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ジークリンデと模擬戦と再び……
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前回、俺は自主練を終えて騎士団の皆と訓練するために、街にある駐屯地を目指していた。そこで門番の騎士と話をしつつ、ジークというレステンクール領領主の直属の騎士の団長を勤めている人のところに行ったのだった。
◇
目的地に着くと既に訓練は始まっているようで………
今は、2人1組でそれぞれで模擬戦を行っているらしい。それぞれ見てみても分かるのだが、素人でも分かるかのように1人1人が緻密な動きを見せている。まるで一人一人が風の舞をしているかのように美しく、冒険者とは違う荒々しさはなくそこにあるのは主人を守るために集まった騎士たる誇りをもつ者だ。
多分だけどそこらの騎士団には負けないであろう強さを持っている。そんな中一人の女性がただなにもせず、それを見守っている。
ジークリンデ・オルバドス
通称ジークと呼ばれているこの女性。
元は少しお偉い貴族様だったが、父の勇姿に惚れ込んで貴族の元を出ていって忠誠を誓った人だ。
その黄金たる輝きを持つ金色の髪はまるで人を引きつけない孤高の表れであり、それは生まれついた鋭い目つきと相まって、一筋の美しさを持っていた。
その容姿とスタイルの一つ一つが彼女の武器でもあるかのように、独特の雰囲気を保っている。
そんなジークに俺は声をかける
「ジーク、相変わらず凄いな君の騎士は」
「ッ!アクセル様…!マエル様から聞いた通り、もう動けているのですね。ご回復したこと心からお祝い申し上げます」
「いいよ、そんな畏まらなくて。でもありがとう……父から聞いたってことは僕がなぜここに来たか理解しているってことで良いかな?」
「はい、全部お聞きしました。ですが、よろしいのですか?アクセル様のやる気は父君から聞いた通り、よくわかったのですが……うちは少し厳しいですよ?」
「モルクと同じことを言ってるね……それも覚悟の上ってことだよ。な~に普通の人よりかは我慢強いから少しきつめでも大丈夫だよ。」
「あのバカと同じなのは少し心外ですが…
わかりました。では今日からアクセル様も我が騎士団「ウィンドブルム」の1人として歓迎します」
「うん、ありがとうジーク…この場合は団長って呼んだ方が良いのかな?」
「ふふっそうですね、ウィンドブルムに入るということは、そういうことになります」
「なら僕のこともこれからは呼び捨てにしなきゃダメということだよね?」
「えっ?いや、それとこれとは別では……?」
「ジーク団長はまさか1人の騎士をエコ贔屓するってことなのかな?それはどうなのかな?」
「うっそれは確かに……いやでもそんなことしたら恐れ多い…でもだからってエコ贔屓をするのは…‥うぅぅ」
生真面目な彼女が珍しく悶え始めている。
当たり前だ。忠誠を誓った主人の息子に無礼を働いてはいけないし、だからと言ってエコ贔屓するのもいけない。生真面目な彼女らしい葛藤である。
………このジークリンデもまた、悲惨な運命を辿ることになる。姉の死後、盗賊団に襲われることになるのだが、そこで戦うのがこのウィンドブルムだ。ウィンドブルムはそこらの騎士団に比べて、はるかに強い。だが、この時騎士全員に弱体化の魔法薬が発動しかつ全体の士気が下がりきっていたため、普通なら負けない相手に全滅してしまったのだ。
それでも諦めなかったジークリンデは戦った。戦って戦って戦った。
だが守りきれなかった。
そんな彼女もまた精神的なダメージを負っていたため、全力で戦え切れずにいた。
そしてまた守れなかったのだ。大切な主人達を。
ジークはなんとか生き残ることに成功したが、その時何を思ったのだろうか?何を考えたのだろうか?
自分の不甲斐なさのせいで、守り切れなかった。忠誠を誓ったのに、死んでも守りたい人達だったのに……生き残って、主人たちは死んでしまった。
そんな風に考えたのか、ジークは生き残ったのにも関わらずそのまま森の中に入り、そこに運悪く繁殖期の魔物に遭遇したため、連れ去られ、魔物達に何度も何度も慰みものにされる。その後、助けられるも、なんの気力のない彼女はそのまま自害をする。
これがジークリンデ・オルバドスの悲惨な運命の末路だ。
………そんなの絶対にさせない。
彼女もまた、この世界の被害者だ。ただ、守りたいだけなのに奪われ、守り切れず、自分の罪だと背負わせてしまった彼女を俺は救いたい。
そのために俺はここに入って強くなる。そしてジークリンデが心から笑える未来を俺は導くだけだ。
「冗談ですよジーク団長?呼び方はお任せしますね」
「……貴方も人が悪いですね。アクセル様?ですが、いいでしょう。そんなに強くなられたいのなら、強くさせてみせますよ!」
「お、お手柔らかに頼むよジーク団長……」
「……ふふっ」
この生真面目で優しいジーク団長を
◇
「とはいっても実力が分からないと、どの程度のレベルで訓練すればいいか分かりませんので、一度模擬戦をいたしますね。」
「も、模擬戦?それはちょっとはやいんじゃないんですか団長?」
「団長特権ですよ?アクセル様?」
な、なんかジークさんが楽しそうに笑っている…これはまさか仕返しか?あの生真面目なジークがか?……不思議なこともあるもんだな。
そんなことを考えてると、ジーク団長が模擬戦をしている騎士達に呼びかける。
「全員、模擬戦をやめ!!」
そう言い終わる頃には言葉通り全員が止まっていた。
「集合!!」
そういうと、騎士達はスッと素早く移動して
列を乱さずに、ジーク団長の所に集合していた。……流石ウィンドブルムってところか。
「今日から新しく我が誇りあるウィンドブルムに急遽入団することになったアクセル・アンドレ・レステンクール様だ!!だが、まだアクセル様の力量が分かりきっていない!
そこでだ!!今からアクセル様には模擬戦を行ってもらうことにした!!誰か希望するものはいるか?」
そう言い終わる頃には、騎士団のみんなは混乱していた。なにせ貴族様が騎士と一緒に特訓をするなど異例中の異例だ。そこにまさかの模擬戦の相手、そんなことに頭が追いつかずみんな呆然として俺の方を見ていた。
「……はぁ、誰も挙げないのか?仕方ない
レイス、お前が相手してやれ」
「な!俺ですか!!団長!?」
「最近、動きが鈍っているだろう?
これを機にぶちのめされるのもちょうど良い」
…なんか、団長言葉遣い荒くない?ていうか俺が勝つと予想しているのか?
そう気づいた騎士はほんのわずかだ。
その1人にさっき呼ばれたレイスも含まれていた。
「…俺が負けると言いたいんですか?」
「そこは戦ってみないと分からないだろう?」
「…わかりました、その模擬戦の相手受けさせていただきます。」
そういうと、レイスは俺の前に出て、模擬戦の前の準備運動をする。
「そういえば団長、僕剣を持ってないんですが…」
「あぁ、それもそうでしたね。では、私が持ってる剣をお使いください。なにただのガラクタなので大丈夫ですよ?」
そう言われてジークから剣を受け取る。
「ありがとうございます団長」
「いえ…期待してますよ?」
そんな言葉を聞いて、俺は少し驚く
そこまで期待してるのか?
「それでは両者、武器を構え!!」
俺はそんな声を聞くと、切り替えるように剣を構える
………なるほど
改めてアクセルのスペックを実感する。
分かるのだ。剣の使い方が、どうすれば最小限にかつ素早く相手を攻撃できるのか、どうすればこの体格にあった動きで相手を翻弄できるのか…たくさんの情報の中俺はそれらを身体で理解する。
「お、おい大丈夫なのか?あれ?」
「いや、俺に聞かれてもな……アクセル様が訓練するって言ったんだから大丈夫じゃないか?」
「いやでももし怪我でもしてみろ?俺たちの責任になるかもだぜ?」
「やめろよ…だけど、相手がレイスだもんな…あいつ団長にはあぁ言われてるけどすげぇ強いしな」
「というかアクセル様改めてみてもかっこよくない?なんか羨ましいなぁ」
そんな声が俺の耳に入ってくる中、相手のレイスって人が俺に声をかけてくる。
「…相手が貴族様であろうと容赦する気はないので、怪我はなるべくしないでくださいね」
「いえ、お気遣いありがとうございまず。まだ不束者ですがお相手できること心から感謝します。」
そんなことを話してると合図が出るかのようにジーク団長が声を上げた。
「始め!!!!」
瞬間レイスが動き出した。
その素早い動きは素人なら反応できずに、そのまま終わるだろう。
だが、アクセルには見えていた。レイスが振りかぶった剣をアクセルは受け止めた。
グンっと重みのある攻撃に顔を顰めてしまう。
流石に今まで訓練した騎士と何もしてきてない貴族じゃあ筋力に関しては荷が重いとアクセルは感じてしまう。
「な!」
だが、受け止めた事が予想外だったのか
驚いている。そこの隙をつく。
アクセルは少し力を抜いて剣を斜めにして相手を受け流し、体勢を崩した所で剣を振るうが、流石に受け止められる。
だが、ここで止まればレイスの猛攻でアクセルの負けの確率は高い。だからアクセルは相手に剣を振り続ける。上段、下段、横払い…様々な所から振っているのに相手は受け止め続ける。だが、さっきの驚きがまだあるのか、少しずつだがアクセルが押している。
「くっ…こいつ、予想以上に強い!」
レイスはそんなことを言い、認識を変える。
戦っているのは子供ではない。1人の「騎士」なのだと……!
次の瞬間レイスの雰囲気が変わる。
アクセルの剣を受け止めた瞬間、今度はレイスが反撃に出た。そのオーラに少し驚きながらも彼は動揺はしない。鋭く、力強い意思を待った剣に対してアクセルは…真っ向から立ち向かう。
剣と剣がぶつかり合う。その衝撃波は周りにいた騎士が呆気に取られるほど。
レイスはその慣れた動きで剣を振るい、今まで蓄積してきた技術と経験を彼にぶつけた。
しかし、アクセルもその並外れたスペックと
前世を含む今までの知識と経験を持ってレイスと対峙する…!
ぶつかって、ぶつかって、ぶつかり続ける!
剣が両者に混ざり合う中、ついに動いたのはアクセルの方だった。
次の攻撃を受け止めた瞬間、アクセルはレイスの体に潜り込む
「そんな体勢じゃあ剣は振れないぜ!!」
と、ヒートアップしたレイスはアクセルにトドメの一撃とばかりに剣を振るう……が
アクセルの目的は相手を攻撃することじゃない。
彼はレイスの体に潜り込んだ勢いでそのまま股の下をスライディングで駆け抜ける。
「な!?」
さっき以上に驚いてた。子供による体格の小柄さの賜物だ。そしてそのままガラ空きになったレイスの体に剣を振るう。
レイスが振り返っていたが、時すでに遅し、
彼はアクセルの剣を直撃してしまった。
「ぐあっ…」
そして倒れ込んだレイスの首に剣を当たる。
「…この勝負、僕の勝ちでいいですか?」
「…参った、降参だよ」
そして次の瞬間ジークが勝者の名前を呼ぶ。
「そこまで!勝者、アクセル!!」
そう言い終えた瞬間、轟音とばかりに騎士達の声が一斉に響き渡った。
「すげぇ!!アクセル様勝っちまったぞ!!」
「あぁ!まだ10歳って言うのにあそこまで動けるんだな!興奮したぜ!!」
「どっちも凄いぜ!あんなの見せられて興奮しねぇ奴なんていないだろ!?」
「レイスもよくあんな猛攻防いだよな!!
俺だったらすぐに切りつけられるぜ!」
「あんたはもう少しがんばりなさいよ…
でもアクセル様凄く凛々しかったわぁ~
ほんとに惚れそうよ」
そんな声をあげる中、立ち上がってきたレイスが声をかけてくる
「参りました、アクセル様。まさかあそこまで強いとは…正直悔しさでいっぱいです」
「いえ、レイスさんもとても強かったです。小柄じゃなかったら多分押し負けていました」
「…また戦いましょう、今度は負けませんよ?」
「えぇ、望むところです」
俺たちは固い握手を交わして模擬戦を終了してた。
「アクセル様、初勝利おめでとうございます」
「ありがとうございます団長。この調子で引き続き頑張っていきますね」
「ふふっその調子で頑張ってくださいね?
……さてレイスこれでわかったかしら?」
「はい…少しばかり、調子に乗っていたかもしれません。またゼロから修行していきます」
「えぇ、その心意気を忘れずにこれから精進しなさい?」
「はっ!」
そんな会話をして周りを落ち着かせながら
訓練の再開をするはずだったのだが…
そこに予想外の人物が現れる
「お兄様!!!」
え?心の中でそう呟いて、声が聞こえた方に振り向くとそこには、我が妹ソフィアが見えた。
そしてソフィアは俺を見つけたとばかりに俺を抱きしめていた。
……何故だろう?凄くデジャブを感じるのは?
◇
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今は、2人1組でそれぞれで模擬戦を行っているらしい。それぞれ見てみても分かるのだが、素人でも分かるかのように1人1人が緻密な動きを見せている。まるで一人一人が風の舞をしているかのように美しく、冒険者とは違う荒々しさはなくそこにあるのは主人を守るために集まった騎士たる誇りをもつ者だ。
多分だけどそこらの騎士団には負けないであろう強さを持っている。そんな中一人の女性がただなにもせず、それを見守っている。
ジークリンデ・オルバドス
通称ジークと呼ばれているこの女性。
元は少しお偉い貴族様だったが、父の勇姿に惚れ込んで貴族の元を出ていって忠誠を誓った人だ。
その黄金たる輝きを持つ金色の髪はまるで人を引きつけない孤高の表れであり、それは生まれついた鋭い目つきと相まって、一筋の美しさを持っていた。
その容姿とスタイルの一つ一つが彼女の武器でもあるかのように、独特の雰囲気を保っている。
そんなジークに俺は声をかける
「ジーク、相変わらず凄いな君の騎士は」
「ッ!アクセル様…!マエル様から聞いた通り、もう動けているのですね。ご回復したこと心からお祝い申し上げます」
「いいよ、そんな畏まらなくて。でもありがとう……父から聞いたってことは僕がなぜここに来たか理解しているってことで良いかな?」
「はい、全部お聞きしました。ですが、よろしいのですか?アクセル様のやる気は父君から聞いた通り、よくわかったのですが……うちは少し厳しいですよ?」
「モルクと同じことを言ってるね……それも覚悟の上ってことだよ。な~に普通の人よりかは我慢強いから少しきつめでも大丈夫だよ。」
「あのバカと同じなのは少し心外ですが…
わかりました。では今日からアクセル様も我が騎士団「ウィンドブルム」の1人として歓迎します」
「うん、ありがとうジーク…この場合は団長って呼んだ方が良いのかな?」
「ふふっそうですね、ウィンドブルムに入るということは、そういうことになります」
「なら僕のこともこれからは呼び捨てにしなきゃダメということだよね?」
「えっ?いや、それとこれとは別では……?」
「ジーク団長はまさか1人の騎士をエコ贔屓するってことなのかな?それはどうなのかな?」
「うっそれは確かに……いやでもそんなことしたら恐れ多い…でもだからってエコ贔屓をするのは…‥うぅぅ」
生真面目な彼女が珍しく悶え始めている。
当たり前だ。忠誠を誓った主人の息子に無礼を働いてはいけないし、だからと言ってエコ贔屓するのもいけない。生真面目な彼女らしい葛藤である。
………このジークリンデもまた、悲惨な運命を辿ることになる。姉の死後、盗賊団に襲われることになるのだが、そこで戦うのがこのウィンドブルムだ。ウィンドブルムはそこらの騎士団に比べて、はるかに強い。だが、この時騎士全員に弱体化の魔法薬が発動しかつ全体の士気が下がりきっていたため、普通なら負けない相手に全滅してしまったのだ。
それでも諦めなかったジークリンデは戦った。戦って戦って戦った。
だが守りきれなかった。
そんな彼女もまた精神的なダメージを負っていたため、全力で戦え切れずにいた。
そしてまた守れなかったのだ。大切な主人達を。
ジークはなんとか生き残ることに成功したが、その時何を思ったのだろうか?何を考えたのだろうか?
自分の不甲斐なさのせいで、守り切れなかった。忠誠を誓ったのに、死んでも守りたい人達だったのに……生き残って、主人たちは死んでしまった。
そんな風に考えたのか、ジークは生き残ったのにも関わらずそのまま森の中に入り、そこに運悪く繁殖期の魔物に遭遇したため、連れ去られ、魔物達に何度も何度も慰みものにされる。その後、助けられるも、なんの気力のない彼女はそのまま自害をする。
これがジークリンデ・オルバドスの悲惨な運命の末路だ。
………そんなの絶対にさせない。
彼女もまた、この世界の被害者だ。ただ、守りたいだけなのに奪われ、守り切れず、自分の罪だと背負わせてしまった彼女を俺は救いたい。
そのために俺はここに入って強くなる。そしてジークリンデが心から笑える未来を俺は導くだけだ。
「冗談ですよジーク団長?呼び方はお任せしますね」
「……貴方も人が悪いですね。アクセル様?ですが、いいでしょう。そんなに強くなられたいのなら、強くさせてみせますよ!」
「お、お手柔らかに頼むよジーク団長……」
「……ふふっ」
この生真面目で優しいジーク団長を
◇
「とはいっても実力が分からないと、どの程度のレベルで訓練すればいいか分かりませんので、一度模擬戦をいたしますね。」
「も、模擬戦?それはちょっとはやいんじゃないんですか団長?」
「団長特権ですよ?アクセル様?」
な、なんかジークさんが楽しそうに笑っている…これはまさか仕返しか?あの生真面目なジークがか?……不思議なこともあるもんだな。
そんなことを考えてると、ジーク団長が模擬戦をしている騎士達に呼びかける。
「全員、模擬戦をやめ!!」
そう言い終わる頃には言葉通り全員が止まっていた。
「集合!!」
そういうと、騎士達はスッと素早く移動して
列を乱さずに、ジーク団長の所に集合していた。……流石ウィンドブルムってところか。
「今日から新しく我が誇りあるウィンドブルムに急遽入団することになったアクセル・アンドレ・レステンクール様だ!!だが、まだアクセル様の力量が分かりきっていない!
そこでだ!!今からアクセル様には模擬戦を行ってもらうことにした!!誰か希望するものはいるか?」
そう言い終わる頃には、騎士団のみんなは混乱していた。なにせ貴族様が騎士と一緒に特訓をするなど異例中の異例だ。そこにまさかの模擬戦の相手、そんなことに頭が追いつかずみんな呆然として俺の方を見ていた。
「……はぁ、誰も挙げないのか?仕方ない
レイス、お前が相手してやれ」
「な!俺ですか!!団長!?」
「最近、動きが鈍っているだろう?
これを機にぶちのめされるのもちょうど良い」
…なんか、団長言葉遣い荒くない?ていうか俺が勝つと予想しているのか?
そう気づいた騎士はほんのわずかだ。
その1人にさっき呼ばれたレイスも含まれていた。
「…俺が負けると言いたいんですか?」
「そこは戦ってみないと分からないだろう?」
「…わかりました、その模擬戦の相手受けさせていただきます。」
そういうと、レイスは俺の前に出て、模擬戦の前の準備運動をする。
「そういえば団長、僕剣を持ってないんですが…」
「あぁ、それもそうでしたね。では、私が持ってる剣をお使いください。なにただのガラクタなので大丈夫ですよ?」
そう言われてジークから剣を受け取る。
「ありがとうございます団長」
「いえ…期待してますよ?」
そんな言葉を聞いて、俺は少し驚く
そこまで期待してるのか?
「それでは両者、武器を構え!!」
俺はそんな声を聞くと、切り替えるように剣を構える
………なるほど
改めてアクセルのスペックを実感する。
分かるのだ。剣の使い方が、どうすれば最小限にかつ素早く相手を攻撃できるのか、どうすればこの体格にあった動きで相手を翻弄できるのか…たくさんの情報の中俺はそれらを身体で理解する。
「お、おい大丈夫なのか?あれ?」
「いや、俺に聞かれてもな……アクセル様が訓練するって言ったんだから大丈夫じゃないか?」
「いやでももし怪我でもしてみろ?俺たちの責任になるかもだぜ?」
「やめろよ…だけど、相手がレイスだもんな…あいつ団長にはあぁ言われてるけどすげぇ強いしな」
「というかアクセル様改めてみてもかっこよくない?なんか羨ましいなぁ」
そんな声が俺の耳に入ってくる中、相手のレイスって人が俺に声をかけてくる。
「…相手が貴族様であろうと容赦する気はないので、怪我はなるべくしないでくださいね」
「いえ、お気遣いありがとうございまず。まだ不束者ですがお相手できること心から感謝します。」
そんなことを話してると合図が出るかのようにジーク団長が声を上げた。
「始め!!!!」
瞬間レイスが動き出した。
その素早い動きは素人なら反応できずに、そのまま終わるだろう。
だが、アクセルには見えていた。レイスが振りかぶった剣をアクセルは受け止めた。
グンっと重みのある攻撃に顔を顰めてしまう。
流石に今まで訓練した騎士と何もしてきてない貴族じゃあ筋力に関しては荷が重いとアクセルは感じてしまう。
「な!」
だが、受け止めた事が予想外だったのか
驚いている。そこの隙をつく。
アクセルは少し力を抜いて剣を斜めにして相手を受け流し、体勢を崩した所で剣を振るうが、流石に受け止められる。
だが、ここで止まればレイスの猛攻でアクセルの負けの確率は高い。だからアクセルは相手に剣を振り続ける。上段、下段、横払い…様々な所から振っているのに相手は受け止め続ける。だが、さっきの驚きがまだあるのか、少しずつだがアクセルが押している。
「くっ…こいつ、予想以上に強い!」
レイスはそんなことを言い、認識を変える。
戦っているのは子供ではない。1人の「騎士」なのだと……!
次の瞬間レイスの雰囲気が変わる。
アクセルの剣を受け止めた瞬間、今度はレイスが反撃に出た。そのオーラに少し驚きながらも彼は動揺はしない。鋭く、力強い意思を待った剣に対してアクセルは…真っ向から立ち向かう。
剣と剣がぶつかり合う。その衝撃波は周りにいた騎士が呆気に取られるほど。
レイスはその慣れた動きで剣を振るい、今まで蓄積してきた技術と経験を彼にぶつけた。
しかし、アクセルもその並外れたスペックと
前世を含む今までの知識と経験を持ってレイスと対峙する…!
ぶつかって、ぶつかって、ぶつかり続ける!
剣が両者に混ざり合う中、ついに動いたのはアクセルの方だった。
次の攻撃を受け止めた瞬間、アクセルはレイスの体に潜り込む
「そんな体勢じゃあ剣は振れないぜ!!」
と、ヒートアップしたレイスはアクセルにトドメの一撃とばかりに剣を振るう……が
アクセルの目的は相手を攻撃することじゃない。
彼はレイスの体に潜り込んだ勢いでそのまま股の下をスライディングで駆け抜ける。
「な!?」
さっき以上に驚いてた。子供による体格の小柄さの賜物だ。そしてそのままガラ空きになったレイスの体に剣を振るう。
レイスが振り返っていたが、時すでに遅し、
彼はアクセルの剣を直撃してしまった。
「ぐあっ…」
そして倒れ込んだレイスの首に剣を当たる。
「…この勝負、僕の勝ちでいいですか?」
「…参った、降参だよ」
そして次の瞬間ジークが勝者の名前を呼ぶ。
「そこまで!勝者、アクセル!!」
そう言い終えた瞬間、轟音とばかりに騎士達の声が一斉に響き渡った。
「すげぇ!!アクセル様勝っちまったぞ!!」
「あぁ!まだ10歳って言うのにあそこまで動けるんだな!興奮したぜ!!」
「どっちも凄いぜ!あんなの見せられて興奮しねぇ奴なんていないだろ!?」
「レイスもよくあんな猛攻防いだよな!!
俺だったらすぐに切りつけられるぜ!」
「あんたはもう少しがんばりなさいよ…
でもアクセル様凄く凛々しかったわぁ~
ほんとに惚れそうよ」
そんな声をあげる中、立ち上がってきたレイスが声をかけてくる
「参りました、アクセル様。まさかあそこまで強いとは…正直悔しさでいっぱいです」
「いえ、レイスさんもとても強かったです。小柄じゃなかったら多分押し負けていました」
「…また戦いましょう、今度は負けませんよ?」
「えぇ、望むところです」
俺たちは固い握手を交わして模擬戦を終了してた。
「アクセル様、初勝利おめでとうございます」
「ありがとうございます団長。この調子で引き続き頑張っていきますね」
「ふふっその調子で頑張ってくださいね?
……さてレイスこれでわかったかしら?」
「はい…少しばかり、調子に乗っていたかもしれません。またゼロから修行していきます」
「えぇ、その心意気を忘れずにこれから精進しなさい?」
「はっ!」
そんな会話をして周りを落ち着かせながら
訓練の再開をするはずだったのだが…
そこに予想外の人物が現れる
「お兄様!!!」
え?心の中でそう呟いて、声が聞こえた方に振り向くとそこには、我が妹ソフィアが見えた。
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「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
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元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
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ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
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