手間を考えるとこちらに分がある。席がなくならないうちに行かなくては。

席を確保して食べ始めると、ここ空いてる?と聞きなれた声。牡丹の声だった。椿もつれている。しかし珍しい、普段は弁当なのに、と思って尋ねるとたまには使ってみよう、ということらしい。一緒にいると牡丹はよくしゃべるけど、椿は無口だった。二人ともいつも通りだった。小学生の頃に初めて出会ったときからずっとこんな感じ。だから椿とはまともに話したことがなかった。

「どうしたの」

「いや、なんでも」

知らぬ間に変な顔をしていたのか、牡丹に尋ねられる。なんでもないと返すとそれ以上は追及されなかった。

「・・・・・・」

ところが椿まで不思議そうな顔をして俺を見ている。椿に睨まれるようなことはしていないし不思議だが、いったいなんなのだろう。

「椿までどうしたの?」

「なんでもない」

さっきと同じような会話が繰り返される。やはり牡丹はこれ以上追及しなかった。しかし不思議そうな顔をしている。誰が何の用があるのか、お互いに思っているのだろう。

放課後。今日は特に用も無いしゆっくり帰ろうか。

空は赤く染まっていく。もうあと一ヶ月半で冬至だから寄り道しているとすぐ夜になってしまう。それでも寄り道しながら帰るのは好き。校庭からは運動部の学生が部活に励む声が聞こえた。自分は今は部活をやっていない。中学校のときに打ち込んだものも今となってはそこまでやりたいとも思わなかった。こうやってのんびりと寄り道しながら帰る方が自分にはあっていた。

今日は不思議と誰にも会わなかった。適当に帰っても誰かと出くわすことが多い。本屋で立ち読みしてから帰った。

テストまで三週間といったところ。勉強をやろうか迷ったが、迷ってる時間があるならやろうと思い、割りと頑張ったから満足して寝た。


夢。この夢は昔のことを見ているのだろう。懐かしい響き。

ここは今はないおばあちゃんの家。そこでテレビを見ているとお客さんがやってきた。お客さんという表現はおかしかった。お盆や正月になると親戚が集まるのだけど、その人は記憶になかったのだ。でも話の内容とかを聞いていると、親戚なのは間違いないようだった。

そこに一人、同じくらいの年の女の子が座っていた。僕のいとこは年上ばかりだったから印象に残ったのだけど、滅多に会う機会は無かった。


続きます

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