天端湯源玉

湯殿たもと

文字の大きさ
4 / 5

天端湯源玉4

しおりを挟む
「見つからないだって!?」

夜中にさくらの大きな声。時計をうっすら目を開けて見ると四時近く。カーテンを開けるとほんの少しだけ白み始めていた。とはいえまだ夜中。ふらふらと立ち上がりさくらの部屋に入る。

「どうしたのさくら」

さくらは誰かと電話をしていた。電話中は話せないだろうから一回廊下にでる。

「大丈夫ですか?」

お手伝いの人吉が駆けてくる。何でもない、誰かと電話してるだけ、と伝える。

たまに夜中で部下への命令なのか、話してることのあるさくら。今日もそんな感じ。また、ゆっくり眠ろうと思い布団に入る。・・・・・・一度完全に起きてしまったせいか眠れない。本でも読もうかな。


天端湯源玉4


「玉がない!」

朝っぱらから雪音が叫ぶ。何だ何だ。まだいくらなんでも朝早いぞ・・・もう少し寝かせてくれ・・・・・・

「大変だよ、玉が無いんだよ」

「ん?玉?玉ならここに」

「違うよそんなショボい玉じゃないよ!隕石の赤い玉!ほんとどこにいったのかな・・・・・・まさか瑞穂が!」

「みずほ?」

ようやく本格的に目を覚ます。玉っていうのはやはり隕石の玉か。しかし無いっていうのはどういうことだ?はじめから無かったんじゃないのか?

・・・・・・そういえば久保田に話したな。隕石のこと。あいつが?まさか。あんなに人がいるなかで取れるとは思えない。きっとはじめから無かったんだろう。


小田原あたりでちらっと海が見える。今日は快晴。朝日を浴びて海がひかり輝く。はと1号は轟音とともにトンネルに飛び込み海はおしまい。するとケータイに電話が。爺やを食堂に残しデッキに出て電話に出る。雪音の声が飛び込んでくる。

「隕石の玉がないのよ!」

「無い?なんだって?」

「見つからないのよ!まさか勝手にビジネスかなんかに使う気?!」

「そんなことしないよ。得体の知れない不吉な赤い玉なんて使わないよ」

「・・・・・・わかった、じゃあね」

雪音も疲れたような感じだった。そもそもその隕石の赤い玉があったかどうかの確証がかいじゃないか。戻ろうとするとまた電話。こんどは妹のさくら。

「はあもしもし」

「玉がないんだよ!やばいよ!他のところに玉を使われたら!」

「玉は隕石に入ってる確証がそもそも・・・・・・なんでさくらがその話知ってるのさ」

「あ、えーと、てへへ、ばいばーい」

一方的に電話を切られる。スパイには普段から気を付けてるつもりだが、こんな身近にいるとは思わなかった。まあさくらにはさくらなりの考えがある。それは解るんだけどさ。熱海のあたりでやっと戻れた。ふう。

「瑞穂、誰からだったのです?」

「雪音とさくらだよ、二人ともあわててかけてきたけど僕に言われても困ることでさ」

「ははは」


ちょっと短いけどつづく。次がラスト。


おまけ

アルファポリスのカテゴリにこれが何れが一番合致しているのか?とよく考えます。こういう微妙なのが本当に多いのです。恋愛が絡めばどんなに魔法が出てこようと核爆弾が落ちようと地球が割れようとゾンビが発生しようと巫女さんが可愛くても、「恋愛」でどうにかできます。

しかし恋愛が絡まず、ちょっとだけ不思議な要素が混ざり混むレベルでファンタジーにするのもどうかと思いますし、ちょっとロボットが出てくるだけでSFというのもあまり、という感じですね。推理させるわけでもないし。困ったなぁ。

次回は恋愛でいくのでこの話は無しです。


おまけ2


八代家について

かなり大きな企業です。また若干のIF要素が働いてる世界なので日本もちゃんと軍を持っていてそこにミサイルを納入しているとか。服飾、保険、食品、鉄鋼、流通なんでもこなす会社を運営しているのです。

兄と妹で分担して親を継いだらしいですね。兄貴はしっかりしてるけど妹は大丈夫なのかな?

あと八代さくらと不来方さくらはまったくの別人なので注意。一応


おまけ3


はと1号 東京607→名古屋741→京都816→新大阪830→新神戸845→岡山920→福山941→広島1003

16両グリーン9、10号車

食堂車8号車(帝国ホテル)



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

秋月の鬼

凪子
キャラ文芸
時は昔。吉野の国の寒村に生まれ育った少女・常盤(ときわ)は、主都・白鴎(はくおう)を目指して旅立つ。領主秋月家では、当主である京次郎が正室を娶るため、国中の娘から身分を問わず花嫁候補を募っていた。 安曇城へたどりついた常盤は、美貌の花魁・夕霧や、高貴な姫君・容花、おきゃんな町娘・春日、おしとやかな令嬢・清子らと出会う。 境遇も立場もさまざまな彼女らは候補者として大部屋に集められ、その日から当主の嫁選びと称する試練が始まった。 ところが、その試練は死者が出るほど苛酷なものだった……。 常盤は試練を乗り越え、領主の正妻の座を掴みとれるのか?

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後

綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、 「真実の愛に目覚めた」 と衝撃の告白をされる。 王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。 婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。 一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。 文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。 そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。 周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

処理中です...