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和解?魔女の名前
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「…どういう風の吹き回しだ?」
魔女のとんでもない発言に呆気を取られたが、再度刀を構える。
正直なところこれ以上動きたくないし、戦いたくはないんだが、また油断してそれが致命傷の傷を負うかもしれないと考えたら警戒するしかなかった。
『あら、警戒しているのかしら?うふふ、そんなに身構えなくてもなにもしないわ♪
本当よ?』
「そんなの誰が信じるか、そもそも俺の目的はローレンスをここから連れ出すことだ
お前に懐かれることじゃないんだよ」
家族と接する時とは違う、だからってローレンスと関わってきてる時の優しさも持たない。常に冷たく、冷徹にいかにどう殺すか、彼女の目的はなんなのか
敵と相してる時の思考しか今のアクセルには持っていなかった
『私にはこの子の時みたいに優しくしてくれないのね。でも不思議、有象無象に嫌われてもなんとも思わないのに、あなたに嫌われると胸が凄く痛いわ。それに、この子....ローレンスのことがもの凄く妬ましい。これが「嫉妬」かしら?
.....うっふふふ、また私に新しいことを教えてくれたわね!この感覚、たまらないわ~.....』
.......
どういうことだ?俺の頭の中は?でいっぱいだった。
急にローレンスから出てきて、襲われそうになっていたのに、今ではソフィアとは少しベクトルが違うヤバさを醸し出しており、俺しか見えてないように見えた。
俺、こいつになにしたんだっけ?状況を整理しよう。
まず俺は魔女と戦っていたんだよな?最初は普通に戦ってた。
こいつはまるで自分の意思がないように見えたからここは何も異常なしだ
少し様子が変と感じたのは、俺にトドメをさそうとした時だ。
その時の魔女からは殺意が明確に宿していた、そんで少し動揺してるように見えた....このときか?俺に話しかけていたし。でもその後普通に殺そうとしてたからな。違うか....
一番おかしくなったのは毒を喰らった時だ。ここだ、明らかにおかしくなったのは。
俺も毒のことについてはあまり知らないが、なんか変な効果でもあるのか?
持久戦には持ち込もうとはしたぞ。というかそれしか勝つ可能性なかったから。
あそこからの大逆転なんて相手の弱体化しかないだろ。
でもここまで様子がおかしくなるのは本当に予想外だ
一体何が彼女を変えてしまったんだろうか?
俺が思考を巡りに巡ってると、急に魔女から声を掛けてきた。
『そんなに信用できないかしら?』
「当たり前だ、もし信じてほしかったらその身体を返して二度と俺の前に現れないようにするんだな」
『前者ならともかく、後者は承諾しきれないわね。返してほしかったら、一生あなたのそばにいさせて?』
「それこそ承諾できるか!リスクがありすぎる....ただ....そうだな、じゃあ聞くが、お前は俺に何を差し出せる?そこまで言うんだったらそれ相応の対価があるんだろうな?」
俺は本当に様子のおかしい魔女《バカ》に聞いてみることにした。
こいつのことだ。いつか俺を殺そうとするに決まっt......
『全てよ』
「そうか、全てか....ん?全て??」
即答したので俺は聞き流そうとしたんだが....なにやら物凄く危ない発言が聞こえたような気がする。気のせいだよな?そこまでおかしくなってないよなこいつ??
『えぇ全てよ。あなたと一緒にいれるんだったら何でも差し出すわ。
心も、身体も、知恵も、力も、世界も、あなたが欲しいと思うものはなんだってあげる。もしこの世界を混沌に埋め尽くしたいのなら、ここから出て全部埋め尽くしてあげる。いまなら誰にも負ける気がしないからね。あなたが消したい、殺したい、目障りな存在がいたら私の全てを持ってそいつを消してあげる
あぁ、それとあなたの周りにいる有象無象がもしあなたに危害を加えそうになったら
勝手に消しても許してね?少し我慢できないかもしれないから。あと.....』
「待て待て待て待て.....」
俺は頭を抱えた。なんだ、この歩く時限爆弾は?
確かに俺だって相手に容赦しない所がある。だが、こいつ今私の全てを持ってって言ったか?こいつが全力で力を出したらもしかしたらこの世界終わるぞ?
いやもしかしなくてもか……じゃなくて!
「そんなこと言われても困る。そもそも言葉だけだろ?信用できるわけない」
『なら契約魔法を掛けましょう、私自身に』
「....は??」
どうやら俺はこいつと関わると少し頭が痛くなるらしい
契約魔法?それも自分に?もう狂気の沙汰でしかない。
契約魔法というのは、7つの属性魔法とは全く違い、魔力を媒体にして
自分と相手がが了承したときに初めて成り立つ少し特殊な魔法だ
だが、この世界に契約魔法を知っている存在はほとんどいない。
なぜならこの魔法は人間が改良して本来とは全く違う凶悪なものになったからだ。
その魔法の名は「奴隷契約」
相手が、親がいない子供、孤児、身寄りのないもの、生活が困難なもの、戦争や紛争で負けてしまった捕虜、連れ去られた者など....そういう者が強制的に契約をされ奴隷にされてしまうという、もはや良い所がない魔法と言っても過言ではないだろう。
この契約を破ったら、破った代償としてなにかしらの罰が執行される
それが、いつ執行されるかはわからないし、どんな罰なのかもわからない
ただ、破った者の末路は少なくとも明るくはないと言われている。
一応2つの契約魔法には違いがある
奴隷契約は対象者を広げることに特化した魔法であり
最初に話した契約魔法は効果をあげることに特化している魔法である
魔女が言っているのは、後者の方だ。
『私の中ではこれを「契り」とも言うわね。
それで、これで承諾してくれるかしら?』
「……お前、自分の言ってる事が分かってるのか?」
魔女はその契りを俺と結ぼうとしている。普通はどちらにもかけるものなんだが、なんと魔女は俺にはかけず自分自身だけにかけるのだ。
だから魔女だけが契りに違反した場合、その罰が執行され、俺は魔女や自分自身に契りをかけられていないからそもそも契りを違反することはない
簡単にいうと、この契りに俺はなんのデメリットもなく、逆に魔女に関してはデメリットが大きい、ある意味馬鹿がやることだ。
『こうでもしないと貴方は私のこと信じないんでしょう?』
「だからってここまでするのか……」
『そうさせたのは貴方よ?アクセル』
「…ちなみにこれで断るって言ったら?」
『あら?大体想像はつくんじゃなくて?』
「………」
…どうやら俺は相当やばい奴に懐かれてしまったらしい。もしここで断るって答えたら最悪な未来しか見えない。ここで戦っても正直なんの得はない。しかもそれで、魔女が自害を選んだらそれこそ最悪だ。どんな考えをしてもここで拒否をしてもメリットがない。
……しばらく考えて俺はため息を吐きながら答えた。
「……はぁ、分かった。それで行こう。ただし!俺の邪魔をしたり、俺の周りの奴らを傷つけたらただじゃおかないからな?」
俺が魔女にそう言うと、魔女は声を弾みながら
『うふふっ、えぇ約束する。私の全てを貴方に捧げるわ』
こうして、悪役と魔女との契約は結ばれたのだった。
『じゃあ早速始めましょう?』
魔女は嬉しそうにしながら、アクセルに早く始めようと声をかける
俺は光魔法で身体の回復をしながら魔女との「契り」の準備をする。
『それじゃあ私が——』
「待て」
魔女が契りの呪文をしようとしたが、俺はこれを止める。少しやらなければならない過程があるからな。
『?なにかしら?』
疑問に思った魔女がアクセルに何故止めたのかを聞いてくる。
「契約魔法はそもそも両者の名前が知らないと発動することが出来ないだろ?俺はまだお前の名前を知らない」
『?』
何を言ってるのか分からない魔女に俺はため息を吐きながら答える。
「名前だ、名前。お前の名前を教えて欲しいんだよ」
『?何を言ってるのかしら?私の名前は魔女でしょう?」
「……もうお前と話すと頭が痛くなってくる」
こいつ……自分の名前すら分からないのか?
『だってそうじゃない?私は混沌の魔女って呼ばれてる、なら私の名前は混沌の魔女ってことになるんじゃないかしら?』
「いや、それはみんながお前のことをそう呼んでるんだ。決してお前の名前ではない。」
『そういうものなのね……生まれた時からこの子の中に居たからわからないのよね
じゃあ私ってなんかのかしら?』
「それは…」
………少し考えれば分かったはずだ
こいつはローレンスとは違って名前がない
こいつによれば、混沌の世界をもたらすために生み出されたとされている。名前なんか授けられるわけがない
そもそも誰かに認識してもらっていたかも分からないんだ。
そんなやつにいきなり名前を教えろと言われても自分が呼ばれてる名前でしか答えられないよな
………仕方がない
「少しめんどくさいが、始めるぞ」
俺はそう言いながら魔法を展開する。
契約魔法だ
『アクセル?何やってるのかしら?契約魔法は私が……』
魔女はそう言ってきたので俺がやろうとしてることについて彼女に話す。
「名前をつけるんだよ、お前の。契約魔法は確か名前の定義付けができるんだろ」
『わ、私の名前?そんなことしなくても』
「俺がしたいんだ、黙って見ていろ」
魔女は俺がやってることに困惑しながら戸惑っている。自分の為に行動されることなんてないんだろうな。何故か大きな赤ちゃんでも見てるかのようだ。
と、余計な考えを捨て今やるべき事をやる。魔女との契約魔法だ。
あいつは自分だけに契約魔法をかけると言っていたが、正直ここまでするとは思わなかった。
まだ信用は出来たわけじゃない。こんな短期間に無理な話だ。
ただそんな思いを無駄にするバカにはなりたくない
だから俺もその魔女の思いに答えることにした。
「我、アクセル・アンドレ・レステンクールが命ずる。深淵なる魔の物よ、今一度、彼の名も無きものに新たな名を付与させよ」
俺が呪文を唱えると、魔女の周りがどこから出現したかが分からない光の粒子で覆われている。
そして混沌の魔女の新たな名前は———
「お前の名前はユニーレだ。
ユニーレ・アンドレ・ライファス。
今後お前がその名前を名乗ることを許す」
すると、魔女の周りを回っている粒子が魔女の中に入っていき……契約は完了した。
「というわけだが、今日からお前はユニーレということになる。勝手に名前をつけたのは謝るが、仕方ないことだと思っとけ……ん?」
俺が話しかけてもユニーレからはなんの反応もない。そんなに名前嫌だった?
しばらくすると、ユニーレの俯いた顔が上がってきた。
何やってんだとそう言おうとしたが、言えなかった。
彼女は今、泣いてるのだから
「お、おい」
まさか泣くほど嫌だったのか?そうだとしたら物凄く罪悪感が芽生えるのだが、そうじゃないらしい
『……本当に貴方は、ばかね。私は混沌の魔女よ?ただただ世界を混沌に覆つくす存在よ?それなのに…ふふっまさか自分の名前を貰えるなんて夢にも思わなかったわ』
いつもの調子で、ただ弱い自分を見せないかのようにユニーレは呟いた。
「そうか……なら契約魔法を始めるぞ」
問題ないとそう判断した俺はユニーレに促す
少し意地悪をしたかもしれない。
『私には泣く時間も与えてくれないのかしら?』
「今すぐとは言ってない。準備が出来たら始めろ。俺はあっちに行ってるからな」
そんなことを言いながら俺はさっき居た場所に戻ろうとした。
『ねぇアクセル』
するとユニーレから話しかけられる。ため息を吐いて俺は後ろに振り向き彼女をみた。
『もう一度名前を呼んでくれないかしら?』
そんなことか?と何故そうして欲しいのか分からない俺は彼女の言う通りに名前を呼んだ。
「………ユニーレ」
『ッ!…ユニーレ…ユニーレ……ふふっ』
俺がユニーレと呼んだ瞬間、ユニーレの顔は花のように美しくそして煌めいた笑顔を浮かべていた。
その時のユニーレは世間が恐る混沌ではなく
ただの幸せそうに笑っている女性に見えたのは内緒だ。
その後無事俺たちはなんの問題もなく契りを結んだ。
……ローレンスお前がまだ手を伸ばしてるなら、俺は何度だってその手を掴むぞ
だから、さっさと帰ってこい。
魔女のとんでもない発言に呆気を取られたが、再度刀を構える。
正直なところこれ以上動きたくないし、戦いたくはないんだが、また油断してそれが致命傷の傷を負うかもしれないと考えたら警戒するしかなかった。
『あら、警戒しているのかしら?うふふ、そんなに身構えなくてもなにもしないわ♪
本当よ?』
「そんなの誰が信じるか、そもそも俺の目的はローレンスをここから連れ出すことだ
お前に懐かれることじゃないんだよ」
家族と接する時とは違う、だからってローレンスと関わってきてる時の優しさも持たない。常に冷たく、冷徹にいかにどう殺すか、彼女の目的はなんなのか
敵と相してる時の思考しか今のアクセルには持っていなかった
『私にはこの子の時みたいに優しくしてくれないのね。でも不思議、有象無象に嫌われてもなんとも思わないのに、あなたに嫌われると胸が凄く痛いわ。それに、この子....ローレンスのことがもの凄く妬ましい。これが「嫉妬」かしら?
.....うっふふふ、また私に新しいことを教えてくれたわね!この感覚、たまらないわ~.....』
.......
どういうことだ?俺の頭の中は?でいっぱいだった。
急にローレンスから出てきて、襲われそうになっていたのに、今ではソフィアとは少しベクトルが違うヤバさを醸し出しており、俺しか見えてないように見えた。
俺、こいつになにしたんだっけ?状況を整理しよう。
まず俺は魔女と戦っていたんだよな?最初は普通に戦ってた。
こいつはまるで自分の意思がないように見えたからここは何も異常なしだ
少し様子が変と感じたのは、俺にトドメをさそうとした時だ。
その時の魔女からは殺意が明確に宿していた、そんで少し動揺してるように見えた....このときか?俺に話しかけていたし。でもその後普通に殺そうとしてたからな。違うか....
一番おかしくなったのは毒を喰らった時だ。ここだ、明らかにおかしくなったのは。
俺も毒のことについてはあまり知らないが、なんか変な効果でもあるのか?
持久戦には持ち込もうとはしたぞ。というかそれしか勝つ可能性なかったから。
あそこからの大逆転なんて相手の弱体化しかないだろ。
でもここまで様子がおかしくなるのは本当に予想外だ
一体何が彼女を変えてしまったんだろうか?
俺が思考を巡りに巡ってると、急に魔女から声を掛けてきた。
『そんなに信用できないかしら?』
「当たり前だ、もし信じてほしかったらその身体を返して二度と俺の前に現れないようにするんだな」
『前者ならともかく、後者は承諾しきれないわね。返してほしかったら、一生あなたのそばにいさせて?』
「それこそ承諾できるか!リスクがありすぎる....ただ....そうだな、じゃあ聞くが、お前は俺に何を差し出せる?そこまで言うんだったらそれ相応の対価があるんだろうな?」
俺は本当に様子のおかしい魔女《バカ》に聞いてみることにした。
こいつのことだ。いつか俺を殺そうとするに決まっt......
『全てよ』
「そうか、全てか....ん?全て??」
即答したので俺は聞き流そうとしたんだが....なにやら物凄く危ない発言が聞こえたような気がする。気のせいだよな?そこまでおかしくなってないよなこいつ??
『えぇ全てよ。あなたと一緒にいれるんだったら何でも差し出すわ。
心も、身体も、知恵も、力も、世界も、あなたが欲しいと思うものはなんだってあげる。もしこの世界を混沌に埋め尽くしたいのなら、ここから出て全部埋め尽くしてあげる。いまなら誰にも負ける気がしないからね。あなたが消したい、殺したい、目障りな存在がいたら私の全てを持ってそいつを消してあげる
あぁ、それとあなたの周りにいる有象無象がもしあなたに危害を加えそうになったら
勝手に消しても許してね?少し我慢できないかもしれないから。あと.....』
「待て待て待て待て.....」
俺は頭を抱えた。なんだ、この歩く時限爆弾は?
確かに俺だって相手に容赦しない所がある。だが、こいつ今私の全てを持ってって言ったか?こいつが全力で力を出したらもしかしたらこの世界終わるぞ?
いやもしかしなくてもか……じゃなくて!
「そんなこと言われても困る。そもそも言葉だけだろ?信用できるわけない」
『なら契約魔法を掛けましょう、私自身に』
「....は??」
どうやら俺はこいつと関わると少し頭が痛くなるらしい
契約魔法?それも自分に?もう狂気の沙汰でしかない。
契約魔法というのは、7つの属性魔法とは全く違い、魔力を媒体にして
自分と相手がが了承したときに初めて成り立つ少し特殊な魔法だ
だが、この世界に契約魔法を知っている存在はほとんどいない。
なぜならこの魔法は人間が改良して本来とは全く違う凶悪なものになったからだ。
その魔法の名は「奴隷契約」
相手が、親がいない子供、孤児、身寄りのないもの、生活が困難なもの、戦争や紛争で負けてしまった捕虜、連れ去られた者など....そういう者が強制的に契約をされ奴隷にされてしまうという、もはや良い所がない魔法と言っても過言ではないだろう。
この契約を破ったら、破った代償としてなにかしらの罰が執行される
それが、いつ執行されるかはわからないし、どんな罰なのかもわからない
ただ、破った者の末路は少なくとも明るくはないと言われている。
一応2つの契約魔法には違いがある
奴隷契約は対象者を広げることに特化した魔法であり
最初に話した契約魔法は効果をあげることに特化している魔法である
魔女が言っているのは、後者の方だ。
『私の中ではこれを「契り」とも言うわね。
それで、これで承諾してくれるかしら?』
「……お前、自分の言ってる事が分かってるのか?」
魔女はその契りを俺と結ぼうとしている。普通はどちらにもかけるものなんだが、なんと魔女は俺にはかけず自分自身だけにかけるのだ。
だから魔女だけが契りに違反した場合、その罰が執行され、俺は魔女や自分自身に契りをかけられていないからそもそも契りを違反することはない
簡単にいうと、この契りに俺はなんのデメリットもなく、逆に魔女に関してはデメリットが大きい、ある意味馬鹿がやることだ。
『こうでもしないと貴方は私のこと信じないんでしょう?』
「だからってここまでするのか……」
『そうさせたのは貴方よ?アクセル』
「…ちなみにこれで断るって言ったら?」
『あら?大体想像はつくんじゃなくて?』
「………」
…どうやら俺は相当やばい奴に懐かれてしまったらしい。もしここで断るって答えたら最悪な未来しか見えない。ここで戦っても正直なんの得はない。しかもそれで、魔女が自害を選んだらそれこそ最悪だ。どんな考えをしてもここで拒否をしてもメリットがない。
……しばらく考えて俺はため息を吐きながら答えた。
「……はぁ、分かった。それで行こう。ただし!俺の邪魔をしたり、俺の周りの奴らを傷つけたらただじゃおかないからな?」
俺が魔女にそう言うと、魔女は声を弾みながら
『うふふっ、えぇ約束する。私の全てを貴方に捧げるわ』
こうして、悪役と魔女との契約は結ばれたのだった。
『じゃあ早速始めましょう?』
魔女は嬉しそうにしながら、アクセルに早く始めようと声をかける
俺は光魔法で身体の回復をしながら魔女との「契り」の準備をする。
『それじゃあ私が——』
「待て」
魔女が契りの呪文をしようとしたが、俺はこれを止める。少しやらなければならない過程があるからな。
『?なにかしら?』
疑問に思った魔女がアクセルに何故止めたのかを聞いてくる。
「契約魔法はそもそも両者の名前が知らないと発動することが出来ないだろ?俺はまだお前の名前を知らない」
『?』
何を言ってるのか分からない魔女に俺はため息を吐きながら答える。
「名前だ、名前。お前の名前を教えて欲しいんだよ」
『?何を言ってるのかしら?私の名前は魔女でしょう?」
「……もうお前と話すと頭が痛くなってくる」
こいつ……自分の名前すら分からないのか?
『だってそうじゃない?私は混沌の魔女って呼ばれてる、なら私の名前は混沌の魔女ってことになるんじゃないかしら?』
「いや、それはみんながお前のことをそう呼んでるんだ。決してお前の名前ではない。」
『そういうものなのね……生まれた時からこの子の中に居たからわからないのよね
じゃあ私ってなんかのかしら?』
「それは…」
………少し考えれば分かったはずだ
こいつはローレンスとは違って名前がない
こいつによれば、混沌の世界をもたらすために生み出されたとされている。名前なんか授けられるわけがない
そもそも誰かに認識してもらっていたかも分からないんだ。
そんなやつにいきなり名前を教えろと言われても自分が呼ばれてる名前でしか答えられないよな
………仕方がない
「少しめんどくさいが、始めるぞ」
俺はそう言いながら魔法を展開する。
契約魔法だ
『アクセル?何やってるのかしら?契約魔法は私が……』
魔女はそう言ってきたので俺がやろうとしてることについて彼女に話す。
「名前をつけるんだよ、お前の。契約魔法は確か名前の定義付けができるんだろ」
『わ、私の名前?そんなことしなくても』
「俺がしたいんだ、黙って見ていろ」
魔女は俺がやってることに困惑しながら戸惑っている。自分の為に行動されることなんてないんだろうな。何故か大きな赤ちゃんでも見てるかのようだ。
と、余計な考えを捨て今やるべき事をやる。魔女との契約魔法だ。
あいつは自分だけに契約魔法をかけると言っていたが、正直ここまでするとは思わなかった。
まだ信用は出来たわけじゃない。こんな短期間に無理な話だ。
ただそんな思いを無駄にするバカにはなりたくない
だから俺もその魔女の思いに答えることにした。
「我、アクセル・アンドレ・レステンクールが命ずる。深淵なる魔の物よ、今一度、彼の名も無きものに新たな名を付与させよ」
俺が呪文を唱えると、魔女の周りがどこから出現したかが分からない光の粒子で覆われている。
そして混沌の魔女の新たな名前は———
「お前の名前はユニーレだ。
ユニーレ・アンドレ・ライファス。
今後お前がその名前を名乗ることを許す」
すると、魔女の周りを回っている粒子が魔女の中に入っていき……契約は完了した。
「というわけだが、今日からお前はユニーレということになる。勝手に名前をつけたのは謝るが、仕方ないことだと思っとけ……ん?」
俺が話しかけてもユニーレからはなんの反応もない。そんなに名前嫌だった?
しばらくすると、ユニーレの俯いた顔が上がってきた。
何やってんだとそう言おうとしたが、言えなかった。
彼女は今、泣いてるのだから
「お、おい」
まさか泣くほど嫌だったのか?そうだとしたら物凄く罪悪感が芽生えるのだが、そうじゃないらしい
『……本当に貴方は、ばかね。私は混沌の魔女よ?ただただ世界を混沌に覆つくす存在よ?それなのに…ふふっまさか自分の名前を貰えるなんて夢にも思わなかったわ』
いつもの調子で、ただ弱い自分を見せないかのようにユニーレは呟いた。
「そうか……なら契約魔法を始めるぞ」
問題ないとそう判断した俺はユニーレに促す
少し意地悪をしたかもしれない。
『私には泣く時間も与えてくれないのかしら?』
「今すぐとは言ってない。準備が出来たら始めろ。俺はあっちに行ってるからな」
そんなことを言いながら俺はさっき居た場所に戻ろうとした。
『ねぇアクセル』
するとユニーレから話しかけられる。ため息を吐いて俺は後ろに振り向き彼女をみた。
『もう一度名前を呼んでくれないかしら?』
そんなことか?と何故そうして欲しいのか分からない俺は彼女の言う通りに名前を呼んだ。
「………ユニーレ」
『ッ!…ユニーレ…ユニーレ……ふふっ』
俺がユニーレと呼んだ瞬間、ユニーレの顔は花のように美しくそして煌めいた笑顔を浮かべていた。
その時のユニーレは世間が恐る混沌ではなく
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どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
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