成長する殺人鬼1(完結)

一二の三太郎

文字の大きさ
7 / 39
二章 明弘くんの覚醒

『四人目』溺死

しおりを挟む
 俺は次の日、学校に行く仕度をしていた。また透が家の前で騒いでいる。元気のいいやつだ。
「明弘ー早くしろよーおいていくぞー」
「すぐ行く」
 俺はそう言うと玄関へ向かった。外に出るといつものように退屈そうな透がそこにいた。
「いつもギリギリだな」
 俺はその言葉を無視し、
「いってきます」
 といいながら玄関のドアを閉めた。
「そういえば昨日、明弘どっかに出かけてたのか?」
 学校に向かって歩きながら透が聞いてくる。内心どきりとしながらも俺は冷静に答えた。
「まあちょっと買い物にな。それよりお前はどうなんだ?」
 透の方を見ながら聞いてみる。
「まあ俺もそこら辺ぶらぶらしてた」
 そう答えるといきなり、
「競争だー」
 と透は学校走っていってしまった。全く楽しそうなやつだ。
 学校につくと先に着いていた透が唯と話をしていた。
 俺が見る限り透は唯のことが好きなのだろう。唯と話している透はとても楽しそうだ。
 俺は唯に挨拶し、席についた。
「そうそうそこでだんごむしがね~」
 透の話し声が聞こえてきたが、なんの話をしているかさっぱりわからなかった。唯の笑顔がひきつっているのを見ると、また下らない話なのだろう。
 俺は次の講義の準備を始めることにした。

 「はい。今日はここまで。」
 教授がそう言うと、出ていった。やっと終わった。早速帰ろうとすると、透が声をかけてきた。
「課題のレポートの書き方を教えてくれよ~」
「わかったよ。じゃあ一旦家に帰ってから来るから準備していてくれ。」
 俺はそう言うと道具を片付け、学校を出た。
「ただいまー」
 家につくが、おかえりと声が帰ってこない。少し寂しいがしょうがない。そんなことより、早く透のところへ行かなければ。
 俺は昨日使った割れた電球とオイルの缶、それと『DS』の充電器をバックに入れ、透の家へ向かうことにした。

 「飲みもの持ってくるから少し待ってろ。」
 透はそう言うと一階へ降りていった。ここは透の部屋だ。片付けが苦手なのか、とてもちらかっている。
 俺は透が一階にいっている間に『DS』の充電器とオイルの缶をベットの下に滑り込ませた。
 なにも知らない透が二階に上がってくる。
「オレンジジュースでいいか?」
「ああ。ありがとう。じゃあ早速課題を進めよう。」
 俺はそう言うと課題をバックから出し始めた。

 やっと透の課題が終わったのは午後8時過ぎだった。
「やっと終わったーありがとうな」
 透はそう言うと机に顔を伏せた。
「いいよ。俺達友達だろう。」
 そう言うとバックから凶器をとりだし、伏せたままの『四人目』を殴打した。相手は大学生だ。小学生のように簡単には死なない。
『四人目』は必死に頭を防御する。腕がしびれてくるまで殴打し続けると、やっと動かなくなった。しかし早くしないと『四人目』の家族が帰ってくるかもしれない。
 俺は『四人目』を担ぐと急いで車にのせた。この車は『四人目』の車で最近ローンを組んで買ったらしい。
 俺は先ほど部屋から持ち出した鍵でエンジンをかけ、手袋をして自宅に向かった。ここからは素早く行動しなければならない。俺は少しだけ緊張していた。

 俺は自宅に戻ると風呂場にいる『三人目』をかかえあげ、『四人目』の車にのせた。車を運転しながら俺はわざと電信柱に軽く車をぶつけ、動転してる風を装い、さらに車を走らせる。
すると、左側が崖になっており、その下が海と絶好のポイントが見つかった。
 俺は路肩に車を寄せ、割れた電球とオイル缶の蓋、ハンドルをハンカチで綺麗に拭いた。
 その後、『四人目』の手のひらを、死後硬直が始まる前に服を脱がせていた『三人目』の体に押し付けた。さらに『四人目』の唾液を『三人目』の口の中に入れた。
 次に俺は車を崖の方へ向けて停車させ前輪に輪止めをし、ギアをドライブに入れた。狙い通り車は動かない。そしてアクセルペダルのバネを外し動きやすくした後、水に溶ける糸をアクセルペダルに結び付け、ハンドルの動きを伝えるシャフトに沿わせるようにして車内から車外へ糸を出す。
 その後『四人目』をのせ運転席窓ガラスを半分以下まで下げ、ドアを閉める。
 車外に出した糸をピンと張ながら遊びのないように窓ガラスに瞬間接着剤で糸の端を張り付け窓ガラスの『auto』ボタンを引いた瞬間輪止めを蹴飛ばし外した。
 すると窓ガラスが上ってきたことでアクセルペダルが引っ張られた車はみるみるスピードをあげ、ガードレールを突き破り、海に落ちていった。そして念のため、十分間待ち確実に死んだことを確認し帰路についた。

 俺の考えたシナリオはこうだ。透は小学生を誘拐し電球などを使い性的暴行をした。しかし勢い余って殺してしまい、動揺し親友の俺に相談した。そして自首を進められたが気が動転して逃げ出してしまい、車で海に飛び込んで自殺した。
 そして車内にあるオイル缶の蓋から『二人目』殺害も疑われ、その後家から蓋のないオイル缶と『DS』の充電器のみが見つかり、『二人目』『三人目』殺害の犯人になる。
 本当は『一人目』の犯人にも仕立てあげたかったが俺の指紋のついた包丁を置いてきてしまったお陰で断念せざるを得なかった。
 それより俺の親友が殺したことになれば警察も家に来る可能性もある。しばらくは『殺人』はこなさず家にある証拠を片付けるとしよう。
 そう考えながら俺は『四人目』を殴った武器をだだのタオルと5円玉と紐に分解した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...