全てを失う悲劇の悪役による未来改変

近藤玲司

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「...ついにこのときが来たんだ」

ある屋敷で外を眺めながら男はこの時を待っていたかのように呟いた。

白とも黒とも言える混ざりあったアッシュグレイの髪をたなびかせ、その目は鋭く、そして冷たい光を宿しているかのように見えた。

口元には微かな皮肉な笑みが浮かび、まるで彼が周囲を冷静に分析し、状況を見定めているかのようだった。

その男は一体何を思ったのだろうか?

念願の悲願の達成か、それとも己の欲望を満たす為にただ単純にそう思っただけなのか。

だが、つい口に出して言ってしまったと思い、手で口で覆う。

やはりの癖は中々抜けないということを表していた。

それを自覚しているのだろう、さっきまでの冷静沈着と思われるその顔とは裏腹に苦笑気味になってしまう。

すると、ドアを軽く叩くようなノック音が後ろから聞こえてきた。男が気になって後ろを見てみると。

「アクセル様、旦那様方が外でお待ちしております。そろそろ準備をしなくては...」

そこにいたのは緑青色の髪をしたメイド。
扉の前に立ち、その男に何かを伝えてる。
どうやら外に出るように促しているようだ。

「あぁ、今行くよ」

アクセルと呼ばれた男は外に行く準備をするように、ハンガーにかかっている重苦しいコートを着ながら、自分の部屋を出て、メイドと共に静かな廊下を歩く。

——このときのために準備した、 考えた、そして強くなったんだ。







全てはたちを守るために...!


男は…アクセルは己の道を進む。
そこにあるのは、ただ「大切な人を守りたい」という一心だけ。

未来を変える一歩が今、踏み落とされた時だった。





前世の俺は、すべてを失った。

確かに親はいたし、友達も、恋人だっていた。

普通の、ただ少しだけお金を持っているただの人間……それが前の俺だった。

今思えば、関わってきた人たちは全員、のことを見てくれなかったのだろう。

きっと家が有名な会社だからだと今は思う。そのおかげで人が集まっていたなんてその時は全く知らなかった。

でもこの時の俺はとても幸せだった。
それだけは断言できるだろう。


そんな幸せな絶頂の中、悲劇は起こってしまった。

ある事業で大きな失敗をした俺の親がその責任として、莫大な借金を抱えてしまったのだ。


そして俺は思い知らされることになる。

事業が失敗して、借金を抱えた瞬間、友だちだった奴らは離れていき、恋人もあっさりと別れていった。

親も俺をおいて何処かへ行ってしまった。
夜逃げというものだろう。

あれだけ一緒にいたのに、あれだけ笑いあったのにあっさりと捨てられたのだ。
まるで俺が道具だったかのように。


そのとき分かったのだ。あいつらにとって俺はもうになったのだと。

そして俺はのだと。

………いや、少しだけ残ってる。
だが、それは「絶望」と「失望」という虚しくも、それが現実だと突きつけられるようなものばかり。

苦しい、辛いと……そう思いながらも今日も今日とて生き残るために歩いて行くしかないのだ。












「……んん?」

体力の限界で眠ってしまったのだが……目を覚ますとそこに見知らぬ天井が俺の目に入った

そもそも最後に寝たのは外だったので目覚めたら家にいたことになるのはおかしい。

連れ去られたのか?いや、俺なんかを連れ去ってもなんの意味もない……。

全く記憶にない場所で俺は困惑してしまう。

「.....ここは、どこだ?」

……普通の反応ですまない、だが経験すれば分かると思う。

絶対こんな反応するだろ!...と誰もいない空間でそんな言葉を吐いてしまう。

「...アクセル様?」

おっと?
そんな声に反応するかのようにどこからか見知らぬ声が聞こえた。

誰だ?
自分の名前が呼ばれたわけでもないのに声が聞こえた方を無意識に向いてしまう。

「アクセル様!目を醒まされたのですね!!...良かった」

そこにいたのはエメラルドのような瑠璃色の髪を持ち、そしてメイド服を着た女性が目を潤ませながら声を出していた。 

あれって……メイド?一体どういうことだ?それにアクセルって……。

「...あのすみません、ここはどこなんでしょうか?それにアクセルって一体だれなんですか?」

「え?」

普通ならここでお礼とか言うべきなのだろうが、俺はどうしても気になったのでその女性についそんなことを聞いてしまった。

少し戸惑っちゃうかな?と思ったのだが、きっと優秀なのだろう。

メイド服を着た女性は困惑しながらも俺の問いに答えてくれた


「...ここはイメドリア王国の中でも辺境の地、レステンクール領」



「……そしてあなた様はここを治める誇り高きレステンクール男爵家の次男様でございますが……アクセル様?」

メイドは不安に思いながらもそんなことを聞くが…俺はそんな情報を耳に入れれる余裕がなかった。

「う、嘘だろ...」
それもそうだろう…俺は……










とある小説のに転生してしまったのだから……!





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