生徒会の仕事はVRMMOでした

くもつき

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一章

自分探し

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 ギルドでの説明を終えると、みんなを待っている間、僕はこのスキルがどうすれば使えるか考えていた。

 (器用貧乏という称号。スキルLv.が5までしか上がらないクソ称号に変わりはないが、スキル適性を全開放してくれる、つまり頑張れば全てのスキルを手に入れることが出来ると考えると意外と使える称号なのかもしれない。)

(後で試してみよう。)

 一通り考えがまとまると、みんなの説明も終わったようだ。


 ギルドを出た僕達はスキルについて話し合っていた。

「スキル、なかなか手に入れるのに時間がかかりそうだね。」

「うん。適性がないといつまで経っても自分の好きなスキルが手に入れられないんだ。こんなシビアなシステムねぇよ。」

「とりあえず自分がどんなことしたいか挙げていかないか?行動するのにみんな前衛とか話にならないだろ?」

「私サポートがいい!鑑定?ってスキルもあるし!」

「ウチは後衛がいいな!」 

「僕はどこでもいいよ。」

 この称号によって僕の役割が決まってくる。頑張れ、器用貧乏。

「じゃあそれぞれ希望はあるみたいだし、とりあえずそこを目標にこれから頑張っていこう!」

 器用貧乏がどれ程の効果を見せるのか。たのしみだ。



「これからどうしようか。」

「私、街を探検してみたい!」

「ええやん!ウチも!」

「俺も一通り見てみたいな。」

「僕も。」

 称号に関して試してみたいことが山ほどあるしな。

「じゃあ1時間半後。また噴水の前で集合だね!」








 さて、まずは武器屋だな。

 器用貧乏はスキルに対して効果がある称号だ。
 まずはスキルを手に入れよう。




「いらっしゃい。」

なんとも落ち着いたな雰囲気だ。こういう武器屋もあるんだな。

「短剣ってありますか?」

「あるはずだ…ほらよ、500Gだ。」

 お姉さんに叱られてからしっかりチュートリアルを見た僕に死角はない。
 お買い物の仕方もしっかりチュートリアルに書いてあった。あって良かったチュートリアル。

「あの、一つ質問なんですけど、」

「ん?何だ?」

「今1番売れてる武器ってなんですか?ちょっと参考にしたくて。」

「ん~なんだろうなぁ。やっぱり普通の剣が1番売れてるな。続いて槍って感じか。」

「ありがとうございます。じゃあ槍も1本買いたいんですが、ありますか?」

「おっ兄ちゃんよ~く分かってるじゃねぇか!じゃあ2つ合わせて1000Gの所を800Gにまけてやるよ!」

 ちょっと得しちゃった。ラッキーだな!


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 鉄の短剣   攻撃力上昇 Ⅰ

 切れ味・耐久力もそこそこある上にお値段もチープ。

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 鉄の槍   攻撃力上昇 Ⅰ

 切れ味・耐久力もそこそこある上にお値段もチープ。

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「まいどあり!これからもご贔屓にな!」




 このゲーム初めてのお買い物を済ませた僕は、単身草原に向かっていた。
 なんと言ってもゲームだ。敵と戦ってナンボだろ!

 それに称号の効果がどれ程のものか確かめておきたいしな!

 ちなみに短剣と槍にした理由は単に使ってみたかったからだ。






「なんだよこれ…。」

 草原には人が溢れかえっていた。
 そりゃそうだ。皆考えることは同じ。自分の手でモンスターを倒してみたいのだろう。


 少し待ってみたものの、人がバラけそうに無いので、草原の端っこで武器の素振りをすることにした。

 まずは短剣からだ。

 短剣と言っても意外と重い。
 振り回す分には問題ないが現実世界だとすぐに手を痛めそうだ。
 レベルが上がればアニメみたいにブンブン出来るのだろうか。

 休憩を挟みながら20分ほど素振りをしていると、急に頭の中に声が流れ始めた。



【スキル・短剣術 を獲得しました】



お!おおお!

スキルだ!スキルを手に入れたぞ!

早速ステータスと唱え、確認してみる。

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 シン

Lv.1     無職

HP(体力)       140
MP(魔力)       40


スキル
短剣術 1/5

称号

器用貧乏  スキル適性全開放。スキル習得速度上昇。しかし、スキルLvの最大値が3になり、MAXボーナスも得られなくなる。
※この称号は付け替え出来ません※

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 やっぱり器用貧乏のせいで最大スキルLv.は5だが、短剣術を手にいれられた!
 この調子で槍のスキルも手に入れよう!








 その後、僕は30分ほど槍を振り続けた。集合時間ギリギリまで粘ってみたが、槍のスキルは手に入れられなかった。
 短剣術には元々適性があったから手に入れるのが早かったのかな。


 噴水に戻るとレンがいた。

「成果の程はどうだ?」

「バッチリだ。スキルも手に入ったしな。」

「もう手に入れたのか!?…実は俺も~!」

 確かレンの称号は運動神経抜群だったか。器用貧乏みたいに補正が掛かってるのかもしれないな。

 スキル談に花を咲かせていると、3人も戻ってきた。
 ちなみにレンは剣術スキルを手に入れていた。

 
「みんなどうだった?」

「この街、めっちゃ広いねんな!1時間あったら回れるかと思ったけど全然無理やったわ。」

「僕はスキルを手に入れたよ。短剣術って言うスキル。」

「俺も。俺は剣術だけどな。」

「凄いね!僕は買い物ついでにこの辺のお店から色々と話を聞いて回ったよ。「キュルルルルル」…ログアウトしてからまとめて話すね。」

 ヒトミが顔を真っ赤にしている。
 確かにお腹が減ってきた。
 

 時刻は午前12時を示している。
 そろそろお昼の時間だ。

「とりあえずお昼食べよっか。」

 この言葉を合図にみんなログアウトして行った。
 槍のスキルをゲットしてからログアウトしたいが、仕方がない。
 腹が減っては戦は出来ぬ。ログアウトするか。




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