22 / 82
「我」と「私」そして帰還
しおりを挟む
それはローレンスが目を醒ます数時間前—
俺はユニ―レに少し気になったことがあったので聞いてみることにした。
「そういえば、ユニーレお前、ローレンスに身体を明け渡したらお前どうするんだ?
あいつの中に居続けるのか?」
ローレンスとユニーレは経緯はどうであれ一心同体の存在だ。
そうなると今後契に反することがあるのではないかと思うのだ
ちなみに契の内容は
・俺の許可がない限り周りの人物や俺に危害を加えない。
・俺には隠し事はしない。
・俺の頼み事は基本的に引き受ける(ただし、引き受けきれない事情があるなら俺に報告をし許可が出たらしなくて良い。またその時は契の内容は破ってもよしとする。)
・俺から離れない。
とりあえず思いついた限り出した。どうやら契に関しては追加することができるから
まあ少し困ったら増やせばいいだろう。
ちなみにだが、最後のやつはユニーレが勝手に付け加えた。
どうやら相当離れたくないらしい....ほんとになんちゅう時限爆弾に懐かれたんだ。
で、どれが契に反するかというと、先程言った俺から離れないことだ。
今のローレンスを見れば、自惚れでなければ当分離れることはないだろう。
だがこの先もしも、どこか住みたい場所、やりたいことが見つかれば、俺はローレンスの選択を尊重するつもりだ。
だが、ユニーレが入ってる場合、契のせいで彼女に罰が執行されることになる
また彼女が不幸な運命を辿ってしまうのは俺が自分自身が許せなくなる。
だからユニ―レに聞いてみたのだが.....
「....なにだらしない顔しているんだお前?」
俺が名前で呼んだ瞬間、ユニーレは一瞬顔を赤らめたと思ったらだらしない顔をしながら自分の名前を連呼していた。
...ほんとにこいつ、世間が恐れてた混沌の魔女なのか?
「おい、ユニーレ?ユニーレ~?」
『ッ!...な、何かしら?』
なに済まし顔してるんだお前....
「はぁ...聞いてたのか?お前はその後どうするんだってきいてるんだ」
『あぁそのこと?それなら大丈夫よ』
こいつ...こんな反応ってことはさては聞いていなかったな。
「...ん?大丈夫ってことは何か方法があるのか?」
なんか普通に反応していたから聞き流そうとしていたのだが、結構重要なこと言った気がするぞ?
「大丈夫なのか?まさか身体を分離できますとか言わないよな?」
まさかと思って聞いてみたが。
『鋭いじゃない、そのとおりよ』
「....嘘だろ?」
そんな芸当ができるのか?流石かつて魔女と呼ばれていた女ということか?
『元々私達は別々の存在だったの。正確に言うと私がローレンスの中に誕生したって表現したほうがいいかしら』
「…なに?」
そんな話聞いた事がないぞ?確かに魔女の話は作者から言及されたことなどほとんどない。
でもその情報ならなにかしら伏線だったり、その情報に関わる組織について言及されるはずだ....なのに混沌の魔女に関しての情報だけは謎のままだ。
まるでその話題には触れてはいけないとでもいってるかのように.....
『アクセル?』
「ん?あぁ悪い。それでどうやって分離するんだ?」
『?まぁいいけど、それで分離する方法ね?』
そしてユニーレは説明し始めた。
『私の力で人間という生物の依代になるものを創るの。本来ならこんなのやろうとしたら私でも身体が持つか分からないけれど、この世界で創るなら私の思い通りに何もかも創れるからなんとかなりそうだわ。それに依代にいろいろおまけでもつけて前よりも強くなりそうだからある意味都合はいいのよ』
「………あれよりも強くなるのか?」
絶句した。てかドン引きだ。あんなに強くかったのに……あれよりさらに強くなるだと?
「お前って、ほんとにめちゃくちゃだよな」
『お褒めにあずかり光栄よ。それが私よ?…私からすれば貴方の方がめちゃくちゃな気がするけど』
「…はぁ~やめだやめ。話は後だ。さっさとやるぞ」
結局どちらもめちゃくちゃということだ。
それはそうだ。アクセルだってよく考えれば化け物だ。おそらく原作よりも強いと自負できるほどにな。
そんな化け物達がお互いめちゃくちゃ言ってるんだ。こんなの話に拉致があかない。
『了解したわ、我が主人』
「……ほんとにやめてくれ。契りをやったとはいえあくまで対等だ。そんな趣味はない」
『うふふっ』
ゾッとしたことを言ってきたので、さっさと始まるように俺は促す。
ご主人様とかそんなのほんとに柄じゃない。昔は確かに金持ちではあったが、メイドとかそんなのいなかったしな。
そしてなんだかんだ言いながら、ユニーレはとっくに依代を完成させていた。
『とりあえずは依代は完成よ』
「もう完成したのか?……にしてもこれが依代か、見た目は今のお前ほとんど変わらないが生気が感じられないな」
『当たり前よ、私の依代の為に作ったんだから生きていたら困るわ』
そういうもんなのか…でも凄いなまるで本物の人間かのようd……
「……」
『あら?急に黙って目を逸らしてどうしたのかしら?なにかいけないものでも見た?』
こいつ……分かってて創りやがったな
ユニーレが創った依代は今と見た目が変わらない女性の姿だ。
そんでよく見ると服を着てないのが分かる。
だから女性の見えてはいけないところも見えるってわけで………
「……」
『アクセルは恥ずかしがると黙るのね?うふふ、貴方のそんな所を見るのも悪くないわね。色々目覚めそうよ』
「そんなことはいいからさっさと服を着させろ」
『もう、冷たいわね。ふふっ…』
俺の反応に満足したのか、ユニーレは依代に服を着させた。
こういうのはどうすればいいか分からんからほんとに困る。なんか戦ってるよりも疲れてる気がするのは気のせいかな?……気のせいだよな?
『じゃあ始めるわよ』
ふざけ合いが終わって、急に真面目になるとユニーレは依代と自分の胸に手を置いて何かをしている。
よく見ると何かを送ってるように見える。
魔素とは違う別のエネルギーを送っ出るように見える。
(おそらくだが……ローレンスの中にある異能の力を送ってる……いや、そもそも異能はそいつの魂に結びついてるからそれを剥がそうとすると廃人になるはずだ……となると異能のコピーか?…こいつなら出来そうだな)
仮説は立ててみたが、どちらにしても普通ではないことをやってるのは確かなのでやっぱり混沌の魔女はチートなのである。
……人のこと言えないって?気にしちゃダメだ
と、そんなこんなでどうやら終わったらしくユニーレが最後の締めくくりと言わんばかりの魔法を唱え出す。
『魂の移動』
次の瞬間、ユニーレと依代が光り輝き始めた。
余りの眩しさで俺は目を開けていられず、腕で視界を遮りながら、ユニーレの方を見続けた。
しばらく経って視界がよく見えるようになり
腕をどけて終わったであろう彼女らの方を見てみるとそこには——
——
目を開けて見ると、そこには眠っているように目を閉じたローレンスと、下を向きながらローレンスの方を見つめる絶世の美女の姿があった。
おそらくその美女はユニーレのことだろう。
だが、この時の俺はあまり冷静ではなかったかもしれない
ローレンスの姿を見た瞬間、俺は彼女の方に駆け寄った。
「ローレンス!」
彼女の華奢な身体を抱き寄せてた。彼女の体温が俺の腕に感じているが、反応がない。
ユニーレは何も言わずただ彼女を見守っていだろう。
俺は彼女の目を覚ますまで何度でも呼び続けた。じゃなきゃ彼女はまた諦めそうな気がしたからだ。
そして呼び続けてしばらく経って——
「....遅いのだ...待ちくたびれたぞ?」
——ついにローレンスの目が開いた。
弱々しい彼女の声を聞き、俺は安堵と申し訳なさを感じながら、彼女に答えた。
「......悪いな、少し時間かかったわ」
すると彼女は繊細な身体をしながら、心から笑ったような声で俺の方を向いて言った。
「ただいま....アクセル」
「……あぁ、おかえりローレンス」
◇
しばらくの間、ローレンスの治療をしながら、俺はユニーレに声をかけた。
「それで、お前はどうなんだ?身体の調子」
ユニーレは自分の身体を確かめるために少し魔法を試し撃ちをしたり、異能の力で物を創ったりしていたが
「…やっぱりね」
何故か予想していたようなそれと腑に落ちないような顔をしていた。
「なんだ?何かあったのか?」
「…確かに身体自体は完璧よ。魔力回路だって改造して流しやすいようにして効率はいいわ。ただ…」
「ただ?」
「…どんなに試し撃ちしても、やっぱり異能の力の方が強力なの。どうやら私の本来の力は魔法じゃなくて、この異能の力の方らしいわ」
なるほど、どうやらローレンスが離れたことで彼女にも得意不得意が発覚したらしい。
「てことは元々魔法が得意だったのは…」
「……この子のおかげってことね」
なんかとんでもない化け物が生まれようとしてたと少しドン引きしてたが、どうやらそうでもないらしい。
ローレンスには魔法の力が、ユニーレには異能の力がそれぞれ得意分野だったのだ。
なんかいい具合に差別化されてるな
本人は悔しがってるが、これ以上強くなるのはやめてくれ。俺が困る。
「…でもなんか異能の力の方、さっきより強力になってないか?」
「あら?気づいた?そうなのよ、この身体にしてから創る速度、重さの調整、同時並行、それぞれ一段上がってるわ」
……ただ弱くなった訳ではなく、得意分野の方が強力になったらしい。
と俺たちがそんな話をしていると——
「……お主」
ローレンスがユニーレの方を見て話しかけていた。まるで知り合いのような、見たことあるような、そんな気配を醸し出しながら。
「……」
ユニーレはただ何も言わず無言でローレンスに向き合ってる
「「……」」
…なんか気まずい空気だな。前にもあった姉上とソフィアとは違う嫌な空気を感じる。
「…お主が、我の中にいた奴なのか?」
「…えぇ」
ローレンスは確かめるように聞き、ユニーレに関してはさっき俺と戦ってたような何を考えてるのか分からない表情で答えてた。
「そうか…お主とは一度話してみたかったのだ」
「…そう」
そこからローレンスとユニーレの会話が始まり出す。俺はただ無言でそれを見守る。ここから先はあいつらのことだ。無関係の俺がとやかく言うのは違う。
「…お主はあの時、辛かったのか?」
「…分からないわ、あの時の私はただこの世界をめちゃくちゃにすることだけしか考えてなかったから」
「そうか……我は辛かったし弱かった。裏切られ、奪われ、お主みたいに何も感じなかったら楽だっただろうな」
「……」
「…だからあの時の我は何もかも恨んだ。この世界も、人も、家族も……もしかしたらお主だって……世界を混沌に覆い尽くそうとした」
「……そうね。そのために私は生まれたもの」
「…でも我はお主に感謝してるんだ」
「?」
「今こうやってここにいるのも、今こうして耐えることが出来たのも…アクセルに出会えたことも全部お主がいたからなんだ」
「…私はアクセルを破壊しようとしたのよ?」
「それは許さぬ、許すつもりなんかない。
それでアクセルが死んだら一生お主を恨む……でも…それでも、お主も救われただろ?」
「……そうね、彼と出会えて自分でも分からない自分が居て……楽しいのかしらね多分」
「そうであろう?……だから言わせてくれ」
「辛いときも苦しい時も、我と一緒にいてくれてありがとう。お主がいたから我はここまで生きることが出来たのだ」
「…そう、貴方がそれでいいならなにも言わないわ。ただ私も感謝してるわ。彼に出会えたもの」
「お?お主もアクセルの魅力に気づいたのか?」
「馬鹿にしないでもらえるかしら?私は彼に全てを渡したのよ?魅力なんてとっくに知ってるわ」
「なっ!?す、全てだと!?おいアクセルどういう事だ!我がいながら我の中にいたやつと変なことしたというのか!!」
「ちょっと待て?さっきの空気どうした?というか俺を巻き込むな、こいつが勝手に懐いただけだ」
「あら心外ねアクセル。私たち、あんなことをしたのに…」
「お前もだ!なに誤解招くような発言してんだこら…って待て待て待てローレンス!」
「お主…我というものがいながら…!死刑じゃ!!死刑に処してやる!!!」
「だから待てって!ってお前も魔法の威力上がってねぇか!?おわっちょ、ちょっと待て!!まじでやめろ!俺身体ほんとに辛いんだってぇえええ!」
……こうしていつの間にかかなり混沌な状態になった後、俺たちは無事禁句の魔導書の中から脱出したのだった。
……はぁ、なんかこの先が不安な気がするのは俺の気のせいであって欲しい。
俺はユニ―レに少し気になったことがあったので聞いてみることにした。
「そういえば、ユニーレお前、ローレンスに身体を明け渡したらお前どうするんだ?
あいつの中に居続けるのか?」
ローレンスとユニーレは経緯はどうであれ一心同体の存在だ。
そうなると今後契に反することがあるのではないかと思うのだ
ちなみに契の内容は
・俺の許可がない限り周りの人物や俺に危害を加えない。
・俺には隠し事はしない。
・俺の頼み事は基本的に引き受ける(ただし、引き受けきれない事情があるなら俺に報告をし許可が出たらしなくて良い。またその時は契の内容は破ってもよしとする。)
・俺から離れない。
とりあえず思いついた限り出した。どうやら契に関しては追加することができるから
まあ少し困ったら増やせばいいだろう。
ちなみにだが、最後のやつはユニーレが勝手に付け加えた。
どうやら相当離れたくないらしい....ほんとになんちゅう時限爆弾に懐かれたんだ。
で、どれが契に反するかというと、先程言った俺から離れないことだ。
今のローレンスを見れば、自惚れでなければ当分離れることはないだろう。
だがこの先もしも、どこか住みたい場所、やりたいことが見つかれば、俺はローレンスの選択を尊重するつもりだ。
だが、ユニーレが入ってる場合、契のせいで彼女に罰が執行されることになる
また彼女が不幸な運命を辿ってしまうのは俺が自分自身が許せなくなる。
だからユニ―レに聞いてみたのだが.....
「....なにだらしない顔しているんだお前?」
俺が名前で呼んだ瞬間、ユニーレは一瞬顔を赤らめたと思ったらだらしない顔をしながら自分の名前を連呼していた。
...ほんとにこいつ、世間が恐れてた混沌の魔女なのか?
「おい、ユニーレ?ユニーレ~?」
『ッ!...な、何かしら?』
なに済まし顔してるんだお前....
「はぁ...聞いてたのか?お前はその後どうするんだってきいてるんだ」
『あぁそのこと?それなら大丈夫よ』
こいつ...こんな反応ってことはさては聞いていなかったな。
「...ん?大丈夫ってことは何か方法があるのか?」
なんか普通に反応していたから聞き流そうとしていたのだが、結構重要なこと言った気がするぞ?
「大丈夫なのか?まさか身体を分離できますとか言わないよな?」
まさかと思って聞いてみたが。
『鋭いじゃない、そのとおりよ』
「....嘘だろ?」
そんな芸当ができるのか?流石かつて魔女と呼ばれていた女ということか?
『元々私達は別々の存在だったの。正確に言うと私がローレンスの中に誕生したって表現したほうがいいかしら』
「…なに?」
そんな話聞いた事がないぞ?確かに魔女の話は作者から言及されたことなどほとんどない。
でもその情報ならなにかしら伏線だったり、その情報に関わる組織について言及されるはずだ....なのに混沌の魔女に関しての情報だけは謎のままだ。
まるでその話題には触れてはいけないとでもいってるかのように.....
『アクセル?』
「ん?あぁ悪い。それでどうやって分離するんだ?」
『?まぁいいけど、それで分離する方法ね?』
そしてユニーレは説明し始めた。
『私の力で人間という生物の依代になるものを創るの。本来ならこんなのやろうとしたら私でも身体が持つか分からないけれど、この世界で創るなら私の思い通りに何もかも創れるからなんとかなりそうだわ。それに依代にいろいろおまけでもつけて前よりも強くなりそうだからある意味都合はいいのよ』
「………あれよりも強くなるのか?」
絶句した。てかドン引きだ。あんなに強くかったのに……あれよりさらに強くなるだと?
「お前って、ほんとにめちゃくちゃだよな」
『お褒めにあずかり光栄よ。それが私よ?…私からすれば貴方の方がめちゃくちゃな気がするけど』
「…はぁ~やめだやめ。話は後だ。さっさとやるぞ」
結局どちらもめちゃくちゃということだ。
それはそうだ。アクセルだってよく考えれば化け物だ。おそらく原作よりも強いと自負できるほどにな。
そんな化け物達がお互いめちゃくちゃ言ってるんだ。こんなの話に拉致があかない。
『了解したわ、我が主人』
「……ほんとにやめてくれ。契りをやったとはいえあくまで対等だ。そんな趣味はない」
『うふふっ』
ゾッとしたことを言ってきたので、さっさと始まるように俺は促す。
ご主人様とかそんなのほんとに柄じゃない。昔は確かに金持ちではあったが、メイドとかそんなのいなかったしな。
そしてなんだかんだ言いながら、ユニーレはとっくに依代を完成させていた。
『とりあえずは依代は完成よ』
「もう完成したのか?……にしてもこれが依代か、見た目は今のお前ほとんど変わらないが生気が感じられないな」
『当たり前よ、私の依代の為に作ったんだから生きていたら困るわ』
そういうもんなのか…でも凄いなまるで本物の人間かのようd……
「……」
『あら?急に黙って目を逸らしてどうしたのかしら?なにかいけないものでも見た?』
こいつ……分かってて創りやがったな
ユニーレが創った依代は今と見た目が変わらない女性の姿だ。
そんでよく見ると服を着てないのが分かる。
だから女性の見えてはいけないところも見えるってわけで………
「……」
『アクセルは恥ずかしがると黙るのね?うふふ、貴方のそんな所を見るのも悪くないわね。色々目覚めそうよ』
「そんなことはいいからさっさと服を着させろ」
『もう、冷たいわね。ふふっ…』
俺の反応に満足したのか、ユニーレは依代に服を着させた。
こういうのはどうすればいいか分からんからほんとに困る。なんか戦ってるよりも疲れてる気がするのは気のせいかな?……気のせいだよな?
『じゃあ始めるわよ』
ふざけ合いが終わって、急に真面目になるとユニーレは依代と自分の胸に手を置いて何かをしている。
よく見ると何かを送ってるように見える。
魔素とは違う別のエネルギーを送っ出るように見える。
(おそらくだが……ローレンスの中にある異能の力を送ってる……いや、そもそも異能はそいつの魂に結びついてるからそれを剥がそうとすると廃人になるはずだ……となると異能のコピーか?…こいつなら出来そうだな)
仮説は立ててみたが、どちらにしても普通ではないことをやってるのは確かなのでやっぱり混沌の魔女はチートなのである。
……人のこと言えないって?気にしちゃダメだ
と、そんなこんなでどうやら終わったらしくユニーレが最後の締めくくりと言わんばかりの魔法を唱え出す。
『魂の移動』
次の瞬間、ユニーレと依代が光り輝き始めた。
余りの眩しさで俺は目を開けていられず、腕で視界を遮りながら、ユニーレの方を見続けた。
しばらく経って視界がよく見えるようになり
腕をどけて終わったであろう彼女らの方を見てみるとそこには——
——
目を開けて見ると、そこには眠っているように目を閉じたローレンスと、下を向きながらローレンスの方を見つめる絶世の美女の姿があった。
おそらくその美女はユニーレのことだろう。
だが、この時の俺はあまり冷静ではなかったかもしれない
ローレンスの姿を見た瞬間、俺は彼女の方に駆け寄った。
「ローレンス!」
彼女の華奢な身体を抱き寄せてた。彼女の体温が俺の腕に感じているが、反応がない。
ユニーレは何も言わずただ彼女を見守っていだろう。
俺は彼女の目を覚ますまで何度でも呼び続けた。じゃなきゃ彼女はまた諦めそうな気がしたからだ。
そして呼び続けてしばらく経って——
「....遅いのだ...待ちくたびれたぞ?」
——ついにローレンスの目が開いた。
弱々しい彼女の声を聞き、俺は安堵と申し訳なさを感じながら、彼女に答えた。
「......悪いな、少し時間かかったわ」
すると彼女は繊細な身体をしながら、心から笑ったような声で俺の方を向いて言った。
「ただいま....アクセル」
「……あぁ、おかえりローレンス」
◇
しばらくの間、ローレンスの治療をしながら、俺はユニーレに声をかけた。
「それで、お前はどうなんだ?身体の調子」
ユニーレは自分の身体を確かめるために少し魔法を試し撃ちをしたり、異能の力で物を創ったりしていたが
「…やっぱりね」
何故か予想していたようなそれと腑に落ちないような顔をしていた。
「なんだ?何かあったのか?」
「…確かに身体自体は完璧よ。魔力回路だって改造して流しやすいようにして効率はいいわ。ただ…」
「ただ?」
「…どんなに試し撃ちしても、やっぱり異能の力の方が強力なの。どうやら私の本来の力は魔法じゃなくて、この異能の力の方らしいわ」
なるほど、どうやらローレンスが離れたことで彼女にも得意不得意が発覚したらしい。
「てことは元々魔法が得意だったのは…」
「……この子のおかげってことね」
なんかとんでもない化け物が生まれようとしてたと少しドン引きしてたが、どうやらそうでもないらしい。
ローレンスには魔法の力が、ユニーレには異能の力がそれぞれ得意分野だったのだ。
なんかいい具合に差別化されてるな
本人は悔しがってるが、これ以上強くなるのはやめてくれ。俺が困る。
「…でもなんか異能の力の方、さっきより強力になってないか?」
「あら?気づいた?そうなのよ、この身体にしてから創る速度、重さの調整、同時並行、それぞれ一段上がってるわ」
……ただ弱くなった訳ではなく、得意分野の方が強力になったらしい。
と俺たちがそんな話をしていると——
「……お主」
ローレンスがユニーレの方を見て話しかけていた。まるで知り合いのような、見たことあるような、そんな気配を醸し出しながら。
「……」
ユニーレはただ何も言わず無言でローレンスに向き合ってる
「「……」」
…なんか気まずい空気だな。前にもあった姉上とソフィアとは違う嫌な空気を感じる。
「…お主が、我の中にいた奴なのか?」
「…えぇ」
ローレンスは確かめるように聞き、ユニーレに関してはさっき俺と戦ってたような何を考えてるのか分からない表情で答えてた。
「そうか…お主とは一度話してみたかったのだ」
「…そう」
そこからローレンスとユニーレの会話が始まり出す。俺はただ無言でそれを見守る。ここから先はあいつらのことだ。無関係の俺がとやかく言うのは違う。
「…お主はあの時、辛かったのか?」
「…分からないわ、あの時の私はただこの世界をめちゃくちゃにすることだけしか考えてなかったから」
「そうか……我は辛かったし弱かった。裏切られ、奪われ、お主みたいに何も感じなかったら楽だっただろうな」
「……」
「…だからあの時の我は何もかも恨んだ。この世界も、人も、家族も……もしかしたらお主だって……世界を混沌に覆い尽くそうとした」
「……そうね。そのために私は生まれたもの」
「…でも我はお主に感謝してるんだ」
「?」
「今こうやってここにいるのも、今こうして耐えることが出来たのも…アクセルに出会えたことも全部お主がいたからなんだ」
「…私はアクセルを破壊しようとしたのよ?」
「それは許さぬ、許すつもりなんかない。
それでアクセルが死んだら一生お主を恨む……でも…それでも、お主も救われただろ?」
「……そうね、彼と出会えて自分でも分からない自分が居て……楽しいのかしらね多分」
「そうであろう?……だから言わせてくれ」
「辛いときも苦しい時も、我と一緒にいてくれてありがとう。お主がいたから我はここまで生きることが出来たのだ」
「…そう、貴方がそれでいいならなにも言わないわ。ただ私も感謝してるわ。彼に出会えたもの」
「お?お主もアクセルの魅力に気づいたのか?」
「馬鹿にしないでもらえるかしら?私は彼に全てを渡したのよ?魅力なんてとっくに知ってるわ」
「なっ!?す、全てだと!?おいアクセルどういう事だ!我がいながら我の中にいたやつと変なことしたというのか!!」
「ちょっと待て?さっきの空気どうした?というか俺を巻き込むな、こいつが勝手に懐いただけだ」
「あら心外ねアクセル。私たち、あんなことをしたのに…」
「お前もだ!なに誤解招くような発言してんだこら…って待て待て待てローレンス!」
「お主…我というものがいながら…!死刑じゃ!!死刑に処してやる!!!」
「だから待てって!ってお前も魔法の威力上がってねぇか!?おわっちょ、ちょっと待て!!まじでやめろ!俺身体ほんとに辛いんだってぇえええ!」
……こうしていつの間にかかなり混沌な状態になった後、俺たちは無事禁句の魔導書の中から脱出したのだった。
……はぁ、なんかこの先が不安な気がするのは俺の気のせいであって欲しい。
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる