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1章
出発だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
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1.次の日裕次郎達は、クエスト受注カウンターの前に集まっていた。
「イザベル! 最初は簡単なクエストにしましょうね? ね?」
裕次郎は、『強くなりたい!』と決意したにも関わらずビビりまくり、本能が恐怖を拒否していた。
「よし、これにしよう。もしかしたら死ぬかもしれんが、多分大丈夫だろう」
イザベルが勝手に決め、受注しようとする。裕次郎は生命の危機を感じ、号泣しながら腰にしがみつく。
「無理だよ! 俺、『死ぬかもしれない系』クエストはまだ早いと思うの! 経験値が全然足りないよ! やめて! まだ死にたくないの!」
しかし、力の弱い裕次郎が叶うわけもなく、半ばイザベルに引きずられるようにしてカウンターに連れてこられる。
「おい、このクエストを頼む!」
イザベルがカウンターに『バン!』と力強くクエスト用紙を叩きつける。それを見た受付の女の子が、
「・・・そちらのパーティーの方が、クエストに行く前から死にそうなんですけど・・・」
と、哀れそうな目で裕次郎を見る。
そう。俺を助けて。確かに『強くして』とは言った。でもこれ、思ってたのと違いすぎる! 段階を経て強くしてほしい! 裕次郎は、必死に受付の女の子に目で訴える。
「やはり泣いてらっしゃるみたいですし、まずは簡単なクエストからどうでしょうか? 流石に水龍は厳しいかと・・・」
受付の女の子は、イザベルに提案する。
!!! ドラゴン系はマジで死ぬから! 絶対無理だから! 裕次郎は、泣きながらイザベルにお願いする。
「ドラゴン系は無理だから! 昨日俺本当に食われかけたからね! もっと簡単なのにしようよ! 別のにしよう!」
裕次郎は、そう言いながらイザベルを揺する。鎧が『ガチャガチャ』と音を立てるが、気にせず揺らし続ける。
「裕次郎、何でイザベルにしがみついて泣いてるの? いじめられてるの?」
ルイーゼが遅れてやってきた。事情がいまいち飲み込めていないようで、泣いている裕次郎を見下ろしている。
「実はな、昨日頑張ると言っておきながら、やっぱり嫌だと言っているのだ。クエストに行きたくないらしい」
イザベルは超大雑把に説明する。
何それ! その説明じゃ俺がヘタレみたいじゃないか! まあそうだけど! 裕次郎はルイーゼに言い訳する。
「違うよ! あんまり難しいクエストは、俺死んじゃうから嫌なの! ルイーゼもそう思うよね?」
必死に同意を得ようとルイーゼを見つめる。
「そうね・・・裕次郎は、間違っていないと思うわ。でも昨日私の為に火龍を引き付けた時は、カッコ良かったのに残念だわ」
ルイーゼは、大袈裟に『やれやれ』と表情を作る。
「・・・え?俺カッコ良かった? ほんとに?」
裕次郎は『ピタリ』と泣き止み、ルイーゼの顔を凝視する。
「まあ、そうね。今日もう一回クエストに行けば、もっとカッコ良いわよ」
イザベルが裕次郎の目をじっと見つめながら、そう言った。あ、お目目パッチリだ・・・
「そうかなぁ? じゃあ頑張ってみようかなぁ?」
単純な裕次郎は泣いていたことも忘れ、にやにや笑いながらイザベルを見つめる。
「ほら。いつまでも泣いてないで、起き上がりなさいよ」
ルイーゼは、優しくそう言うと、裕次郎に手を差しのべる。
今日のルイーゼやさしい。もしかして俺の事好きなのかなぁ? 昨日助けたからかなぁ? そんな妄想をしながら、差し出された手をしっかりと握りしめる。
「魔力吸収!」
ルイーゼがにやにや笑いながら、呪文を唱えた。裕次郎は力が抜け、うつ伏せに倒れる。
「あああ!ま・・た・・か・・・」
ちくしょう! こいつピュアな俺の心を弄びやがった! ひどい!
「裕次郎って、なんか単純よね。幸せそう」
イザベルは見下ろしながら、少しバカにしたようにそう言った。
2.結局、イザベルは水龍のクエストを受けた。シャルロットも合流し、後は出発するだけだ。ついにイザベルが、動き出した。
「すまないが、今日の水龍は裕次郎一人で倒してもらう。昨日決めたのだ。皆、手出しは無用だ」
イザベルは、呆然としている裕次郎をよそに話を進める。
「え? 流石に裕次郎が死んじゃうと思うわよ」
ルイーゼが驚いたように裕次郎を見る。やはりそんなにヤバイ相手なのか。
「大丈夫だ! 死ぬ気で頑張るはずだ。そうだろう?」
イザベルは裕次郎に向き直る。しかし、裕次郎は脱け殻のように反応しない。
「裕次郎さん、もう死にそうですよ? それより豆芝ちゃんどこですか?」
シャルロットが、キョロキョロと豆芝を探す。どうやら見つけたようだ。どこかに走って行ってしまった。
「確かに元気が足りないようだな・・・」
イザベルが腕を組み、目をつむる。考え事をしているようだ。
「うむ!それでは、こうしよう。もし今日水龍を倒せたら、裕次郎の願いを一つ訊いてやろう。何でもいいぞ!」
イザベルは、どうだ?とばかりに裕次郎に人差し指を向ける。
「・・・ほんとに? ほんとに何でもいいの?」
裕次郎はみるみる生気を取り戻し、身体中に何かしらのパワーがみなぎってくる
「ああ。騎士に二言はない。約束は必ず守る」
・・・これは俺の時代来たんじゃないかな?しかし、女騎士が『何でもする』か・・・グフフ。
「しようがないですね。それじゃあ行きましょうか、今すぐに!」
裕次郎は元気百倍、気分爽快で裏庭へ入っていった。
「イザベル! 最初は簡単なクエストにしましょうね? ね?」
裕次郎は、『強くなりたい!』と決意したにも関わらずビビりまくり、本能が恐怖を拒否していた。
「よし、これにしよう。もしかしたら死ぬかもしれんが、多分大丈夫だろう」
イザベルが勝手に決め、受注しようとする。裕次郎は生命の危機を感じ、号泣しながら腰にしがみつく。
「無理だよ! 俺、『死ぬかもしれない系』クエストはまだ早いと思うの! 経験値が全然足りないよ! やめて! まだ死にたくないの!」
しかし、力の弱い裕次郎が叶うわけもなく、半ばイザベルに引きずられるようにしてカウンターに連れてこられる。
「おい、このクエストを頼む!」
イザベルがカウンターに『バン!』と力強くクエスト用紙を叩きつける。それを見た受付の女の子が、
「・・・そちらのパーティーの方が、クエストに行く前から死にそうなんですけど・・・」
と、哀れそうな目で裕次郎を見る。
そう。俺を助けて。確かに『強くして』とは言った。でもこれ、思ってたのと違いすぎる! 段階を経て強くしてほしい! 裕次郎は、必死に受付の女の子に目で訴える。
「やはり泣いてらっしゃるみたいですし、まずは簡単なクエストからどうでしょうか? 流石に水龍は厳しいかと・・・」
受付の女の子は、イザベルに提案する。
!!! ドラゴン系はマジで死ぬから! 絶対無理だから! 裕次郎は、泣きながらイザベルにお願いする。
「ドラゴン系は無理だから! 昨日俺本当に食われかけたからね! もっと簡単なのにしようよ! 別のにしよう!」
裕次郎は、そう言いながらイザベルを揺する。鎧が『ガチャガチャ』と音を立てるが、気にせず揺らし続ける。
「裕次郎、何でイザベルにしがみついて泣いてるの? いじめられてるの?」
ルイーゼが遅れてやってきた。事情がいまいち飲み込めていないようで、泣いている裕次郎を見下ろしている。
「実はな、昨日頑張ると言っておきながら、やっぱり嫌だと言っているのだ。クエストに行きたくないらしい」
イザベルは超大雑把に説明する。
何それ! その説明じゃ俺がヘタレみたいじゃないか! まあそうだけど! 裕次郎はルイーゼに言い訳する。
「違うよ! あんまり難しいクエストは、俺死んじゃうから嫌なの! ルイーゼもそう思うよね?」
必死に同意を得ようとルイーゼを見つめる。
「そうね・・・裕次郎は、間違っていないと思うわ。でも昨日私の為に火龍を引き付けた時は、カッコ良かったのに残念だわ」
ルイーゼは、大袈裟に『やれやれ』と表情を作る。
「・・・え?俺カッコ良かった? ほんとに?」
裕次郎は『ピタリ』と泣き止み、ルイーゼの顔を凝視する。
「まあ、そうね。今日もう一回クエストに行けば、もっとカッコ良いわよ」
イザベルが裕次郎の目をじっと見つめながら、そう言った。あ、お目目パッチリだ・・・
「そうかなぁ? じゃあ頑張ってみようかなぁ?」
単純な裕次郎は泣いていたことも忘れ、にやにや笑いながらイザベルを見つめる。
「ほら。いつまでも泣いてないで、起き上がりなさいよ」
ルイーゼは、優しくそう言うと、裕次郎に手を差しのべる。
今日のルイーゼやさしい。もしかして俺の事好きなのかなぁ? 昨日助けたからかなぁ? そんな妄想をしながら、差し出された手をしっかりと握りしめる。
「魔力吸収!」
ルイーゼがにやにや笑いながら、呪文を唱えた。裕次郎は力が抜け、うつ伏せに倒れる。
「あああ!ま・・た・・か・・・」
ちくしょう! こいつピュアな俺の心を弄びやがった! ひどい!
「裕次郎って、なんか単純よね。幸せそう」
イザベルは見下ろしながら、少しバカにしたようにそう言った。
2.結局、イザベルは水龍のクエストを受けた。シャルロットも合流し、後は出発するだけだ。ついにイザベルが、動き出した。
「すまないが、今日の水龍は裕次郎一人で倒してもらう。昨日決めたのだ。皆、手出しは無用だ」
イザベルは、呆然としている裕次郎をよそに話を進める。
「え? 流石に裕次郎が死んじゃうと思うわよ」
ルイーゼが驚いたように裕次郎を見る。やはりそんなにヤバイ相手なのか。
「大丈夫だ! 死ぬ気で頑張るはずだ。そうだろう?」
イザベルは裕次郎に向き直る。しかし、裕次郎は脱け殻のように反応しない。
「裕次郎さん、もう死にそうですよ? それより豆芝ちゃんどこですか?」
シャルロットが、キョロキョロと豆芝を探す。どうやら見つけたようだ。どこかに走って行ってしまった。
「確かに元気が足りないようだな・・・」
イザベルが腕を組み、目をつむる。考え事をしているようだ。
「うむ!それでは、こうしよう。もし今日水龍を倒せたら、裕次郎の願いを一つ訊いてやろう。何でもいいぞ!」
イザベルは、どうだ?とばかりに裕次郎に人差し指を向ける。
「・・・ほんとに? ほんとに何でもいいの?」
裕次郎はみるみる生気を取り戻し、身体中に何かしらのパワーがみなぎってくる
「ああ。騎士に二言はない。約束は必ず守る」
・・・これは俺の時代来たんじゃないかな?しかし、女騎士が『何でもする』か・・・グフフ。
「しようがないですね。それじゃあ行きましょうか、今すぐに!」
裕次郎は元気百倍、気分爽快で裏庭へ入っていった。
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