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1.異世界の記憶
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私、高海 凪沙 24歳。
某商事会社に勤めるいわゆるOL。
通勤ラッシュに耐え、残業に耐え、独り身の寂しさに耐え…。
頑張って日々 世の中を渡っている。
そんな私の楽しみはネット小説だ。
お気に入りを幾つもつけて、更新を心待ちにする一読者だ。通勤ラッシュも、早食いのランチタイムも、恋人のいない夜も耐えられるのは、この楽しみのおかげだ。
特に転生ものが好き。
自分の記憶にある世界との繋がりを求めて、今日もせっせと異世界の恋愛に心をときめかせている。
そう、私には異世界の記憶がある。
剣と魔法のファンタジーな世界。
ある令嬢の侍女としての記憶。
ヒロインポジの令嬢でないところが、なんとも私らしい。恋心を抱いていた相手と結ばれることなく、若くして死んでしまったのだ。
小学生の頃は、なんて想像力に溢れているのだろうと思っていたが、大人になるにつれて 想像力の賜物にしてはあまりに詳細に知っていることが自分でも怖くなって、自分の中に封じ込めた。
ネット小説に出会い、転生もの 小説の多さに驚いた。
もしかしたら、私と同じ記憶持ちがいるかもしれない。
それから、記憶の欠片をネット小説の中に探すようになったのだ。
未だに欠片は見つからないが、既視感を覚える世界観の小説は、懐かしい気持ちにさせる。
気が付けば、私はどっぷりとハマっていたという訳だ。もう、ネット小説のない生活は考えられない。
異世界での私はフィーナと呼ばれ、公爵家のご令嬢ステファニアさま付きの侍女だった。
公爵家に侍女としてお勤めするくらいだから、末端ながら一応貴族の娘だ。
行儀見習いという建前のもと、口減らしに出されたのが真実だと思っている。その事には不満はない。
美しいステファニアさまは王太子の婚約者であった。
悪役令嬢では決してない。
我儘で気分屋だったが、恋に一途な一人の少女だった。
ただ、恋する相手が王太子じゃなかった。
公爵家の専従騎士と恋仲になり、なんと駆け落ちしたのだ。
恋に恋するお年頃、それでも自分の立場をわきまえて欲しかったです!
ステファニアさま!
婚約者に駆け落ちされるというロイヤルスキャンダルの責任を負わされたのは なんと私だった。
逢い引き、駆け落ちの手引きをした罪を負わされ、若くして処刑されたのだ。
もちろん私はやってない。
気分屋のステファニアさまが勝手にやったことだ。
今更言っても仕方ないが、なんてことをしてくれたのだろう、あの世間知らずは。
死んでしまったので、後のことはわからないが、ステファニアさま、幸せに暮らしたのかしら。
ろくでもない記憶ばかりだが、甘い記憶もある。
私、フィーナには想い人がいた。
身分差もあり、叶わぬ恋。
そうだ、記憶を元に小説を書こう!
ネット小説を書いて、不幸な転機を辿ったフィーナの恋を成就させよう!
人物設定や世界観は記憶のままでOKでしょう。多少の誇大表現や妄想を織り交ぜて、幸せを掴もう。
あぁ、フィーナが幸せになったら、現実の私も幸せを掴めそうな気がする。
よし、書くぞ!
某商事会社に勤めるいわゆるOL。
通勤ラッシュに耐え、残業に耐え、独り身の寂しさに耐え…。
頑張って日々 世の中を渡っている。
そんな私の楽しみはネット小説だ。
お気に入りを幾つもつけて、更新を心待ちにする一読者だ。通勤ラッシュも、早食いのランチタイムも、恋人のいない夜も耐えられるのは、この楽しみのおかげだ。
特に転生ものが好き。
自分の記憶にある世界との繋がりを求めて、今日もせっせと異世界の恋愛に心をときめかせている。
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ネット小説に出会い、転生もの 小説の多さに驚いた。
もしかしたら、私と同じ記憶持ちがいるかもしれない。
それから、記憶の欠片をネット小説の中に探すようになったのだ。
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気が付けば、私はどっぷりとハマっていたという訳だ。もう、ネット小説のない生活は考えられない。
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公爵家に侍女としてお勤めするくらいだから、末端ながら一応貴族の娘だ。
行儀見習いという建前のもと、口減らしに出されたのが真実だと思っている。その事には不満はない。
美しいステファニアさまは王太子の婚約者であった。
悪役令嬢では決してない。
我儘で気分屋だったが、恋に一途な一人の少女だった。
ただ、恋する相手が王太子じゃなかった。
公爵家の専従騎士と恋仲になり、なんと駆け落ちしたのだ。
恋に恋するお年頃、それでも自分の立場をわきまえて欲しかったです!
ステファニアさま!
婚約者に駆け落ちされるというロイヤルスキャンダルの責任を負わされたのは なんと私だった。
逢い引き、駆け落ちの手引きをした罪を負わされ、若くして処刑されたのだ。
もちろん私はやってない。
気分屋のステファニアさまが勝手にやったことだ。
今更言っても仕方ないが、なんてことをしてくれたのだろう、あの世間知らずは。
死んでしまったので、後のことはわからないが、ステファニアさま、幸せに暮らしたのかしら。
ろくでもない記憶ばかりだが、甘い記憶もある。
私、フィーナには想い人がいた。
身分差もあり、叶わぬ恋。
そうだ、記憶を元に小説を書こう!
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