全てを失う悲劇の悪役による未来改変

近藤玲司

文字の大きさ
23 / 82

帰って待っていたものは……

しおりを挟む
俺たちはあの混沌《カオス》の状況になった後無事、本の外に出て現世に帰ってきた。

正直、ここから外に出て家に帰るまで歩きたくない。だが、色々やらなきゃいけないことがあるからそれをしなければならない。

……俺、何かと苦労人な気がするけど気のせいかな?まぁ自分でやるって決めたんだから仕方ないけど。


と、外に出てみたらいつも通りの森で安心する。とりあえず今ここでやらなきゃいけないことを2人に説明しようと後ろを振り向いた。


「二人ともすこしいい……」


「「………」」

久しぶりの外の世界だからか2人は周りをキョロキョロしながら森の中を唖然と見ていた。
…まぁ2人が落ち着いてからでいいか。

と2人が落ち着くまで俺は少し身体を休めるのだった。








「…そろそろいいか?」
落ち着いたであろうローレンスとユニーレに声をかける

「…我ら、ほんとに外に出たのだな」

「当たり前だ。じゃなきゃここは一体どこになるんだ?」

「…幻?」

「おいおい…」

魔導書の中に滞在しすぎて、現実か幻かの判断出来てねぇじゃないか

「…ユニーレは?」

「…えぇ少し落ち着いたわ。でもまだ不思議な気分よ。ほんとに外に出てるのね」

こいつら同じこと言ってるな。まぁ懐かしい所にいると感傷したい気分とか呆然する気持ちとか分かるけど今はそんなことより…


「少しかけたい魔法があるんだ。二人とも固まってくれ」

「かけたい魔法?どんなものなのだアクセル?」

疑問に思ったローレンスが聞いてくる。そりゃあ不思議に思うわけだ。ユニーレだって分からなそうに首を傾けてるしな。

「かけたら分かる。とりあえず言う通りにしてくれ」

「?分かったのだ」

二人は頭の中がスッキリしないのか、少し腑に落ちない顔をしながらも俺の言う通りに固まってくれた。

そして俺は2人にある魔法をかけた。

「認識阻害《インビジョン》」

空間魔法を利用した魔法、認識阻害《インビジョン》を2人を覆うようにかけた。

初めはなんの魔法か分からなかったらしいが、かけられた瞬間流石というわけか俺の方を見ながら驚いたような納得したような顔をしていた。

「アクセルこれは…」

「あぁ、もしかしたらお前らのこと知ってるやつがいるかもしれないからな。認識阻害の魔法をかけさせてもらったぞ」

「でも、これくらいなら私達でも…」

「魔法を使う中にも効かなかったり、もしかしたら打ち破ったりするやつがいるかもしれないからな。俺の力なら少し特殊だからそう簡単には破られたりしないはずだ…まぁ迷惑ならやめるが」

そうもしかしたら混沌の魔女関連で知ってる奴がいるかもしれない。

それに魔法でやったとしてももしかしたら先ほどの言ったみたいに効かなかったら破られたりするかもしれない。

だから俺の虚無力でかけた魔法なら打ち破られる心配がないからかけたんだけど、とそんな考えをしてたら……

……ローレンスは少し涙を流しながら、ユニーレは微笑みながら幸せそうな顔をして俺の方を見ていた。

「お、おい…お前らなんだその顔は?」

「……あ、アクセルが我らのことを考えてたと思ったら…嬉しくて…」

「ふふっ、かつて恐れられていた混沌の魔女の事を心配してくれる人がいるなんておかしな話ね」

どうやら嫌ではないらしい。まぁそれならそれでいいんだが…にしても背中がむず痒いな
そんな目で見られても俺が困る。

恥ずかしくなった俺は2人に背を向けて歩き始めた。

「ほらお前ら、落ち着いたんならさっさと行くぞ。じゃないと置いてくぞ~」

「あ、ま、待ってくれアクセル!」

ローレンスが慌てたように俺についてくる音が聞こえて

「あらあら…照れてて可愛いわね私の愛しの人は。ふふっ」

ユニーレが俺に聞こえるように、そして嬉しそうにしながら俺についてくる音が聞こえた。


…はぁ、なんかこいつらといると調子が狂うな。

俺はそんなことを考えながら懐かしのレステンクール領に向かったのだった。





時間が少し経ち俺たちはまだ森の中をしばらく歩いていた。

俺は戦いからの疲れなのか、少し頭が痛くなったり、身体の疲労感が半端なかった。

なんとか顔を出さずにいたんだが…

「あ、アクセル?大丈夫か?少し顔色がわるいぞ?」

どうやらローレンスにはバレてたらしい。
ここで嘘を言っても仕方ないので、本当のことを話すことにした。

「大丈夫…とは言えないな。流石にあんな戦っていたら少し疲れるな」

俺が正直に答えると後ろにいたユニーレが申し訳なさそうな顔をしながら謝ってきた。

「ごめんなさい…私のせいね」

「あー…別にお前が気にすることじゃないぞ?
大体戦うのは予想出来てたし他にも戦ったりしたからな」

まさかこいつが謝ってくるとは思わなかったから俺は心の中で驚きながらユニーレに返答した。

こいつなんか変わったか?まだ自我が芽生えてそこまで経ってないはずなのに……。

「…貴方は優しいのね」

「優しいとかそんなんじゃない。ただ事実を言っただけだ」

「そう…ふふっ」

俺の返答がおかしかったのかユニーレは困った顔で笑っていた。

なんだ?馬鹿にしたなら喧嘩買うぞ?

「…わ、我が最初に心配したのに2人がいい雰囲気なのだ!どういうことだアクセル!」


「いや俺に言われてもな…」

何故かローレンスが俺に八つ当たりしてきてた。なんで俺こんな目に合わなかんのだ?

この世は理不尽だと思った時だった。



"きゃああああああああ!!"

「「「ッ!!」」」

女性のような甲高い声が聞こえてきた。
俺たちはお互いに視線を合わせて俺が頷くと、2人は先に声が聞こえた方に向かい、俺は後から向かうのだった。


こんな場所で襲われただ?比較的安全な場所なはずなのに何故……

そんな疑問を思い浮かべていると。もう着いたのか遠くにいるはずのローレンスから声が聞こえてきた。

『アクセル、見つけたのだ』

(ッ!これは…風魔法で電話みたいに俺に声をかけているのか…全く流石だな)

そんな技術に驚きながらも、俺もローレンスのように風魔法の応用で彼女に応答した。

『分かった、状況は?』


俺が返答すると思っていたのか、嬉しそうに笑いながら情報を的確に教えてくれた。

『襲われている方は兵士と令嬢らしき者含めて4人だな。だか、2人は相当怪我が酷いらしく倒れておる。なんとか1人で令嬢を守っとるが時間の無駄だろう』

『相手の方は?』

相手の数について教えてもらおうとしたら今度はユニーレが教えてくれた。

『相手の方は盗賊かしらね?それが15匹よ。
1匹1匹は雑魚だけど苦戦してるわね…一応そのうちの5匹は倒してるわ。』


今更だが、こいつほんとに他の人間のことなんかどうでもいいんだな。

15匹って聞いた時内心驚いたが、少し考えながら俺は彼女らに指示を出す

『まだ誰かが分からない。バレない程度に足止めを頼む』

『『了解(なのだ)』』

2人との会話を終えるとすぐに俺は目的の場所に向かうべく身体を酷使する。

さぁて一体誰が襲われてるんだ?



あいつらと会話してしばらく経って俺はようやく目的地に着いた。

「悪い2人とも。遅くなった」

隠れて足止めをしてたであろう2人に声をかけると気にしてないかのように答えてきた。

「大丈夫なのだ。これしき朝飯前だ」

「ひとまず誰も倒してないのだけど良かったかしら?」

「あぁ、助かる」

仕事ができるやつは違うな。2人の優秀さに改めて感心しながら、俺は今の状況を知るべく戦場をみたのだが……

「……」

「?アクセル?」

2人のうちの誰かが声をかけてきたが、俺はそれを耳に入れて声をかけれる余裕はなかった。

これほど驚いたのは転生した時以来だ。

……どういうことだ?何故彼女が今ここに?

確かに彼女がここには来るのは知っているが、このタイミングは早すぎる。

俺が驚いてる原因張本人の名は——












「…ナーシャ・カロナイラ」


——ヴァニティフィロスのメインヒロインの一人が今目の前にいるのだから


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...