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月夜の椿ネクスト
月夜の椿ネクスト2
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月夜の椿ネクスト その2
翌朝、いつも通り学校へゆっくり向かう。朝はわりと強い方なのでそこまで急いでいくこともほとんどない。
今日は冷たい雨だ。もう十一月だからいつ雪が降っても不思議ではないけど、しばらくは降る予報では無いようだった。八時に学校に着いて友達と駄弁る。そしていつものように(テストが近いにも関わらず)だらだらと授業を受けてお昼。昨日とは変わってメロンパンをむさぼる。自分の席にクラスメイトの小栗銀次郎がやってきた。何でもない話を結構する仲でよくお昼を一緒に食べる。今日もたわいのない話をする。
「村山くんは怪奇現象っていうのは興味ある?」
突然何を言い出すのかと思ったが、そのまま話の続きを聞く。
「どうしても道に迷ってしまう森とか、そこらに漂う幽霊とか、そういうのがあるんだよ」
「ふぅん」
「あまり興味ない?」
「興味ないっていうか、うさんくさいな、でもその迷う森は行ってみたいな、どこにあるんだそれは」
「学校を出てコンビニの角を右に曲がって」
「近いなおい」
「放課後に行ってみない?」
「よし、のった」
時間はあっという間に経ち放課後。ひとつ思ったのは晴れの日にすればよかったと想ったことだ。小栗についていき、森の入り口までやってくる。
「道に迷ってしまうんだろう、ちゃんと帰れるのか」
「入口からひまわりの種をまいていけばいいと思うよ」
どこから持ってきたのかひまわりの種が入った袋を取り出す。こまめにまきながら森へ入っていく。ここですこし気になることが。森に入ったはいいけど、どこを目指しているかが解らない。いま何を求めて入ってる俺はその観点から言ったらすでに迷っているも同然だ。そのことを聞いてみると小栗はちゃんと考えてあるという。
「この森には祠があるらしいんだよ、これが昔の地図」
示された地図には確かに鳥居が書かれていた。そしてもう一枚地図を見せられる。
「こっちがいまの地図。こっちからは神社が消えてしまっているんだ、でも普通は神社はなくなったりはしないからきっとあると思うんだ」
「なるほど」
目標が見えたら苦戦はしないだろう。本当の迷いの森でもないかぎり。迷いの森って噂が立つにはそれだけ多くの人が迷って、そして「迷った」という体験談をもって帰らないといけないはずだ。だから大丈夫だとは思うのだけど。
・・・・・・迷った。おかしい。もう一時間も歩いている。地図によれば一キロ四方の森なのに。そしてケータイも繋がらない。本当に迷いの森だったのか。ケータイまで繋がらないとは用意周到なことだ。
「ひまわりの種でもたどって帰ろう」
「そうだな」
小栗も困った顔をして、戻ろうと提案している。断る理由はない。
・・・・・・戻っている途中。ひまわりの種が無くなった。おかしい。無くなるはずはないのだけど。辿っている道を間違ったのかと思って確認するけど、あるところを境にばったりとなくなったのだ。
おかしい。
おかしいだけなら別に良いのだけど現実に困っているから大変だ。これではこの森を抜ける術がないのだ。適当に歩いたら案外すぐ抜け出せるかもしれないが、これ以上歩いて余計に現在地をわからなくするのも躊躇われる。
するとその迷っている道をすたすたと椿がやってきた。牡丹もついてきている。訳を二人に話すと椿は「ついてきて」と一言。そのままついていくとあっという間に森の外へ出る。
「この森は迷うから安易に入ったらいけない」
そう言ってまたすたすたと森の中へ入っていった。牡丹もまた明日ね、と言ってついていく。
「本当にここが迷いの森なら、氷室さんは魔法が使えるんだね」
「まさか」
そんなことを言いながら帰宅した。
また昔の夢を見た。ある日女の子がうちにやってきた。親戚の牡丹ちゃんとお母さんが紹介するとそういえばそうだったような気がする。
牡丹は何故かいつも暗い顔をしていた。その訳を知らなかった僕はいろいろ励まそうとしたのだった。いろいろ珍しいものをみせたり、友達と遊ぶように話をさせてみたりした。
続きます。
翌朝、いつも通り学校へゆっくり向かう。朝はわりと強い方なのでそこまで急いでいくこともほとんどない。
今日は冷たい雨だ。もう十一月だからいつ雪が降っても不思議ではないけど、しばらくは降る予報では無いようだった。八時に学校に着いて友達と駄弁る。そしていつものように(テストが近いにも関わらず)だらだらと授業を受けてお昼。昨日とは変わってメロンパンをむさぼる。自分の席にクラスメイトの小栗銀次郎がやってきた。何でもない話を結構する仲でよくお昼を一緒に食べる。今日もたわいのない話をする。
「村山くんは怪奇現象っていうのは興味ある?」
突然何を言い出すのかと思ったが、そのまま話の続きを聞く。
「どうしても道に迷ってしまう森とか、そこらに漂う幽霊とか、そういうのがあるんだよ」
「ふぅん」
「あまり興味ない?」
「興味ないっていうか、うさんくさいな、でもその迷う森は行ってみたいな、どこにあるんだそれは」
「学校を出てコンビニの角を右に曲がって」
「近いなおい」
「放課後に行ってみない?」
「よし、のった」
時間はあっという間に経ち放課後。ひとつ思ったのは晴れの日にすればよかったと想ったことだ。小栗についていき、森の入り口までやってくる。
「道に迷ってしまうんだろう、ちゃんと帰れるのか」
「入口からひまわりの種をまいていけばいいと思うよ」
どこから持ってきたのかひまわりの種が入った袋を取り出す。こまめにまきながら森へ入っていく。ここですこし気になることが。森に入ったはいいけど、どこを目指しているかが解らない。いま何を求めて入ってる俺はその観点から言ったらすでに迷っているも同然だ。そのことを聞いてみると小栗はちゃんと考えてあるという。
「この森には祠があるらしいんだよ、これが昔の地図」
示された地図には確かに鳥居が書かれていた。そしてもう一枚地図を見せられる。
「こっちがいまの地図。こっちからは神社が消えてしまっているんだ、でも普通は神社はなくなったりはしないからきっとあると思うんだ」
「なるほど」
目標が見えたら苦戦はしないだろう。本当の迷いの森でもないかぎり。迷いの森って噂が立つにはそれだけ多くの人が迷って、そして「迷った」という体験談をもって帰らないといけないはずだ。だから大丈夫だとは思うのだけど。
・・・・・・迷った。おかしい。もう一時間も歩いている。地図によれば一キロ四方の森なのに。そしてケータイも繋がらない。本当に迷いの森だったのか。ケータイまで繋がらないとは用意周到なことだ。
「ひまわりの種でもたどって帰ろう」
「そうだな」
小栗も困った顔をして、戻ろうと提案している。断る理由はない。
・・・・・・戻っている途中。ひまわりの種が無くなった。おかしい。無くなるはずはないのだけど。辿っている道を間違ったのかと思って確認するけど、あるところを境にばったりとなくなったのだ。
おかしい。
おかしいだけなら別に良いのだけど現実に困っているから大変だ。これではこの森を抜ける術がないのだ。適当に歩いたら案外すぐ抜け出せるかもしれないが、これ以上歩いて余計に現在地をわからなくするのも躊躇われる。
するとその迷っている道をすたすたと椿がやってきた。牡丹もついてきている。訳を二人に話すと椿は「ついてきて」と一言。そのままついていくとあっという間に森の外へ出る。
「この森は迷うから安易に入ったらいけない」
そう言ってまたすたすたと森の中へ入っていった。牡丹もまた明日ね、と言ってついていく。
「本当にここが迷いの森なら、氷室さんは魔法が使えるんだね」
「まさか」
そんなことを言いながら帰宅した。
また昔の夢を見た。ある日女の子がうちにやってきた。親戚の牡丹ちゃんとお母さんが紹介するとそういえばそうだったような気がする。
牡丹は何故かいつも暗い顔をしていた。その訳を知らなかった僕はいろいろ励まそうとしたのだった。いろいろ珍しいものをみせたり、友達と遊ぶように話をさせてみたりした。
続きます。
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